公開日:2026年7月27日  更新日:2026年7月27日

障害者雇用の担当を任されたけれど、まず何の資格を取ればいいのか分からない。そう悩む担当者は少なくありません。

背景には、制度の大きな変化があります。

民間企業の法定雇用率は、2024年4月に2.5%へ引き上げられ、2026年7月1日からは2.7%となりました。これにより、従業員37.5人以上の民間企業が障害者雇用義務の対象となっています。

厚生労働省の令和7年6月1日時点の集計では、民間企業の法定雇用率達成企業割合は46.0%でした。

この記事では、担当者が押さえておきたい資格を一覧で整理し、専門性を高める関連資格、そして資格を取った後に大切になることまで解説します。読み終わるころには、何から始めればいいかが明確になります。

この記事でわかること

  • 障害者を雇用する企業に、資格の取得義務があるのかどうか
  • 障害者雇用の担当者が取っておきたいおすすめ資格6つと、その選び方
  • 担当者の専門性を高める関連資格(社労士・精神保健福祉士など)
  • 資格を取った後に大切になる「定着・業務割り当て」という視点
  • 担当者の資格取得に関するよくある疑問(選任義務・助成金など)

なお、障害者雇用支援サービスを提供するエスプールプラスでは、企業向け貸し農園「わーくはぴねす農園」を通じて、業務の割り当てから採用・定着支援までを伴走サポートしています。2026年5月末現在、全国62か所の農園、750社以上の導入実績と入社1年後の定着率92%以上を背景に、「適した業務が見つからない」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった企業の課題解決を支援しています。

障害者雇用に「資格」は必要?

障害者を雇うには担当者が何か資格を取らないといけないのではないか。そう不安に感じる方は多いものです。

障害者を雇用するために、企業の担当者が必ず取得しなければならない資格はありません。資格がなくても、障害者雇用を進めることは可能です。

ただし、知っておくべき例外が1つあります。それが「障害者職業生活相談員」の選任義務です。

障害者雇用促進法では、常時5人以上の障害者を雇用する事業所に対して、障害者職業生活相談員の選任を義務づけています。これは「企業」単位ではなく「事業所」単位でカウントします。たとえば複数の拠点がある会社なら、本社・支店それぞれの事業所ごとに、障害者が5人以上いるかどうかで判断します。

この相談員になるには、障害者職業生活相談員資格認定講習を修了するなど、一定の要件を満たす必要があります。さらに、選任の義務が生じた日から3か月以内に選任し、選任報告書を管轄のハローワークに提出しなければなりません。

障害者雇用と資格の関係は、次のように整理できます。

  • 雇用そのものに、担当者の資格取得義務はない
  • ただし、障害者を5人以上雇用する事業所では、職業生活相談員の選任が必要
  • 資格は「義務」ではなく、雇用と定着をスムーズにするための「武器」になる

資格は必須ではありません。ただ、障害特性への理解や合理的配慮の知識があれば、採用後の対応や定着支援に役立つ場面は多くあります。次の章では、企業の担当者が押さえておきたいおすすめの資格を、一覧でわかりやすく紹介します。

障害者雇用の担当者が取っておきたい資格

障害者雇用の担当者が取っておきたい資格6選

担当者向けの資格は数が多く、どれから手をつけるべきか迷いやすいものです。まずは全体像をつかめるよう、代表的な6つの資格を一覧で整理しました。

資格名 取得方法 費用の目安 こんな担当者におすすめ
障がい者雇用サポーター 研修(DVD/WEB)視聴+修了レポート 約14,080円 まず基礎から学びたい入門者
障害者職業生活相談員 JEEDの障害者職業生活相談員資格認定講習を修了 無料 障害者を5人以上雇用する事業所の担当者
精神・発達障害者しごとサポーター 養成講座(90〜120分)を受講 無料 精神・発達障害の基礎を短時間で学びたい人
企業在籍型ジョブコーチ 養成研修(集合+実技)を修了 無料〜約5万円 定着支援を本格的に担いたい人
メンタルヘルス・マネジメント検定 検定試験に合格 約5,280〜11,550円 部下のメンタル不調に対応したい管理職・人事
雇用環境整備士(第Ⅱ種) 講習(e-ラーニング)を修了 約13,000円 職場環境の整備を社内で進めたい人

無料で受けられる講習から、検定試験に合格して取得するものまで、難易度も目的もさまざまです。初めて担当になった場合は、まず無料で学べる講習から始め、必要に応じて専門的な資格へ広げる進め方が無理なく取り組めます。ここからは、それぞれの資格を詳しく見ていきます。

