写真:日興みらん株式会社(SMBC日興証券 特例子会社)

キーワードは「障がい者雇用の見える化」 「みらんファーム」が取り組む障がい者の「雇用創出」と社員の「心のバリアフリー化」

日興みらん株式会社(SMBC日興証券 特例子会社)

取締役 事業部長兼総務部長 松川治 様

イメージ:日興みらん株式会社(SMBC日興証券 特例子会社)インタビュー
利用目的
  • 障がい者が安心して働ける環境の整備
  • 社員全体のノーマライゼーション意識の推進
抱えていた課題
  • 法定雇用率アップに対する現実的対応に迫られていた
  • 社員のノーマライゼーションに対するより一層の理解
利用効果
  • 社員のノーマライゼーションへの理解が格段に深まった(「心のバリアフリー化」の実現)
  • 「多様性」を尊重する、会社の経営理念に対しさらなる理解が得られた
  • 社員との交流を通じて、障がい者社員に社会性、積極性が芽生えた

SMBC日興証券の特例子会社である「日興みらん」は、2015年4月に設立され、同年9月には千葉県市原市に「みらんファーム」を開設し、障がい者の雇用機会創出と社員のノーマライゼーション意識の向上に大きな成果を挙げています。2016年3月には、環境省21世紀金融行動原則のグッドプラクティクスに選定されました。障がい者、健常者の別なく、働く全ての社員の多様性と個性を尊重する同社ならではの、農園を核とした「ノーマライゼーション」プロジェクトの取り組みついて伺いました。

「みらんファーム」が担う、「障がい者雇用ビジョン」の推進と「社員ノーマライゼーション」の深化

ー「日興みらん」の設立目的や事業概要を教えてください

当社はSMBC日興証券の特例子会社で、障がい者の方々が能力を存分に発揮できる就労環境の提供と雇用の促進を目的に、2015年4月に設立されました。「みらん」という社名には、『「実」りある未来に向って「走る(RUN)」』、障がい者と健常者とが手を携えて未来に向って進むイメージを託しました。障がい者の皆さんが抱えるそれぞれの特性に適した働き方を提供し、「持続的にいきいきと働ける」「働く喜びを実感できる」企業を目指しています。

「オフィス内で発生する事務作業の受託」と、「社員の研修モデルとしてのわーくはぴねす農園活用」を事業の二本柱として、障がい者が安心して長く働ける環境を整備し、雇用機会の拡充に努めるとともに、全社の「ノーマライゼーション」意識向上の推進に貢献しています。

ー「日興みらん」の設立時にSMBC日興証券が向き合っていた課題はどのようなものでしたか?

「日興みらん」設立の議論は、2014年の春に開始されました。当時は社員数が増加傾向にあり、法定雇用率の遵守が重要な課題となっていたのです。すでに雇用している障がい者の高齢化もあって、人事施策として「障がい者雇用の強化」をテーマに設定し、有効かつ具体的な方法論が検討されました。

またSMBC日興証券では、経営理念として、「多様性を尊重しつつ、一体感の中にも個性の発揮できる職場をつくる」を掲げています。しかし当時、理念に適ったノーマライゼーション意識の社員への浸透は、十分とはいえませんでした。障がい者雇用を通じた社員の意識向上、CSR、ブランディングの実現は全社共通の課題であり、特例子会社の設立がその課題克服のための効果的な手段であると考えました。従来からの内部障がい者などの見えない障がい者雇用のみならず、知的障がい者、精神障がい者を積極的に迎え入れることで「障がい者雇用の見える化」を推進し、彼ら彼女らとの交流を通じて社員全員が「心のバリアフリー化」を体得する。そして「みらんファーム」を舞台とした「社員の研修モデルとしての農園活用」メソッドの確立が「日興みらん」に期待されました。

ー「みらんファーム」の導入に踏み切った最大の決め手とは?

農園活用が障がい者雇用に有効とされる情報は、当時の私どもの耳にも入っていました。しかしこれまで、農業との間に接点はありません。証券会社の仕事はマーケットに関わるものであり、農園活用は本業とは全く異なる世界です。しかし「わーくはぴねす農園」で障がい者の方々が明るくひたむきに働く姿を見学し、導入を決断しました。未知の事業への挑戦だけに不安は拭えませんでしたが、エスプールプラスと協力し農園の仕組みを作り上げ、「みらんファーム」がスタートいたしました。

ファームを舞台とした「ノーマライゼーション研修」は、社内でも指折りの人気研修に

ー運営開始当初は、さまざまなご苦労を経験されたそうですね

農園事業の意義を理解していても、運営ノウハウがなく、手探りに近いかたちでのスタートとなりました。2015年9月1日、「みらんファーム」の業務を開始、9月18日には野菜が育つ環境の一部が完成。早速小松菜を植栽し、育成作業と栽培エリアの拡大に努める日々を過ごしました。この小松菜は、11月5日にファーム最初の収穫物として6箱の成果に結実、障がい者社員の意気高揚に大いに貢献しました。もっとも農園自体はやっと産声を上げたような状況で、運営が軌道に乗るには翌年の春まで待たねばなりませんでした。

そして2016年4月、農園を利用した「ノーマライゼーション研修」がついにスタートしました。現在までに約180回開催、約700名の研修生を輩出する人気研修へと成長しました。

