更新日:2024年2月21日
採用方法8選資料

障がい者雇用の採用方法

障がい者の採用方法はいくつかあります。

まず、一般雇用と同様に求人媒体やハローワーク、自社サイトにて求人を出す方法。この場合、一般採用と区別するため「障がい者採用」とわかりやすく記載したり、自社サイトの場合には障がい者採用ページを作ったりする必要があります。ハローワークの場合は、障がい者専用の求人票を出すことが可能です。

特別支援学校や就労移行支援事業所と連携することも効果的です。
特別支援学校には、心身に障がいのある高校3年生までの生徒が在籍しています。一般的な学校と違い、教科書を使った勉強よりも、あらゆる分野の作業学習を通し、仕事に役立つスキルの向上を図っています。

就労移行支援事業所は、就労を目指す障がいのある方が実際に業務を行ったり、職場での人間関係に必要なマナーを学んだりしながら、就労へ向けた訓練をする福祉事業所です。これらの機関と連携すれば、学校の先生や施設の職員から障がい特性などを聞き取ることもできるため、採用活動の一つの判断材料にできるでしょう。

他には障がい者採用に特化した転職サイトもあるなど、障がい者の採用ツールは多岐にわたります。

一般的な障がい者雇用の流れ

「障がい者雇用」というと難しいものと考えてしまいがちですが、実際の雇用の流れは一般の雇用方法と変わりません。一般雇用をする際の手順を踏みながら、働く人の特性と会社のニーズをすり合わせていくことで、定着率の高い障がい者雇用を実現できる可能性が高まります。

ここでは、一般的な障がい者雇用の流れをご紹介します。

障がい者雇用の計画作成・準備

準備段階として、障がい者を雇用するための計画を作成します。障がい者雇用が初めてで、障がい者の働き方のイメージがわかないという場合は、実際に障がい者が働いている企業や自治体に相談するなどして障がい者が働く現場を見せてもらうと、イメージが湧きやすいでしょう。

障がい者雇用のイメージが湧いたら、会社の中でどの仕事を割り振ることができるか、職場・職域を検討します。

一言で「障がい」といっても、さまざまな特性があります。労働時間や休憩の頻度に配慮が必要な方も多いでしょう。それを踏まえたうえで、無理なく、やりがいをもって従事できる作業を切り出します。仕事内容は多めにリストアップし、働きたい障がい者の障がい特性に合った仕事を割り振れるようにすれば、雇用のハードルも下がるでしょう。

業務が決まったら、最終的な受け入れ準備をします。雇用形態、労働時間、賃金、募集人数などを明確にするとともに、受け入れ部署の社員に対して説明や研修を行い、社内理解を深めましょう。

上記の流れを計画として作成し、会社内の体制が整ったら、募集を開始します。

募集・選考

採用計画作成の際に決めた労働条件や選考方法などを記載した求人票を作成します。この求人票を見て応募がくるため、明確で間違いのない内容を意識しましょう。求人方法については、先に説明したハローワーク、自社サイト、求人サイト、特別支援学校や福祉施設との連携が効果的です。

求人の応募がきたら、選考をします。障がい特性は一人ひとり違いますので、必ず面談を実施し、どのような特性を持っていてどのような仕事ができるのか、労働条件や仕事内容にミスマッチがないかなどを丁寧に見極めましょう。

なお面接の際には、ゆっくりと話す、理解しやすい質問内容にするなどの配慮が重要です。障がい者の中には、耳からの情報を処理しにくい人もいます。必要に応じて筆談や視覚的な資料を用いるとよいでしょう。

面接をしたうえで、会社の業務をこなすことができ、会社の雰囲気にも馴染めそうだと判断できたら、障がい者枠の従業員として会社に迎え入れましょう。

入社から仕事が定着するまで

入社が決まったら、社内環境のチェック、整備を行います。

まず、配属部署の社員に対し、合理的配慮などに関する基礎研修や、配属される障がい者の仕事内容、特性、求められる配慮事項などを説明し、理解を深めます。その後、デスクの高さ・広さや部署内のものの配置の見直し、必要に応じて業務マニュアル作成などの準備を行います。

ものの配置に関しては、身体的な障がいのある人に対しては、廊下や通路に大きなものを置かない、配線のコードを出しっぱなしにしないなど、車椅子や杖つきなどを想定して危険のないように整備します。また、身体的な障がいがない人でも、ポスターや掲示物など目からの情報が多すぎることで業務に集中できなかったり、疲れてしまったりする場合もあります。必要に応じ、障がい者の座るデスクから見える位置にポスターを掲示しすぎないなどの工夫も取り入れましょう。

障がい特性は人それぞれであるため、実際に働いてみないとどのような配慮が必要かわからない部分もあります。実際に働き始めたら、配属部署と人事部が密に連携できるようにしましょう。障がい者本人、上司、同僚と定期的に面談を実施し、本人および周囲の人の仕事内容に無理はないか、職場環境に問題はないかなどをヒアリングします。指摘があった箇所については、ヒアリングした内容を取り入れながら改善し、全員が働きやすい職場になるよう工夫していく必要があります。

誰もが働きやすい環境づくりを実践し、障がい者本人も、一緒に働く人たちも、無理なく気持ちよく働ける環境整備を行っていくことで、徐々にチームとしての一体感が芽生えていくでしょう。

障がい者雇用のサポートをしてくれる機関とは?