障がい者雇用サポーター

障がい者雇用サポーター」は何から学べばいいか分からない担当者が、最初の一歩として選びやすい入門資格です。障がい者雇用支援センター(WESS)が認定する民間資格で、近年、特に雇用者数の伸び率が大きい精神障害や、発達障害に関する内容を中心に学べます。

  • 対象:障害者雇用をこれから学ぶ入門者
  • 取得方法:DVDまたはWEBで研修を受講し、修了レポートを提出
  • 費用:14,080円(税込、有効期間3年の登録料3,300円を含む)
  • 特徴:試験がなく、働きながら自分のペースで学べる

入門編として、まず全体像をつかみたい担当者に向いています。

障害者職業生活相談員

障害者職業生活相談員」は障害者を一定数以上雇用する企業にとって、優先度が高い資格です。職場で障害のある従業員と会社の間に立ち、相談や配慮の調整を担います。

  • 対象:障害者を5人以上雇用する事業所で、選任が予定されている担当者
  • 取得方法:JEEDの資格認定講習(オンデマンド)を修了(個人申込は不可、事業所単位)
  • 講習時間:計10時間程度。受講形式は年度・開催案内により異なるため、最新のJEED案内を確認
  • 費用:無料

選任義務のある事業所の担当者であれば、まず取得を検討したい資格です。

精神・発達障害者しごとサポーター

精神・発達障害者しごとサポーター」は精神障害や発達障害のある社員への接し方を、短時間で学びたい担当者に適しています。試験のある資格ではなく、厚生労働省が実施する養成講座です。

  • 対象:企業に勤めている人であれば誰でも受講可能
  • 取得方法:出前講座、または労働局・ハローワーク等での集合講座を受講
  • 時間・費用:90〜120分程度/無料(e-ラーニング版もあり)
  • 特徴:気軽に受けられ、チーム全体での受講にも向く

精神障害者の雇用が増えるなか、まず基礎を押さえたい職場におすすめです。

企業在籍型ジョブコーチ

企業在籍型ジョブコーチ」は採用した障害者の定着支援を、社内で本格的に担いたい担当者向けの資格です。試験はなく、養成研修を修了すれば活動できます。

  • 対象:障害のある社員の職場適応・定着支援を担う担当者
  • 取得方法:養成研修(集合研修+実技研修)を修了。JEEDまたは厚生労働大臣が指定する民間機関が実施
  • 費用:JEEDは実質無料、民間機関は5万円前後(要件を満たせば受講料の2分の1が助成される)
  • 特徴:定着率を高めたい企業の実務に直結

採用後のフォローを強化したい担当者にとって、効果の高い資格です。

メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅰ種〜Ⅲ種)

メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅰ種〜Ⅲ種)」は障害の有無を問わず、社員のメンタル不調に対応する力を高めたい担当者に役立ちます。大阪商工会議所が実施する検定で、立場に応じて3つのコースに分かれています。

  • コース:Ⅰ種=人事労務・経営幹部向け、Ⅱ種=管理職向け、Ⅲ種=一般社員向け
  • 取得方法:検定試験に合格(受験資格の制限なし)
  • 費用:Ⅲ種5,280円、Ⅱ種7,480円、Ⅰ種11,550円
  • 特徴:職場のメンタルヘルス対応を体系的に学べる

担当者であれば、まず管理職向けのⅡ種が実務に活かしやすいでしょう。

雇用環境整備士(第Ⅱ種・障害者雇用)

雇用環境整備士(第Ⅱ種・障害者雇用)」は障害者が働きやすい職場環境を、社内から整えていきたい担当者向けの資格です。日本雇用環境整備機構が認定する民間資格で、対象者ごとに種別が分かれています。

  • 種別:第Ⅰ種=育児者、第Ⅱ種=障害者、第Ⅲ種=エイジレス(高齢者)(担当者が取るのは第Ⅱ種)
  • 取得方法:e-ラーニングで受講し、視聴後の小テストに合格すると資格者証を交付
  • 費用:13,000円(税込・テキスト代込み)
  • 特徴:環境整備を制度面の知識とあわせて進められる

