株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS)
管理本部 副本部長 兼 人事総務部 部長 兼 ファーム推進室 室長 理事 馬籠忍 様
管理本部 人事総務部 兼 ファーム推進室 神原由紀子 様
経営コンサルティング、システム開発からBPOまで、DXを活用した様々なソリューションで企業のビジネス力強化を支援する株式会社ビジネスブレイン太田昭和様。同社はここ数年で急成長を遂げていますが、拡大する企業体に見合う障がいのある方の採用が追いつかず、解決策を探していました。同社が農園導入前に抱えていた課題点から、期待した以上の成功を収められた理由、そして目標とする将来像までを、ファーム推進室のお二人にお聞きしました。
現在の農園運営状況と、導入前に抱えていた課題をお聞かせください
「BBSスマイル農園」は2021年12月に開園し、1周年を迎えました。当初は1チームでのスタートでしたが、すぐに農園の有効性が確認できましたので、今年3月には2チーム体制に強化しました。現在重度の身体障がいのある方1名、重度の知的障がいのある方1名、知的障がいのある方2名、精神障がいのある方2名の計6名を採用しています。弊社では農園を人事総務部に連なる一部署として公式な組織図にも明記し、会社の重要な活動の一つとして位置付けています。おかげさまで当農園の雰囲気は大変良く、スタッフ全員笑顔で日々の業務に取り組んでいます。仲の良さは自慢できるほどで、偶然にも年齢の近い中高年層が多く集まったことで、大人の優しいチームが結成できたようです。スタッフの働きぶりもモチベーションにあふれた見事なもので、勉強熱心なスタッフのために野菜図鑑を提供したところ、全員で何度も読み返して、次に育てる野菜研究や知識の蓄積に余念がありません。
スタッフの男女比は現在男性が5名、女性が1名です。スタッフを指導する農場長は男女各1名体制ですが、農業は全員が初心者からのスタートだけあって、農園全体が一丸となって元気に野菜に向き合う毎日です。そんな日々の様子は、日報や電話、チャットなどで本社に報告されています。本社と農園間のコミュニケーションは、大変充実しています。私たちが農園に赴くのは2週間に1回ほどですが、間の週にはリモート会議を開催し、毎週全員と顔を合わせる機会の創出を心がけています。
働く場所は離れていますが、同じ部署で働く同僚として社員証、名刺、社章などの備品も支給しています。スタッフの中には他社で社会人経験を持つ人材もいます。社会の一員として、誇りを持って働いてもらいたい。そのためには、一般社員と分け隔てなく付き合うことが必須と考えています。おかげさまで農園スタッフの会社への帰属意識は大変高く、真摯に仕事に取り組む姿勢に私も刺激を受けています。
弊社はDXを活用した様々なソリューションをお客様に提供していますが、業界はここ数年深刻な人材不足に悩まされています。社員の高齢化も進み、まずは一般社員の採用に注力せざるを得ない時期が続きました。もちろん障がいのある方の雇用にも取り組んではいたのですが、障がいの種別や程度によっては定着が難しい業種でもありますし、障がいのある方をサポートしている社員の負担も無視できません。そんな五里霧中の状況に悩んでいた頃、エスプールプラス社に出会いました。
エスプールプラス社から連絡をいただく前から、農園で障がいのある方を雇用する企業の存在は知っていました。当時は本業雇用ではないことから、正直抵抗感が先に立ち検討には至りませんでした。しかし、エスプールプラス社は他社と違って、働く人たちの幸せを重点に置き、農園運営に取り組まれています。彼らの働き甲斐や働く幸せにつながり、会社にとってもノーマライゼーションの推進や社会貢献活動になる。そして結果的に法定雇用率のクリアにもつながり、「これしかない」と直感しました。開園から約1年、農園は個々の能力を最大限に発揮できる場に成長しようとしています。現在では、法定雇用率も十分達成できています。働き手、会社の双方に幸せをもたらす同社の提案は、弊社の障がい者雇用の進化に大いに貢献してくれました。
農園が生みだした具体的な成果をお聞かせ下さい
収穫された野菜は、社員や、本社がある港区の子ども食堂が開催しているフードパントリーなどにお配りしています。会社で配布するとあっという間になくなってしまうほどの人気ぶりで、当日不在だった社員から「いいなあ」と恨み節が聞かれるほどです(笑)。味の評価も大変高く、中にはスーパーマーケットと比較して、新鮮な無農薬野菜のおいしさをレポートしてくれる社員も現れました。農園の野菜を使った料理の写真や、感謝の寄せ書きなども多く寄せられています。農園にはそんな素晴らしい交流の証がたくさん掲示され、スタッフの元気の源になっています。
5月には新入社員30名を対象にしたダイバーシティ研修を農園で開催しました。密を避けるために15名ずつ2チームを組み、農園作業と障がい者雇用に関する座学を実施、会社のダイバーシティや社会貢献に対する情熱を肌で感じると同時に、社員同士の良いコミュニケーションの場となりました。SDGs意識が高い彼らの、会社へのエンゲージメント向上につながったと実感しています。将来弊社を担う人材の心に、仲間や会社との一体感が醸成された、素晴らしいチャレンジとなりました。
新入社員研修は既に毎年の恒例開催が決定しています。新人のみならず、様々な部署やプロジェクトチームからも農園訪問の希望が殺到しており、想定していた以上に社員の意識が明らかに大きく変わりつつあります。
BBSスマイル農園が目指す次のステップを教えてください
リクルーティング面でも、農園の存在は有用です。これからの世代は会社を選ぶ条件に福利厚生の充実などと同時に、SDGsへの取り組みを重視しています。ダイバーシティなどの実践を、会社選びに欠かせない要素だと考えている世代です。またステークホルダーの皆様に対しても有効的な施策であると感じています。また、経営層が先頭に立って、この取り組みを評価していただけているのは本当にありがたいですね。おかげさまで、現在では多くの社員が会社の経営理念と農園の存在意義の共通性を理解できており、農園に学ぼうという意識が盛り上がってきました。弊社は11社を擁するホールディングカンパニーですが、グループ会社もまた同様の悩みを抱えています。これまでに培った理念やノウハウを、今後はグループ全体で共有していきたいですね。
今後はスタッフが地域貢献活動に参加するなど、自分たちの社会貢献意識の向上を図りたいですね。弊社社員の多様な働き方の象徴として、より誇りを持てる農園に育てていきたい。そして訪問した社員が、「自分ももっと頑張らねば」と思う場にしたいと考えています。去年の12月に入社した3名ですが、当初は緊張もあり会話が少ない状態で、将来を不安に感じたこともありました。ところが翌3月には新しく入社した障がいのあるスタッフ3名に対し、率先して農場案内を務めてくれました。先輩として後輩たちに楽しそうに教え、接している姿を見て、改めて感動しました。人が変われば会社も変わる。「BBSスマイル農園」は、社員と会社の成長を推進する部署へと変わりつつあります
2022年11月28日インタビュー
本文中の企業名、役職、数値情報等は、インタービュー当時のものです。
会社名 | 株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS) |
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事業内容 | 経営会計コンサルティングやシステム構築・運用、ビジネス・プロセス・アウトソーシングを提供 |
URL | https://www.bbs.co.jp/ |