「障害のある社員を採用したものの、なかなか職場に定着せず、早期離職が続いている」そんな悩みを抱える人事担当者は少なくありません。
2026年7月、民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%へと引き上げられ、雇用義務の対象も従業員37.5人以上の企業へと広がりました。これからは「採用」だけでなく「定着」への取り組みが、これまで以上に重要になります。
その定着を支える専門職が、ジョブコーチ(職場適応援助者)です。企業はジョブコーチ支援を基本的に無料で利用でき、社員の職場定着に向けた専門的なサポートを受けられます。
この記事では、ジョブコーチの基本から、企業が使う際の支援内容・費用・助成金・申し込みの流れ、そして「おまかせでは失敗する」を防ぐ活用法までを、企業目線で解説します。
【この記事でわかること】
なお、エスプールプラスでは「わーくはぴねす農園」を通じて、業務の割り当てから採用・定着支援まで、障がい者雇用を支援しています。2026年5月末現在全国62か所の農園・750社以上の導入実績と92%以上の定着率で、「適した業務が見つからない」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった企業の課題解決を伴走します。
ジョブコーチ(職場適応援助者)とは、障害のある人が職場に適応できるよう、職場に出向いて障害特性を踏まえた専門的な支援を行う専門職です。本人だけでなく、企業や上司・同僚、家族にも助言を行い、障害者と企業の双方をつなぐ「橋渡し役」を担います。
2002年から障害者雇用促進法にもとづいて行われている「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業」という国の制度であり、企業も安心して活用できます。
「ジョブコーチに頼むと、何をしてくれるのか」。まず押さえたいのが、その役割と最終的なゴールです。
ジョブコーチの役割は、障害のある社員と企業の間に立ち、双方に必要な支援や助言を行うことです。障害者職業カウンセラーが立てた支援計画に沿って、本人には仕事の進め方を、企業には接し方や環境づくりを具体的にサポートします。
目的は、障害のある社員の職場定着です。ここで重要なのは、ジョブコーチの支援は永続的なものではないという点です。ジョブコーチによる支援は、最終的に上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)へスムーズに移行していくことを目指しています。
つまりジョブコーチが目指すのは、「自分がいなくても、職場の力だけで回る状態」をつくることです。
「うちの社員は対象になるのか」「手帳がないと使えないのか」。利用を考えるうえで気になるのが、支援の対象範囲です。
ジョブコーチ支援の対象は、職場での支援が必要な障害のある人(求職者または在職者)です。これから就職する人だけでなく、すでに働いている社員も対象になります。
ジョブコーチの対象の条件
手帳がなくても利用できる点は、見落とされがちですが企業にとって大きなメリットです。
専門的な支援と聞くと、費用が気になる人事担当者は多いはずです。ジョブコーチ支援の利用は、基本的に無料です。ジョブコーチの活用にかかる費用は助成金でまかなわれるため、企業の費用負担は基本的に発生しません。地域障害者職業センターから派遣される配置型ジョブコーチも、無料で利用できます。
ただし、例外もあります。外部のジョブコーチに依頼するのではなく、自社の社員が研修を受けてジョブコーチになる場合は、研修費用がかかることがあります(この点はのちほど「3つの種類」で解説します)。企業が活用できる助成金の詳細も、後半の「企業が活用できる助成金制度」でまとめます。
ひとくちにジョブコーチといっても、実は3つの種類があります。どこに所属し、誰が派遣されるかによって分かれており、配置型・訪問型・企業在籍型の3種類があります。企業が利用する際は、それぞれの違いを押さえておくとスムーズです。
| 種類 | 所属先 | 特徴 |
|---|---|---|
| 配置型 | 地域障害者職業センター | 就職が特に難しい人を重点的に支援。他の2型と連携も |
| 訪問型 | 社会福祉法人など | 支援機関の経験者が企業へ訪問して支援 |
| 企業在籍型 | 障害者を雇用する企業 | 自社の社員がジョブコーチとして社内で支援 |
配置型ジョブコーチとは、地域障害者職業センターに配置されているジョブコーチです。3種類の中で中心的な存在といえます。
就職の困難性が高い障害者を重点的な支援対象とし、自ら支援を行うほか、訪問型・企業在籍型のジョブコーチと連携して必要な助言・援助を行います。地域障害者職業センターに相談すると、まずこの配置型ジョブコーチが対応の窓口になるケースが一般的です。費用はかからず、企業は無料で支援を受けられます。
訪問型ジョブコーチとは、障害者の就労支援を行う社会福祉法人などに雇用されているジョブコーチです。その名のとおり、企業へ訪問して支援を行います。
担当するのは、訪問型職場適応援助者養成研修を修了し、相当程度の経験と能力を持つ人です。就労支援の実務経験が求められるため、専門性の高い支援が期待できます。すでに支援機関とつながりのある障害者を雇用する場合などに、その機関の訪問型ジョブコーチが入ることがあります。
企業在籍型ジョブコーチとは、障害者を雇用する企業に所属するジョブコーチです。外部から来るのではなく、自社の社員がジョブコーチを担う点が大きな特徴です。
担当できるのは、企業在籍型職場適応援助者養成研修を修了した社員です。自社のことをよく把握しているため、仕事の割り当てがしやすいというメリットがあります。