初めての障がい者雇用の場合、何もわからず雇用計画を立て始めることは不安だと思います。そういった企業のため、障がい者雇用をサポートする機関がいくつかあります。

・地域障害者職業センター

各都道府県にある、障がい者の就職のサポートをする機関です。障がい者に対して専門的な職業リハビリテーションサービスを行い、障がい者雇用を行う事業主に対しては障がい者の雇用管理に関する相談や援助を行います。
https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/index.html

・障害者就業・生活支援センター

障がい者に対し就業面と生活面の一体的な相談・支援を行うため、厚生労働省が全国に設置している機関です。障がい者から窓口で相談を受け、就業に向けた準備支援や職場定着支援、生活習慣の形成や自己管理など生活面についての助言を行います。また事業主に対しては、障がい者の就職後の雇用管理に関する助言を行います。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18012.html

・ハローワーク

国民の就労の基盤を担うハローワークですが、障がい者に対しても例外ではありません。求人票を掲載するだけでなく、障がい者雇用全般の相談も受け付けています。障がい者雇用に向けたさまざまな支援や助成金などについても相談でき、雇用の準備段階から雇用継続へ向けた長期的なサポートをしてもらえます。

ハローワークの「企業向けサポート」

障がい者雇用では、様々な支援機関と連携しますが、その中でもハローワークは中心的な役割を担っています。

ハローワークは、求職している障がい者の就職活動の窓口だけでなく、障がい者雇用を進める企業の障がい者雇用に関する窓口でもあります。他にも、障がい者雇用に関わる相談や、助成金の相談や申請、地域にある各種就労支援機関との連携窓口の役割もあります。

ハローワークの企業向けサポートや窓口となる支援内容についてみていきましょう。

1.障害者試行雇用(トライアル雇用)

障がい者を雇用するときには、求めている仕事内容ができるのか、定めている勤務時間の就労が可能かなど、いろいろな不安があるかもしれません。そのようなときに活用したい制度が「障害者トライアル雇用」です。

トライアル雇用では、障がい者を原則3ヵ月間試行的に雇用でき、期間中に適性や能力の見極めができます。また、トライアル雇用を活用することで、助成金の受給も可能です。

トライアル雇用の一番の目的は、障がい者が長期的に働くことです。障害者トライアル雇用を活用した8割以上の方は継続して雇用できており、トライアル雇用を活用して雇用される障がい者も増えています。もし、思っている人材ではない場合でも、契約満了という形で雇用を終了できます。

トライアル雇用対象者は、職業紹介のときに、就労経験のない職業への就労を希望している、2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している、離職期間が6ヵ月を超えている、障がいが重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者であるなどに該当する場合に活用できます。

なお、障害者トライアル雇用を実施するときは、求人票にトライアル求人であることを示す必要があります。また、対象者の選考は、書類ではなく面接を行います。

2.職場適応援助者(ジョブコーチ)

ジョブコーチは、障がい者が企業で働くときに、仕事環境の整備、障がい者の課題への専門的な支援など、障がい者雇用に関する専門的な役割を担う人を指します。

ジョブコーチは、障がい者だけでなく、障がい者が働く職場やその従業員に対する支援も行っています。例えば、障がい者には、仕事がしやすいようにマニュアルを整備し、仕事の手順をわかりやすくする、職場におけるルールを教えるなどのサポートをします。また、職場や従業員には、障がい特性、障がい特性に応じた配慮、働きやすい職場づくり、雇用管理などについてもアドバイスをします。

ジョブコーチを活用したいときは、配置型ジョブコーチが在籍している地域障害者職業センターに問い合わせます。また、ハローワークは、地域の就労支援機関と連携しているので、ハローワークを通して地域障害者職業センターに連絡もできます。

3.職場適応訓練

職場適応訓練は、障がい者に対して職場訓練を実施し、職場訓練後も引き続き同じ職場での雇用を目的としています。訓練期間は6ヵ月以内(中小企業や重度の障がい者の場合は1年以内)で、企業には職場適応訓練費が支給されます。

