更新日:2024年3月28日
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チャレンジ雇用とは

チャレンジ雇用とは、官公庁や自治体で障がい者枠の雇用を進めるための制度です。

障がい者雇用で雇用する企業は増えていますが、企業側は、就職経験がない人を雇用することに不安を感じることがあります。例えば、本当に働けるのか、雇用したけれど、配慮や対応が大変なのではないか・・・などと考える企業も少なくありません。

そこで、知的障がいなどで、就職した経験がほとんどない人でも一般企業での就職先が広がることを目指して雇用期間を設けて、官公庁や自治体の行政機関で働けるようにした制度がチャレンジ雇用です。非常勤職員として働いた経験をもとに、一般企業への就職を目指していきます。

チャレンジ雇用の雇用期間

チャレンジ雇用は、雇用先の状況にもより多少違いはありますが、一般的には1年以内の期間の契約で、1~3年雇用されることになります。

チャレンジ雇用は、非常勤職員として働いた経験を通して、働くことに対する自信をつけてもらい、一般企業で働くための準備やスキルアップ期間と捉えられています。

そのため短い期間でスキルアップして、一般企業に採用が決まれば、チャレンジ雇用を1年で修了する人もいますし、さらに2~3年働く人もいます。

チャレンジ雇用の対象者

勤務先の募集によりますが、チャレンジ雇用の目的は、今まで就職経験がない人にも一般企業で働く機会を作ることが含まれていますので、基本的には働いた経験がない、または少ない知的障がい者や精神障がい者を対象としていることが多いようです。

また、働くことに不安があっても、このチャレンジ雇用を通して、一般企業での就職希望している人が対象となります。

チャレンジ雇用での一般的な仕事内容

チャレンジ雇用も、それぞれの職場によって異なるため、仕事内容はさまざまです。

障がい者の仕事内容として多い、事務補助的な仕事やバックヤード的な業務が多く、メールの仕分けや配達などの軽作業や、パソコンを使ってのデータ入力や資料作成などの事務的な仕事をすることが多いようです。

また、職場によっては、環境整備業務として、清掃や施設管理などの仕事をすることもあります。

チャレンジ雇用とトライアル雇用の違い

障がい者雇用で働くことを希望する人の中には、働いた経験が少なかったり、働いた経験があっても無職の期間が長くある人も少なくありません。しかし、このような経歴であると、採用する企業側は、雇用することに慎重になりがちです。そこで、このような人たちがチャレンジしやすいようにチャレンジ雇用やトライアル雇用が準備されています。

チャレンジ雇用については、この前のところで説明してきましたが、官公庁や行政機関などで1~3年の間働いた経験をもとに、一般企業への就職を目指す働き方でした。

一方、トライアル雇用は、一般の企業で雇用されるときに活用できる制度です。トライアル雇用期間と呼ばれる数ヶ月の期間が設定されており、この期間に試しに働いてみて継続して働けそうだと思った時に、企業の合意のもとに契約を更新し、働き続けることができるものです。

チャレンジ雇用と同じように、この制度でも、働いた経験があまりなかったり、働いた経験があっても退職してから長い時間がたってしまったような人が活用できる制度となっています。

トライアル雇用とチャンジ雇用は、対象となる人が、働く経験のない人や離職してからの期間が長いなどの条件で似ているところもありますが、雇用期間の考え方は異なります。トライアル雇用は、トライアルの期間が終わる時に、雇用する企業側、働く障がい者が合意すれば、そのまま働き続けることができますが、チャレンジ雇用は期間が決まっており、期間が終了する時には、次の就職先を見つける必要があるのです。

チャレンジ雇用のその後の対応について

チャレンジ雇用が終わると、働き続けることができないので、期間が終わる前に就職活動を行う必要があります。多くの場合、数ヶ月前から就職活動をおこなうことになります。

就職活動は、就労支援機関の支援を受けつつ、一般企業への就職を目指します。もし、チャレンジ雇用期間中に就職先が決まらない時には、就労移行支援事業所や、就労継続支援事業所で働くことの選択肢があります。

就労移行支援事業所や就労継続支援事業所は、障害者総合支援法の就労系の福祉サービスに位置づけられるものです。就労移行支援事業所は、2年間の利用期間中に就職活動をして、企業への就労を目指します。

また、就労継続支援事業所は、障がいや体調などへの配慮がある職場で働く福祉サービスとなります。就労継続支援事業所は、雇用契約を結んで働くA型と、雇用契約は結ばないB型の2つに分かれます。就労継続支援事業所には、利用の年限は決まっていません。

チャレンジ雇用の事例

ある行政機関のチャレンジ雇用の応募要項を見てみましょう。

受験資格としては、次のことが条件となっています。

  • 療育手帳を持っている人、または、精神障がい者保健福祉手帳を持っている。
  • 採用される地域に住んでいる。
  • 障害者就業・生活支援センターの支援を受けながら、一般企業の就職を目指す。

仕事内容としては、事務補助の仕事として、文章の折りや封入、データ入力などのパソコンを使った作業、郵便物の集配や仕分けなどがあげられています。

試験内容は、2回にわかれており、1次試験は、筆記試験(事務補助の仕事に必要となる読

み書かき・基礎知識等)と面接試験(障がいの状況や、就労に必要な配慮事項の確認、業務に関する基本的な作業など)が含まれます。

また、2次試験は、実技試験で、実際の仕事をイメージした軽作業やデータ入力と、面接試験があります。

採用に関しては、一般職の非常勤職員としての採用となり、期間は1年間(任用後1ヶ月は条件付き採用、職務を良好な成績で遂行した時に正式採用)、勤務実績が良い場合には、最大3年間の任期期間が更新されることになります。

チャレンジ雇用を利用する際の流れ

チャレンジ雇用の採用は、ハローワークを通して求人が行われます。採用は、履歴書などの書類選考と面接で決まることが多いですが、場合によっては、採用前に実習があることもあります。

チャレンジ雇用に応募したいと思ったら、まずハローワークで求人登録をしておきましょう。求人が行われる時期は、一般的には4月や10月からの採用が多いので、募集はその数ヶ月前から行われることになります。募集の期間は、求人の出される行政によって異なりますので、応募を希望する場合には、それぞれの行政機関のホームページやハローワークなどでチェックしておくとよいでしょう。

なお、チャレンジ雇用では、期間が限定されている雇用になりますので、その後に一般就労を目指すことになります。契約期間が終了するまでに、どのような仕事に就きたいのかを考えて、働いている間に就職活動することが必要です。

チャレンジ雇用の探し方

チャレンジ雇用の求人は、ハローワークに出されることが多くあります。ハローワークで求人登録をしてチェックしておきましょう。

また、各行政機関のホームページや広報で応募要項が載ることもありますので、それらもチェックしておくとよいでしょう。

まとめ

チャレンジ雇用とは、どのような雇用なのかについて見てきました。

企業では、就労経験が少ない障がい者を雇用することに不安を感じることが少なくありません。しかし、障がい者の方の中には、今まで働いた経験がないという人もいます。

そこで、知的障がいなどで、就職した経験がほとんどない人でも、行政機関で働ける経験をすることを通して、一般企業での就職先が広がるための就労の準備ができる制度がもうけられました。これが、チャレンジ雇用です。

雇用期間が1~3年と限定されていますが、働く経験が少ない人にとっては、この働いた経験をもとに、一般企業への就職を目指していくことができる機会となる可能性があります。

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