障害者雇用率制度とは?

障害者雇用率制度とは、民間企業や国・地方公共団体に一定以上割合で障がい者を雇用するように義務づけた制度のことです。
労働市場においては、障がい者は一般の就労者に比べて雇用機会を得にくくなっています。
そこで、一定割合の障がい者の雇用を義務づけることで、一般の方と障がい者の雇用機会を均等にすることが雇用率制度の目的です。

法定雇用率とは

法定雇用率とは、企業や国・地方公共団体が達成を義務付けられている障害者雇用率のことで、障害者雇用率は下記の計算式で算出されます。
障害者雇用率.PNG
出典:障害者雇用率制度について(厚生労働省)

法定雇用率は事業主の区分によっても異なりますが、2021年10月現在では、事業主別の法定雇用率は次のようになっています。

  • 民間企業:2.3%
  • 国・地方公共団体:2.6%
  • 都道府県等の教育委員会:2.5%

法定雇用率は、労働市場の状況や経済状況を反映するためおよそ5年周期で見直されていますが、5年毎に引き上げられる傾向が見られています。
民間企業では、2013年に2.0%、2018年4月に2.2%、2021年3月からは2.3%と0.1~0.2%ずつ引き上げが行われてきました。

除外率制度とは

除外率制度とは、障がい者の就業が一般的に難しいと認められる業種について、障がい者の雇用義務を軽減することが目的で制定された制度です。
雇用労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者は控除されます。この制度はノーマライゼーションの観点から廃止されましたが、段階措置としてしばらくの間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で徐々に除外率を引き下げることとされています。

障害者雇用義務の変更について

障害者雇用促進法が改正され、平成30年4月より障害者雇用義務の対象として精神障がい者も加わりました。
それに伴い、法定雇用率も変更となりました。

主な変更点

大きく、精神障がい者の雇用義務化、法定雇用率の引き上げ、精神障がい者である短時間労働者の算定方法の変更の3点が変更になりました。

1.精神障がい者の雇用義務化

これまで対象だった身体障がい者、知的障がい者に加え、精神障がい者が障がい者雇用義務の対象となりました。

2.法定雇用率の引き上げ

2021年3月に、民間企業の法定雇用率は2.2%から2.3%に引き上げが行われました。
それまでは従業員45.4名以上の企業に障がい者の雇用義務が生じていましたが、2.3%の場合、従業員43.5人以上の事業主は雇用義務を負うことになります。

3.精神障がい者である短時間労働者の算定方法の変更

精神障がい者の定着を促進するために、短時間で働く精神障がい者の算定方法が見直されています。
以下の条件に当てはまれば、これまで0.5名の算定から、1名の算定に変更となりました。(雇入れから3年以内の方または手帳取得から3年以内の平成35年3月31日までに雇い入れられ、手帳を取得された方。)

また、全ての種類の障がいに当てはまることですが、必ずしも1人の障がい者が1人の雇用としてカウントされるのではなく、障がいの種類や程度によってカウント方法が異なります。
詳しくは「障がい者雇用の等級によるカウント方法の違いとは?」の記事で紹介しています。

障害者の実雇用率が法定雇用率を未達成の場合

障がい者の実雇用率が法定雇用率に達していない労働者が100名以上の民間企業は、納付金支払いの義務が生じます(1名あたり5万円/月)。
また6月1日の雇用状況により2年間の雇入れ計画を作成し、実施しなければなりません。
2年間で法定雇用率が達成しなければ、厚生労働省のホームページに障がい者雇用率が未達成の企業として掲載され、社名検索で上位に表示されます。
納付金に関する詳細な情報については、「障害者雇用納付金制度とは?助成金の種類についても解説」の記事をご覧ください。

障害者雇用率制度の現状

厚生労働省が発表した「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業に雇用されている障害者の数は578,292.0人で前年より3.2%増加し、過去最高を記録しています。
障害者の実雇用率は2.15%、法定雇用達成企業の割合は48.6% となっています。
平成30年度の法定雇用率未達成企業は52,742社あり、そのうち65.6%は不足数が0.5人または1人と、あと少しで法定雇用率を達成できる状況です。
また、障害者を一人も雇用していない企業は30,542社であり、未達成企業の57.9%を占めている状況です。
出典:厚生労働省「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」

法定雇用率を満たすためには

法定雇用率を満たすためには、障害者雇用を始める必要があります。
通常は、各地域のハローワークへ連絡を行い、障害者雇用の相談を行うことが多いです。
障害者の就労に関しては、障害者就業・生活支援センターや、就労移行支援事業所など様々な機関が存在しているため、そのような機関と連携しているハローワークを利用するとスムーズに障害者雇用が行えます。

また、雇用に当たっては、トライアル雇用助成金や特定求職者雇用開発助成金など様々な助成金を利用することができます。
事前にどのような助成金が利用できるかを確認して雇用を行いましょう。