職場適応訓練を実施するには、職場適応訓練を行う設備的な余裕がある、障がい者に仕事を教える指導員としての従業員がいる、職場適応訓練後も継続的に訓練生を雇用する見込みがある、などが条件です。

職場適応訓練を実施して雇用を検討する際は、ハローワークに相談できます。

4.助成金の案内

企業が障がい者の雇用を促進するときには、活用できる助成金がいくつかあります。雇用に関わる助成金の多くは、ハローワークで説明会の開催や申請を受け付けています。

多くの企業が活用できる特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用助成金は、ハローワークが窓口です。

5.特例子会社設立の相談

特例子会社の設立を検討している企業は、障害者雇用率が達成できておらず、ハローワークの指導を受けているケースが多いです。ハローワークでは、いろいろな情報を把握していますので、障害者雇用率の状況をみながら、どのように障がい者雇用を進めていけばよいのかについてアドバイスを受けられます。

また、ハローワークは、地域の障がい者雇用の中心的な役割を担っており、地域の支援機関との連携も図っています。同じ地域の特例子会社を紹介してもらって情報交換することで、自社で特例子会社が設立可能か、持続的な運営が可能か、などを検討するのに役立ちます。

(企業の障がい者採用のステップ)

ハローワークは、障がい者の求人でよく活用されます。ハローワーク経由で障がい者を採用するまでの流れをみていきましょう。

・採用計画を立てる

障がい者を採用するには、いつ、どのような仕事内容で何人雇用するのかを決めましょう。

ハローワークを通して採用活動を進めるときには、窓口で求人票を通して採用する方法と、合同面接会で採用する方法があります。合同面接会では、たくさんの求職者と一度に面接をできるメリットがありますが、開催されるのは年に数回です。そのため、採用時期なども検討しながら、採用計画を立てていくとよいでしょう。

・障害者専用求人の申込み

障がい者向けの求人は、一般の求人票とは異なり、障がい者専用の求人票を申し込みます。障がい者専用の窓口がありますので、そこで受け取った求人票に、仕事内容や就業場所、雇用形態、待遇などを記載します。

トライアル雇用を検討している場合には、求人票に記載が必要ですので、合わせて窓口で確認してください。トライアル雇用の場合、求人票に記載していないと、助成金を受給できません。

・選考、面接

提出した求人票に応募があったときには、ハローワークから連絡がきます。連絡が来た後、書類審査や面接など、選考を行ってください。

障がい者雇用で応募してくる場合、求職者は医療機関にかかっている期間や訓練期間が長かったりするため、職歴があまりないケースがあります。また、書類での表現が苦手なことも少なくありません。そのためハローワークでは、書類選考だけでなく、面接の機会を作ることを勧めています。

ハローワークの「障がい者向けサポート」の流れ

ハローワークによる障がいのある方向けのサポートをステップに沿ってみてみましょう。
以下の内容は「ハローワークインターネットサービス 就職活動の進め方」を参考にしております。

ステップ1 ハローワークでの相談

ハローワークでは、仕事に関するいろいろな相談をすることができます。
相談の中には、自己分析や自身の適性についての相談や、周辺地域の求人状況の提供を受けることまで幅広くあります。

お住まいの地域のハローワークは以下から検索することができます。
ハローワーク等の所在地情報(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/info/location_list.html

ステップ2 希望条件の決定

就職するにあたっての希望条件を決定します。譲れないのはどの項目か、など希望を固めましょう。技能や技術を身につけたい方には、公的職業訓練(ハロートレーニング)について教えてもらうこともできます。

ステップ3 求人を探す

ハローワーク内に設置されたパソコンで求人を検索したり、窓口で相談しながら求人を一緒に探してもらったりできます。
応募したい求人が見つからないときは、自身の希望条件を見直すことで新たな求人を見つけることができます。

ステップ4 応募準備

求人ごとに異なりますが、一般的には履歴書や職務経歴書が必要になります。
作成した経験がなくても、ハローワークのサポートを受けることができます。

ステップ5 応募・面接・採用

応募したら、面接日時の決定を待ちましょう。このあたりもハローワークがサポートしてくれます。

面接を無事に終え、採用が決まった後も、労働条件の調整などやることはあります。わからないことがあったときはハローワークを頼ることができます。もし、不採用になったときも前のステップに戻って就職活動を続けられます。

まとめ

ハローワークは、障がい者雇用の支援機関の中でも中心的な役割を果たしています。

ハローワークでは、求職する障がい者への支援だけでなく、企業向けの支援も行っています。障がい者雇用に関わる相談や、助成金の相談や申請、また、地域にある各種就労支援機関と連携窓口としても活動していますので、障がい者雇用について困っていることや悩んでいることがあれば、まず相談してみることをおすすめします。

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