障害者雇用で採用した社員の欠勤が続き、対応に悩んでいませんか。
本人の健康に配慮しながら、現場の業務をどう調整するか、どのような支援が必要か、判断に迷うこともあるのではないでしょうか。欠勤が続く場合は、本人の状況を確認するとともに、業務や職場環境、勤怠の連絡方法などを整理し、必要な対応を検討することが大切です。
欠勤が続くときにまず行うのは、状況を確認し、本人と話し、原因に応じて対応を変えることです。この手順は他の社員と同じです。ただし障害者雇用では、欠勤の背景に業務や職場環境が関係していることがあり、合理的配慮の見直しが必要になる場合があります。
欠勤の背景には、本人の体調だけでなく、業務内容や職場環境など、職場側の要因が関係している場合もあります。欠勤には複数の要因が重なっていることもあります。本人の体調や困りごとを確認し、必要に応じて医療機関や支援機関と連携しながら、業務や職場環境も含めて対応を検討しましょう。
【この記事でわかること】
なお、エスプールプラスでは、農園を活用した障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」を通じて、働く場所の提供から採用、雇用継続までを支援しています。企業が主体となって、障がいのある方が安心して長く働ける環境づくりを進められるようサポートしています。
欠勤が続いている社員がいるとき、多くの担当者はまず「本人と話さなければ」と考えます。ただ、いきなり面談から入ると、話が「なぜ休むのか」の追及に流れやすく、本当の理由にたどり着けません。
まず、勤怠記録やこれまでの連絡内容を確認し、欠勤の頻度や状況を整理します。ただし、記録が揃うまで本人への連絡を待つ必要はありません。体調や連絡状況に応じて、本人の負担に配慮しながら状況を確認しましょう。
ここでは、記録の取り方から面談の進め方、連絡ルールの決め方、外部機関との連携、合理的配慮の見直しまで、着手すべき順に5つの対応を解説します。
面談の前に、まず事実を押さえます。欠勤した日付と日数、事前連絡の有無、本人が伝えてきた理由、遅刻・早退の状況を日付単位で記録してください。
記録をつけると、印象では見えなかった傾向が浮かびます。特定の業務がある日に集中している、繁忙期に偏っているといったパターンが見つかれば、それ自体が原因の手がかりです。
記録は最初の欠勤から始めてください。面談記録とあわせて残しておくことで、後に勤務条件の変更や休職を検討する際、判断の根拠になります。
確認できた勤怠記録を参考にしながら、本人の体調に応じて面談や電話などで状況を確認します。重要なのは、目的を最初に共有することです。「なぜ休むのか」と切り出すと詰問と受け取られ、本当の理由は出てきません。「働き続けてもらうために、困っていることを一緒に解決したい」と伝えてから始めます。
| 確認項目 | 聞くこと |
|---|---|
| 体調 | 就業継続に影響している体調の変化や、必要な配慮の有無 |
| 業務内容 | 負担の大きい業務、業務量の実感 |
| 職場環境 | 音・光など物理的な環境の困りごと |
| 人間関係 | 相談できる相手の有無 |
| 今後の希望 | どうすれば働き続けられそうか |
対面での面談が難しい場合は、本人が利用しやすい電話やオンライン、メール等で確認する方法もあります。時間や質問の量は体調に合わせ、短時間で区切るなど負担を抑えましょう。一度の面談ですべての事情を把握できるとは限らないため、必要に応じて次回の面談日程も決めておくとよいでしょう。
面談の流れで、今後の連絡ルールを本人と決めます。ルールがあいまいだと、本人は「いつ、誰に伝えればいいのか」が分からず、それ自体が不安の種になります。
連絡手段・連絡先・連絡のタイミング・伝える内容を、就業規則等も確認しながら本人と共有します。体調によって電話が難しい場合はメール等を認めるなど、実行できる方法を検討しましょう。本人から連絡できない場合の代替手段や、連絡が取れない場合の確認方法も、あらかじめ相談しておくと安心です。
連絡手段は、本人が伝えやすい方法を相談して決めます。電話ならその場で状況を確認しやすい一方、電話自体が負担になる場合もあります。メールやメッセージを希望する人もいます。
面談を重ねると、企業だけでは判断できない領域が出てきます。医学的な見立てと生活面の課題です。これらは企業が抱え込むべきものではありません。
| 連携先 | 担う領域 |
|---|---|
| 主治医 | 病状や治療状況を踏まえ、就業継続・復職や必要な配慮について医学的意見を示す |
| 産業医 | 業務内容や職場環境も踏まえ、就業上の措置や復職について事業者に助言する |
| 障害者就業・生活支援センター | 就業面・生活面の相談支援、職場定着支援、関係機関との連絡調整 |