研修が進化させた社員のノーマライゼーション意識、仕事意識、そして障がい者社員のやる気

研修は社員の皆さんの意識改革に素晴らしい影響を与えたようですね

今までに700名近い社員がこの研修を経験しましたが、参加者からこれほど高い評価を得ている研修は少ないのではないかと自負しています。提出されたアンケートによると、この研修を他の人にも勧めたいですかという設問に約95%の人が「ぜひ勧めたい」と回答しており、極めて高い評価をいただいています。また評価コメントは、おおよそ5つのカテゴリーに分類されます。

【ノーマライゼーション効果(心のバリアフリー)】

「本日の研修で、障がいというのは個性であり、全く特別なことではないと、あらためて思うことができました。本当にすばらしい研修に参加できてよかったです」「障がいがあるといっても、私達と何も違わないということを改めて感じる機会となりました」

【エンゲージメント効果】

「参加して本当に良かったと思います。2度3度と参加したいです。グループ会社に「みらん」があることは、日興社員としての誇りだと感じました」「入社以来、受けた研修の中でダントツ一番に役立つ研修でした。当社がこのような事業をやっていることを、大変誇りに思います」

【仕事への気付き】

「みなさんの真剣に作業に取組む姿勢を見て、改めて自分自身の普段の業務に対する意識を変えなければと感じました」「人に教えること、人から教わることについて、改めて考えさせていただく機会になりました」

【経営理念の体感】

「学ぶことがたくさんあり、人として成長できた時間だったと思います。研修を通じて多様性の尊重を理解することができました」

【感動~働く意義の再発見】

「皆さんの笑顔と礼儀正しさに感動しました」「純粋に皆で一つの目標に向かって仕事をしている印象をうけて、心が洗われた気がしました」「農園スタッフの皆さんが主体的に元気に明るく働かれている姿は、とてもキラキラと輝いていて、こちらも元気をもらいました」「どんな小さな仕事でも、真面目に、こだわりをもってやっている姿を見て、障がいに関係なく胸を打たれました」

正直なところ、開始当初は社員にとって義務参加に近かった「ノーマライゼーション研修」でしたが、参加者による社内口コミが浸透し人気に火が付きました。開始から5年が経過しましたが、アンケートの他者への参加推奨値は今でも上昇を続けています。「早くウチの部署にも順番を回して欲しい!」今ではそんな嬉しいお叱りを受けるほど、ファームの存在は浸透しています。

「お客さまと共に発展し、最高の信頼を得られる会社を目指す」「多様性を尊重しつつ、一体感の中にも個性の発揮できる職場をつくる」このグループの経営理念を体現している場所こそ「みらんファーム」であると心から感じる昨今です。

収穫野菜の配布会は、生きた「ノーマライゼーション研修」の場

ーその他、想定を超えた成果はありましたか?

「ノーマライゼーション研修」は、働き手の障がい者社員にもプラスの効果をもたらしています。特に社会性の萌芽が目覚ましいですね。自閉症の社員が、自己紹介できるようになるなど、研修を通じて対人関係の改善に自主的に取り組む姿が見られるようになりました。社員とのコミュニケーションが積極性を育み、働くモチベーションへとつながっています。やはり、人間は頼りにされると嬉しいですし、心が前向きになるものです。研修が始まって以降とても明るくなりましたと、保護者の方からありがたいお言葉もいただいています。

収穫された野菜は福利厚生の一環として社内に順次配布されていて、新鮮で味がよいと大変好評です。また、コロナ禍前は野菜の配布イベントを千代田区の本社ビルで実施し、社員と障がい者スタッフの素晴らしい交流の場が実現しました。配布会は11時30分からのスタートでしたが、11時には行列が出来始める人気ぶりで、用意した野菜2000把がわずか2時間弱でさばけてしまいました。獲れたての野菜を前にして、社員とスタッフの間で会話も弾みます。研修経験者が農作業を教わったスタッフのもとに駆け寄り、思い出話に花が咲きます。配布会はいつの間にか、かけがえのない生きた「ノーマライゼーション研修」の場となっていました。この交流イベントはこれまで2回実施しましたが、ぜひ今後も継続していきたいですね。

ー「みらんファーム」の今後の目標、未来予想図をお聞かせ下さい

もっともっと研修参加者を増やせる体制作りを目指しています。首都圏エリアでは認知度も上がりましたが、全国的にはまだまだ。引き続き事業の継続に励み、ノーマライゼーションの意義啓発に努めて参ります。また、リアルな研修の場のみならず、リモートを活用した地方支店などとの研修、一般社員以外にも休職者が現場復帰するためのリハビリ研修の場として機能できないかなど、「みらんファーム」の新しい活用方法の追究もしていきたいと考えています。

日興みらんとエスプールプラスは、開設以来二人三脚の関係です。これからも「障がいのある方々がいきいきと働ける環境」作りにともに邁進するよきパートナーでありたいと願っています。

2021年1月14日インタビュー
本文中の企業名、役職、数値情報等は、インタービュー当時のものです。

会社名 日興みらん株式会社(SMBC日興証券 特例子会社)
事業内容 お客様の資金調達や資産運用のニーズに応える総合金融サービス業務
URL https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/diversity/disabilities/

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