障害特性に配慮した職場づくりを社内で推進したい担当者に向いています。

障害者雇用に活かせる関連資格|専門性を高めたい担当者向け

障害者雇用に活かせる関連資格4選

基礎的な資格を押さえたうえで、さらに専門性を高めたい担当者には、人事のキャリアにもつながる関連資格があります。ここで紹介する4つは、いずれも取得の難易度が高めですが、その分、障害者雇用の実務に深く活かせます。自分の業務や目指す方向に合わせて検討してみてください。

社会保険労務士(社労士)|納付金・助成金・労務手続きに

社会保険労務士」は障害者雇用にともなう手続きや助成金を、社内で正確にこなしたい担当者に役立つ国家資格です。

  • 区分:社会保険労務士法に根拠を持つ国家資格(厚生労働省所管)
  • 特徴:労働・社会保険の手続き代行や帳簿作成を担う業務独占資格
  • 障害者雇用での活かし方:雇用納付金・調整金の手続き、各種助成金の申請、合理的配慮にともなう労務管理
  • 取得:受験に学歴・実務経験などの要件があり、難易度は高い

人事労務全般のプロを目指す担当者にとって、強い武器になります。

精神保健福祉士(PSW)|精神・発達障害の社員の定着支援に

精神保健福祉士」は精神障害や発達障害のある社員の定着を、専門的に支えたい担当者に向く国家資格です。

  • 区分:精神保健福祉分野の相談援助の国家資格(名称独占)
  • 障害者雇用での活かし方:精神障害のある従業員の復職支援や定着支援、関係機関との連携において、専門知識を活かせる場合がある
  • 取得:福祉系大学で指定科目を履修するか、一般大学卒業後に養成施設で学んで受験資格を得る(難易度は高め)

精神障害者の雇用が増えるなか、相性のよい資格です。

産業カウンセラー|相談対応・職場適応のサポートに

産業カウンセラー」は社員との面談や相談対応の質を高めたい担当者に役立つ資格です。

  • 区分:日本産業カウンセラー協会(JAICO)が認定する民間資格
  • 特徴:傾聴を中心としたカウンセリング技法を体系的に学べる
  • 障害者雇用での活かし方:1on1や休職・復職者面談で、相手が安心して話せる関係を築き、本質的な課題を引き出す/障害のある社員の職場適応サポート
  • 取得:協会が実施する養成講座の修了が必要

「聴くスキル」を磨きたい担当者におすすめです。

キャリアコンサルタント|障害のある社員のキャリア形成支援に

キャリアコンサルタント」は障害のある社員のキャリア形成を支援したい担当者に向く国家資格です。

  • 区分:国家資格になった、職業能力開発促進法に基づく専門家
  • 特徴:進路や職業の選択、キャリアビジョンについて、相談者自身が目標を定められるよう支援する
  • 障害者雇用での活かし方:障害のある社員が長く活躍できるよう、適性をふまえたキャリア形成や定着の支援
  • 取得:厚生労働大臣が認定する養成講習を修了して受験するルートが一般的

社員一人ひとりの成長に寄り添いたい担当者におすすめです。

障がい者雇用支援サービスのエスプールプラス

障がい者雇用支援サービスのエスプールプラスの特徴

資格を取って知識を身につけても、それだけで障害者雇用がうまくいくわけではありません。本当の難しさは、採用した後にあります。

採用後によくある3つの課題

  • 採用しても定着せず、早期に離職してしまう
  • 任せられる仕事をうまく割り当てできない
  • 配慮や対応のノウハウが乏しく、担当者一人に負担が集中する

これらに自社だけで対応しようとすると、担当者が資格を取り、知識を身につけ、体制を整える必要があります。もちろんそれも有効な方法ですが、時間も手間もかかります。

そこで選択肢の一つとなるのが、支援サービスの活用です。エスプールプラスは、企業向け貸し農園『わーくはぴねす農園』を通じて、企業が雇用主として主体的に関わりながら、業務設計・定着・活躍ができるよう伴走します。社内の担当者が判断・関与する体制を前提に、障害特性に配慮した職場づくりを支援しています。

  • 自社内で適した職域づくりに課題がある場合も、農園を活用した業務設計を選択肢として検討できる
  • 屋外型・屋内型の農園を活用し、障害特性に配慮した職場環境づくりを支援
  • 採用活動から定着支援まで、企業の担当者と連携しながら伴走

実績も豊富です。2026年5月末現在、全国62か所の農園、750社以上の導入実績があり、5,200名以上の障害者の一般就労を支援してきました。入社1年後の定着率は92%以上という高い水準を維持しています。