| ジョブコーチ・就労移行支援事業所 | ジョブコーチは職場適応や受け入れ側への支援を行う。就労移行支援事業所等への相談は、本人の利用歴や支援対象・期間を確認する |
| 人事・現場の上長 | 本人の意向や専門家の意見を踏まえ、業務・勤務条件・支援体制を調整する |
主治医から情報提供を受ける際は、原則として本人に目的や確認事項を説明し、同意を得たうえで行います。診断書・意見書や、産業医等を通じた照会など、必要な情報に応じた方法を選びましょう。業務内容や勤務時間などの情報を主治医に伝えることも大切です。支援機関を利用している場合は、本人の意向を確認したうえで、企業・本人・支援者による面談も検討できます。
本人との話し合いや、必要に応じて確認した専門家の意見を踏まえ、現在の配慮が適切かを確認します。継続する配慮と見直す配慮を整理し、実施後も負担や効果を確認しましょう。入社時に決めた配慮事項がそのままになっていないか確認してください。障害の状態も職場の状況も、時間とともに変わります。
負担の大きい業務を担当から外す、締切に余裕を持たせる、指示の出し方を口頭から文書に変える、休憩を取りやすくする。いずれも、面談で分かった原因に対応させて選びます。
合理的配慮は企業が一方的に決めるものではなく、職場で支障となっている事情を確認したうえで、本人の意向を十分に尊重しながら話し合って決めるものです。希望された対応が過重な負担となる場合も、その理由を説明し、本人の意向を尊重しながら実施可能な代替策を検討します。
欠勤への対応で難しいのは、悪意のない判断が事態を悪化させてしまう点です。刺激しないよう見守る、励ますつもりで出勤を促す。いずれも本人を思っての行動ですが、結果として欠勤が長期化することがあります。
共通しているのは、状況を確認しないまま動いているという点です。事実を把握せずに取った対応は、方向が合っているかどうかを確かめようがありません。
ここでは、企業が陥りやすい4つの対応について、なぜ逆効果になるのか、代わりに何をすべきかを解説します。
何もしないケースです。
しかし本人から見れば、連絡や相談の機会がない状態が続くと、本人が孤立感や不安を抱く場合があります。療養が必要な場合は、その妨げにならない連絡方法・頻度を本人と相談しましょう。記録も残らないため、後から状況を検証することもできません。様子を見ることと、状況を把握しないことは別です。
体調や就業上の支障を確認せずに出勤や残業を求めると、負担を増やし、回復や就業継続に影響するおそれがあります。
ただし、出勤を促すこと自体がNGなのではありません。出勤を促す場合も、本人の体調や就業上の支障を確認し、一律に求めないことが重要です。必要に応じて、短時間勤務や業務量の調整など、本人の状況に応じた対応を検討しましょう。
強い叱責は状況を改善せず、症状の悪化や、体調変化の報告が上がってこなくなるという結果を招きます。ハラスメントとして問題化するリスクもあります。
障害特性によっては、強い叱責や職場の緊張した雰囲気が心理的な負担になる場合もあります。穏やかな言い方でも、繰り返し問い詰めれば同じです。
正式な通知でなく示唆のレベルでも、本人には強い圧力です。
話し合いの前に出すと、必要な事情も配慮の見直しも出てきません。ハラスメントとして問題になることもあります。
「体調が不安定だから」で片づけてしまうと、打ち手は「本人が回復するのを待つ」しかなくなります。実際には、欠勤の背景に業務内容や人間関係といった職場側の要因が絡んでいることが少なくありません。
ここでは、欠勤の背景にある主な原因を、業務・人間関係・障害特性・生活面の4つの側面から整理します。
欠勤につながる要因として、まず考えられるのが業務内容や業務量のミスマッチです。負担の大きい作業が続く、締切が重なる、任される範囲が広すぎる。こうした状態が続けば、出社そのものが負担になります。
見落とされやすいのが、業務が少なすぎるケースです。配慮のつもりで業務を減らした結果、手持ち無沙汰な時間が生まれ、本人が役割や存在価値を感じにくくなり、働く意欲や職場への帰属意識に影響する可能性があります。
多いか少ないかは、外から見て判断できるものではありません。同じ業務量でも、本人の状態や時期によって感じ方は変わります。面談で確認し、その都度調整するしかない領域です。
人間関係の課題には、いじめやハラスメントに加え、相談相手が分からない、仕事の進め方を確認できないといった孤立もあります。
誰に聞けばいいか分からず、質問できないまま作業が止まる。仕事を仕上げても反応がなく、できているのかどうか分からない。障害特性による行動が「やる気がない」と誤解されている。こうした状態は、周囲に悪意がなくても起こります。
