障がい者雇用に関する法律について

障害者雇用促進法は、障がい者の雇用義務等に基づいて雇用促進や障がい者の職業の安定を図ることに関する方策が定められたものです。

正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」ですが、一般的には障害者雇用促進法と呼ばれています。障害者雇用促進法では、事業主に対して雇用義務制度と納付金制度が課せられています。

障害者雇用率制度

事業主は、雇用している従業員の一定割合以上の障がい者を雇用する必要があります。この一定割合が、障害者法定雇用率です。

令和3年2月までの法定雇用率は、次のとおりです。

  • 民間企業 2.2%
  • 国、地方公共団体、特殊法人等2.5%
  • 都道府県等の教育委員会 2.4%

障害者雇用率の対象となる民間企業の事業主の範囲は、従業員43.5人以上です。

令和3年3月からは、この雇用率が0.1%引き上げられたため、以下の雇用率になりました。

  • 民間企業 2.3%
  • 国、地方公共団体、特殊法人等2.6%
  • 都道府県等の教育委員会2.5%

障害者雇用納付金制度

障害者雇用納付金制度は、障がい者の雇用にともなう事業主の経済的負担の調整を図るものです。つまり、障がい者雇用は、事業主が相互に果たしていく社会連帯責任という考えのもと、障害者雇用率に達していない事業主は、その分を障害者雇用納付金として納めることになっています。

雇用率未達成の企業は、障がい者の不足1人につき、月額5万円の雇用納付金が徴収されます。適用対象は、常用労働者100人超の企業です。常用労働者100人以下の中小企業からは徴収していません。

徴収された納付金は、事業主が障がい者雇用を促進するための作業設備や職場環境を改善する、雇用管理や能力開発等を行うなどの各種助成金や、雇用を多くしている事業主への調整金などに活用されています。

障害者雇用調整金は、雇用率達成した事業主を対象に、1人につき月額2万7千円が支給されます。調整金の適用対象は常用労働者が100人超の企業です。100人以下の事業主については報奨金が支給され、1人につき月額2万1千円となっています。

障害者雇用促進法の改正で注意すべきポイント

改正障害者雇用促進法(2020年4月)の新制度として、事業主に対する特例給付制度と優良事業主としての認定制度の創設が定められました。

短時間障がい者雇用の特例給付金制度では、週20時間未満の労働者を雇用する企業へ特例給付金が支給されます。

障害者雇用促進法では、週所定労働時間20時間未満で雇用される障がい者は、雇用されても障がい者雇用のカウント対象にならないため、雇用機会が得られないケースが多いという課題がありました。しかし、精神障がい者の雇用が広がり、短時間でも働きたいというニーズも多く、厚生労働省では研究会の中で、多様な希望や特性に対応し働き方の選択肢を拡大することを検討してきました。そして、短時間就労の雇用機会として考えられたのが、この特例給付金です。

中小企業を対象とした障害者雇用優良認定制度は、「もにす制度」とも呼ばれています。優良企業に認定されると、自社の商品や広告等へ「認定マーク」を掲載することができ、障がい者雇用の促進・安定に関する取り組みが優良な企業であることをアピールできるなどの特典があります。その他には、日本政策金融公庫の低利融資対象となることや、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークによる周知広報の対象となること、公共調達等における加点評価を受けられる場合もあります。

認定されるには、障がい者雇用への取組(アウトプット)、取組の成果(アウトカム)、それらの情報開示(ディスクロージャー)の3項目について、項目ごとの合格最低点に達しつつ、合計で50点中20点(特例子会社は35点)以上を獲得することが必要です。認定の申請は、事業所を管轄する都道府県労働局となります。

障害者雇用促進法は、障がい者雇用の状況や研究会等での検討に合わせて、雇用率や事業主の障がい者雇用を促進する施策の変更が行われています。厚生労働省や労働局、ハローワーク等からの情報を定期的にチェックすることをおすすめします。

障害者雇用率のカウント方法

障害者雇用率は、次の計算式によって決められています。

障害者雇用率の計算式

出典:障害者雇用率制度について(厚生労働省)

事業主が自社の障がい者雇用が何人必要かを知るためには、次の計算式で求めることができます。

自社の法定雇用障がい者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率

常時雇用労働者の定義とカウント方法

常用労働者は、1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)で、1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者を指します。1人を1人の労働者としてカウントします。

短時間労働者の定義とカウント方法

短時間労働者は、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者については、1人をもって0.5人の労働者としてカウントします。

法定雇用障がい者の計算の例

実際に、何人の障がい者を雇用する必要があるのかを計算してみましょう。

自社の法定雇用障がい者数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率

常用労働者が300人で、週20~30時間勤務のパート従業員が50人いる事業主の場合、(300+50×0.5)×2.2%(雇用率)=7.15

小数点以下の端数は切り捨てとなり、7人の雇用が求められることになります。

障がい種類別・等級別のカウント方法

障がい者雇用では、障害者手帳をもつ障がい者を雇用することで、障がい者を雇用しているとカウントされます。

障害者手帳とは、障がいのある人に交付される手帳のことで、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。交付される手帳には、生活における支障の程度や症状などに応じた「障害等級」と呼ばれる区分が設けられています。

障がい別のカウント方法は、次の表のとおりです。

週所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満
身体障害者 1 0.5
重度身体障害者 2 1
知的障害者 1 0.5
重度知的障害者 2 1
精神障害者 1 0.5

※ 精神障がい者である短時間労働者で、①かつ②を満たす方については、1人をもって1人とみなす。

①新規雇入れから3年以内の方 又は 精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の方

②令和5年3月31日までに、雇い入れられ、精神障害者保健福祉手帳を取得した方

出典:障害者雇用率制度について(厚生労働省)

身体障がい者である場合のカウント方法

身体障がい者は週の労働時間が30時間以上の場合は1カウント、短時間労働(週の労働時間が20~30時間未満)の場合は0.5カウントとなります。

重度身体障がい者は、週の労働時間が30時間以上の場合は2カウント、短時間労働(週の労働時間が20~30時間未満)の場合は1カウントとなります。

知的障がい者である場合のカウント方法

知的障がい者は、週の労働時間が30時間以上の場合は1カウント、短時間労働(週の労働時間が20~30時間未満)の場合は0.5カウントとなります。

重度知的障がい者は、週の労働時間が30時間以上の場合は2カウント、短時間労働(週の労働時間が20~30時間未満)の場合は1カウントとなります。

精神障がい者である場合のカウント方法

精神障がい者は、週の労働時間が30時間以上の場合は1カウント、短時間労働(週の労働時間が20~30時間未満)の場合は0.5カウントとなります。

なお、現在は、精神障がい者の短時間雇用の0.5カウントを1カウントにする特例措置が設けられています。対象者は、精神障がい者である短時間労働者で、新規雇入れから3年以内、または、精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内となっており、令和5年3月31日までに雇入れられる場合、精神障がい者1人に対して1カウントされることになります。

まとめ

障がい者雇用の等級によるカウント方法について説明してきました。

事業主に求められている障がい者雇用は、障害者雇用促進法という法律で定められており、障害者雇用率制度と雇用納付金制度が設けられています。雇用率は、定期的に引き上げられており、令和3年3月からは0.1%引き上げられます。そのため障害者雇用率の対象となる事業主の範囲が43.5人以上に広がります。

障がい者雇用のカウントには、障害者手帳をもつ障がい者を雇用することが必要です。障がい別や労働時間によってカウント方法が異なりますので、注意が必要です。短時間の精神障がい者を雇用される場合には、特例措置が活用できますので、検討することができるでしょう。