ノウハウがない状態からでも、業務設計から採用、雇用後の定着フォローまで伴走サポートするので「自社の担当者だけで抱えるのは難しい」と感じている企業にとっておすすめです。

障害者雇用の進め方に迷っている担当者の方は、まずは資料請求や無料相談から、自社の課題に合うかどうかを確認してみてください。

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障害者雇用の資格に関するよくある質問

障害者雇用の資格に関するよくある質問

Q. 障害者を雇用する企業に、資格の取得義務はありますか?

担当者が必ず取得しなければならない資格はありません。資格がなくても、障害者雇用を進めることは可能です。

ただし例外として、障害者を5人以上雇用する事業所では、障害者職業生活相談員を選任する義務があります。この相談員は資格認定講習を修了した人などから選ぶ必要があるため、該当する事業所では実質的に資格を持つ人が必要になります。

Q. 障害者雇用の担当者がまず取るべき資格はどれですか?

目的によって異なりますが、初めて担当になった方には、無料で受けられる講習から始めるのがおすすめです。

  • まず基礎を学ぶなら:精神・発達障害者しごとサポーター(無料・90〜120分)
  • 選任義務に対応するなら:障害者職業生活相談員(無料・2〜3日間)
  • 定着支援を担うなら:企業在籍型ジョブコーチ

自社の状況に合わせて、必要なものから取得していくとよいでしょう。

Q. 障害者職業生活相談員を選任しないとどうなりますか?

障害者を5人以上雇用する事業所には選任義務があり、選任した際は、管轄のハローワークに選任報告書を提出する必要があります。

選任を行わない場合は、法律上の義務を果たしていない状態となり、ハローワーク等から行政指導の対象になる可能性があります。義務が生じた事業所では、早めに講習を受けて選任を済ませておくことが大切です。

Q. 担当者の資格取得に使える助成金はありますか?

担当者個人の資格取得そのものを対象とした助成金は、限られています。一方で、障害者雇用に関連する助成金は複数用意されています。

たとえば、企業在籍型ジョブコーチの養成研修については、一定の要件を満たせば、受講料の半額補助を受けられる場合があります。利用できる制度は状況によって異なるため、詳しくは管轄のハローワークや関係機関に確認することをおすすめします。

Q. 資格がなくても障害者雇用は進められますか?

進められます。資格はあくまで知識やスキルを補うものであり、雇用そのものの前提条件ではありません。

ただし、採用後の定着や戦力化には、障害特性への理解や継続的なフォローが欠かせません。

障害者雇用支援サービスを活用する場合でも、企業側には雇用主としての判断、採用後の関与、合理的配慮の検討が求められます。支援機関と連携しながら、採用後の定着まで見据えた体制を整える方法です。

まとめ|資格は「目的別」に選び、体制づくりとセットで考える

障害者雇用において、担当者が必ず取得しなければならない資格はありません。ただし、知識や専門性を備えておくことで、採用や定着はスムーズになります。

この記事の要点

  • 障害者を雇用するのに、担当者の資格取得義務はない
  • 担当者向けの資格は、無料で受けられる講習から専門資格までさまざま
  • まずは目的に合わせて、取りやすいものから始めるのがおすすめ
  • 社労士や精神保健福祉士などの関連資格は、専門性を高めたい担当者向け

資格を選ぶときは、「何のために取るのか」を起点にすると迷いません。基礎を学びたいのか、選任義務に対応したいのか、定着支援を担いたいのか。目的が定まれば、取るべき資格はおのずと絞られます。

そして忘れてはいけないのが、資格はゴールではないということです。本当の課題は、採用した後の定着と業務の割り当てにあります。資格で土台を固めつつ、それを活かせる体制をどう整えるかをセットで考えることが、障害者雇用を成功させる近道です。

自社だけで体制を整えるのが難しいと感じたら、外部の支援サービスを活用するのも有効な選択肢です。エスプールプラスの障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」では、業務の割り当てから採用、定着支援までを伴走サポートしています。障害者雇用の進め方に迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。

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写真:岡本 暁
記事監修|岡本 暁(おかもと あきら)
株式会社エスプールプラス 事業本部 経営企画室 室長
創業三期目の株式会社エスプールに入社。 2014年より株式会社エスプールプラスにジョイン。 農園運営部門の責任者、障がい者の就労支援部門の責任者を経て、 現在は経営企画室の室長として行政、福祉関係者と関わり、 当社理念(一人でも多くの障がい者雇用を創出し、社会に貢献する)の実現に向けた活動に専念。