本人からも相談として上がってきにくいのが厄介な点です。「気にしすぎかもしれない」と抱え込み、困りごとを相談できない状態が続き、心身の負担や欠勤につながる場合もあります。相談先が明示されているか、業務のフィードバックが返っているかを、職場側から確認してください。
障害や疾病の状態、治療の経過などによって、疲れやすさや体調の変動が就業に影響する場合があります。ただし、その現れ方や必要な対応は一人ひとり異なり、障害名だけで欠勤の原因を判断することはできません。本人の状況を確認し、必要に応じて主治医や産業医等の意見を踏まえ、勤務時間や業務量の調整、休養などを検討しましょう。
ただし、波があること自体が就業継続の障害になるわけではありません。労働時間や勤務日数を調整できる環境であれば、波を抱えたまま働き続けることは十分に可能です。
勤務時間や業務量の調整によって就業を続けやすくなる場合もあれば、療養を優先する必要がある場合もあります。欠勤を避けることだけを目的にせず、本人の健康と継続的な就業の両方を踏まえて対応を考えることが大切です。その結果が欠勤として現れているケースは少なくありません。
生活リズムの乱れ、家庭内の問題、経済的な不安。職場では見えにくいものの、欠勤の背景にこうした生活面の課題があることもあります。
生活面の課題については、企業が詳細を必要以上に聞き出したり、単独で解決しようとしたりせず、本人の意向を確認しながら適切な支援機関につなぐことが大切です。企業は、就業に影響する事情を必要な範囲で把握し、勤務時間などの調整について支援機関と連携して検討します。
有効なのは、障害者就業・生活支援センターなど、就業面と生活面の両方を扱う機関との連携です。本人が支援機関を利用していない場合は、面談の場で紹介するところから始められます。企業と支援機関の役割を整理し、本人の同意のもとで必要な情報を共有することで、担当者が抱え込まずに支援を続けられる体制を整えましょう。
ここまでは、欠勤が起きたあとの対応を見てきました。ただ、同じ社員で繰り返される、あるいは複数の社員で同じことが起きているなら、個別対応では追いつきません。
必要なのは、担当者の頑張りではなく仕組みです。その都度の判断に委ねている限り、担当者が代われば対応も変わり、本人も相談していいのか分からないままになります。
ここでは、業務量の見直しから働き方の選択肢、相談窓口、評価の伝え方、周囲の理解づくりまで、欠勤が起きにくい職場をつくる5つの取り組みを解説します。
業務量の調整は、問題が起きたときのその都度対応になりがちです。しかしそれでは、担当者が気づいたときにしか動けず、本人も「言い出していいのか」を毎回迷うことになります。定期的に見直す運用として仕組み化してください。
定期的な業務の棚卸しに加え、体調や担当業務に変化があった際にも見直す機会を設けましょう。作業の細分化やマニュアルの整備は、本人に合った担当範囲を検討し、欠勤時に業務を引き継ぎやすくするうえでも役立ちます。あわせて、代替担当者の負担や業務量も確認することが大切です。
ただし、割り当ての工夫を重ねても、任せられる業務そのものが確保できない職場もあります。その場合は、社内の取り組みだけでミスマッチを解消するのは難しくなります。
体調に波があることを前提にすると、選択肢を複数用意しておくことは、体調や通院などに応じた働き方を検討するうえで有効です。時差出勤、短時間勤務、週3〜4日勤務、在宅勤務、フレックスタイムなどが該当します。
利用できる制度や相談窓口を明確にするとともに、既存の制度だけでは対応できない場合も、本人の困りごとに応じた個別の調整を検討しましょう。勤務時間や勤務日数を変更する際は、本人の意向を確認し、賃金や社会保険等への影響も説明したうえで、必要な手続きを行います。
2024年4月からは、週10時間以上20時間未満の勤務でも、精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者は雇用率の算定対象になります(1人につき0.5)。重度以外の身体障害者・知的障害者は、この時間帯では算定対象になりません。
出典:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について(厚労省PDF)
欠勤が起きてから動くのではなく、その手前で相談が上がってくる状態が理想です。そのためには、相談する場と相手をあらかじめ決めておく必要があります。月1回の1on1を設定する、直属の上司以外の相談先を用意する。この2つだけでも、相談のハードルは下がります。
特に効果的なのが、「体調が悪くなりそう」の段階で申告してよいと明示することです。「まだ休むほどではない」と考えて我慢し、限界に達してから休みという方もいます。早い段階で相談できれば、業務量の調整や休養の必要性を早めに検討できます。
申告があったときに、業務の調整で応じる姿勢を示せるかどうかが分かれ目です。相談しても何も変わらなければ、次から上がってこなくなります。
障害者雇用では「雇用すること」自体が目的化しやすく、日々の働きぶりへのフィードバックが手薄になりがちです。しかし、成果に反応が返ってこない状態が続けば、意欲は失われます。「自分の仕事に意味があるのか」という感覚は、出社の動機を静かに削ります。
本人が担う業務や目標に応じた評価基準を事前に共有し、できていることや改善点を具体的に伝えましょう。その際は、必要な合理的配慮が提供されているか、業務量や勤務条件に合った目標になっているかも確認します。障害の有無だけで評価を決めず、本人の成果や取り組みを適切に捉えることが大切です。
改善してほしい点も、事実にもとづいて具体的に伝えます。伝え方を工夫することと、伝えないことは別です。
特定の担当者だけがフォローを抱え込むと、その担当者自身が疲弊します。休暇も取りづらくなり、異動すれば体制ごと崩れます。フォロー担当は複数名にし、業務の引き継ぎ手順を整えて属人化を防ぐ必要があります。
周囲の理解を促す際に共有すべきは、「どう接すればよいか」という実務的な情報です。指示は口頭ではなく文書で、急な予定変更は事前に伝える、といった具体的な行動レベルまで落とし込みます。
診断名や病状などの健康情報は、慎重な取扱いが必要です。法令に基づく取扱い等を除き、原則として本人に利用目的や共有範囲を説明し、同意を得たうえで、必要な担当者に限って共有します。現場には、診断名そのものよりも、業務上必要な配慮や対応方法を中心に伝えることを検討しましょう。
障がいのある方が安心して働き続けるためには、一人ひとりに合った業務や働く環境に加え、日々の変化に気づき、相談・対応できる体制が大切です。障がい者雇用を進める中で、業務の割り当てや受け入れ体制づくりに課題を感じている企業もあるのではないでしょうか。
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療養や就業継続のために、休職を選択肢として本人と相談することはできます。ただし、私傷病による休職制度は企業ごとに異なるため、まず就業規則等の対象要件や手続きを確認しましょう。必要に応じて主治医や産業医等の意見を確認し、休職期間、賃金の取扱い、復職条件、期間満了時の取扱いを本人に説明したうえで検討します。
「休職=退職の前段階」と受け取られないよう、自社の休職制度における期間や復職条件、休職期間満了時の取扱いを丁寧に説明することが重要です。
配置転換が可能かどうかは、労働契約や就業規則に基づく権限の有無、業務上の必要性、本人が受ける不利益などを踏まえて判断します。職種を限定していない場合でも、自由に配置転換を命じられるわけではありません。
また、職種や業務内容を限定する合意がある場合、その合意に反する配置転換を本人の個別の同意なく命じることはできません。配置転換を検討する際は、本人の意向や必要な配慮、新しい業務・通勤等の負担を確認し、就業継続につながるかを話し合いましょう。
「欠勤控除」と「減給の制裁」は別のものです。
欠勤控除は、働かなかった時間・日数に対応する賃金を、労働契約や賃金規程に基づいて支給しない取扱いです。控除の可否や計算方法は、給与制度や休暇の種類などによって確認が必要です。
一方、懲戒処分として減給する場合は、就業規則上の根拠に加え、処分の理由や程度が合理的・相当であることが必要です。労働基準法91条の上限は、1回の額が平均賃金1日分の半額、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1です。上限内であっても、欠勤があるだけで当然に懲戒減給できるわけではありません。
診断書の提出を求める場合は、就業規則や社内規程の定めを確認したうえで、必要性や合理性を踏まえて運用することが重要です。一律に提出を求めるのではなく、対象となる欠勤日数や提出期限などをあらかじめ明確にしておくとよいでしょう。診断書を求める場合は、就業規則等の定めに加え、提出を求める目的や必要性、本人の負担を確認します。欠勤日数だけで一律に判断せず、就業上必要な情報を得るための方法として適切かを検討しましょう。費用負担も一律には断定せず、提出を求める理由や社内規程等を確認し、誰が負担するかを事前に本人へ説明してください。
欠勤が多い社員への対応について解説してきました。要点は次のとおりです。
欠勤への対応では、適切な勤怠管理と、本人の健康・就業継続を支える取組の両方が必要です。欠勤日数だけで判断せず、本人との対話や専門家との連携を通じて、業務・勤務条件・配慮の内容を確認しましょう。必要な休養を確保しながら、無理なく働き続けられる環境を整えることが大切です。
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