自社の社員をジョブコーチにすることも可能です。研修費用は、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が実施するものは無料、厚生労働大臣が指定する民間機関のものは5万円前後が目安です。社内に支援のノウハウを蓄積したい企業は、検討する価値があります。
ジョブコーチは、具体的に何をしてくれるのでしょうか。支援の相手は、障害のある社員本人・企業(上司や同僚)・家族の三者にわたります。それぞれに対して、職場に定着するための実践的なサポートを行います。
最も中心となるのが、障害のある社員本人へのサポートです。「仕事を覚えられるか」「職場に馴染めるか」といった本人の不安に、具体的に寄り添います。
社員本人への支援内容
「何をどう進めればいいか」が明確になることで、本人が落ち着いて仕事に向き合えるようになります。
ジョブコーチの支援は、本人だけにとどまりません。受け入れる側の企業や、ともに働く上司・同僚も支援の対象です。初めて障害のある社員を迎える職場では、「どう接していいかわからない」という戸惑いがつきものだからです。
企業側への支援内容
こうした助言により、職場全体の受け入れ態勢が整い、現場の負担感も軽くなります。
見落とされがちですが、家族への支援もジョブコーチの役割のひとつです。支援の対象には、障害のある本人とその家族、そして会社も含まれます。
本人が安心して働き続けるには、職場だけでなく家庭の理解と協力も欠かせません。ジョブコーチは必要に応じて家族とも連携し、本人を支える環境づくりをサポートします。
ジョブコーチを使いたくても、どこに・どうやって申し込むのかがわからず止まってしまう企業は少なくありません。ジョブコーチ支援は、相談から支援開始、終了後のフォローまで、おおむね次の4ステップで進みます。流れを知っておけば、最初の一歩を踏み出しやすくなります。
最初の窓口は、お住まいの地域にある地域障害者職業センターです。ジョブコーチ制度は、企業がある地域の障害者職業センターから申し込みが可能です。
各都道府県に設置されており、まずは電話や来所で相談するところから始まります。「何から相談すればいいかわからない」という段階でも問題ありません。障害者雇用の悩みを伝えれば、支援の進め方を一緒に整理してくれます。
申し込み後は、支援の土台となる計画づくりに入ります。センターのスタッフが、障害のある社員の特性や事業所での指導体制、職務内容、職場環境などを確認します。
このヒアリングをもとに、障害者職業カウンセラーが、企業と本人双方の同意を得たうえで、個々の状況に応じた支援計画を策定します。「誰に・何を・どう支援するか」が、ここで具体的に固まります。
なお、相談から支援開始までは、約2週間〜1か月かかるケースが多いとされています。法定雇用率の対応など期限がある場合は、早めの相談がおすすめです。
支援計画ができたら、いよいよジョブコーチが職場に入ります。支援計画に基づき、ジョブコーチが職場に出向いて直接支援を行います。
支援は段階的に進みます。はじめは課題を改善するための支援を集中的に行い、その後、支援方法を事業所の担当者へ伝えながら、支援の主体をジョブコーチから職場へ徐々に移していきます。
支援期間の目安は次のとおりです。
職場に支援が根づいたら、ジョブコーチの支援は終了します。職場適応上の課題が改善され、上司や同僚による支援が適切に行われるようになった段階で、支援を終了します。
ただし、終了して終わりではありません。支援終了後も、必要に応じてフォローアップを行います。定着が続くよう、見守りの体制が残るため、企業も安心して受け入れを進められます。
ジョブコーチ支援には、企業を後押しする助成金が用意されています。これは「職場適応援助者助成金」と呼ばれ、障害者の職場への適応・定着を図るために、ジョブコーチを企業に派遣した法人、または企業内に在籍させた事業主を助成する制度です。令和3年度に都道府県労働局から、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)へ移管されました。
助成金は、ジョブコーチの種類に応じて主に次の2つに分かれます。
| 助成金 | 対象 | 助成のかたち |
|---|---|---|
| 訪問型職場適応援助者助成金 | 福祉機関などが企業へ派遣 | 支援を行った日数に応じて助成 |
| 企業在籍型職場適応援助者助成金 | 自社の社員が社内で支援 | 支援した月数に応じて助成(+研修費の一部) |
なお、上級職場適応援助者養成研修の開始に伴い、令和8年度から助成金の支給対象が拡充される予定です。正確な金額や要件は変わる可能性があるため、申請前にJEEDの最新パンフレットで確認することをおすすめします。
「訪問型職場適応援助者助成金」は、福祉機関などに所属する訪問型ジョブコーチが、企業へ訪問して支援を行った場合に支給されます。支援した日数に応じて助成される、日額ベースの仕組みです。
助成額の目安
「企業在籍型職場適応援助者助成金」は、自社で雇用する障害者に対し、企業在籍型ジョブコーチを配置して職場適応援助を行う事業主に支給されます。支援した月数に応じた月額ベースの助成です。
この助成金には、2つの支給内容があります。
自社の社員をジョブコーチとして育てる場合、研修費の一部まで補助される点は、企業在籍型ならではのメリットです。なお初めて支援を行う際は、地域センターが指定する配置型ジョブコーチとともに支援する「ペア支援」が要件となります。
ジョブコーチは心強い存在ですが、効果は企業側の関わり方しだいです。導入前に、次の5つを押さえましょう。
ジョブコーチの注意点
これらに共通するのは、ジョブコーチに任せきりにせず、企業が主体的に関わるという姿勢です。企業の情報提供の不足が、ミスマッチにつながったり、ジョブコーチに上司や同僚の代わりを期待してしまったりするケースがあります。求める支援内容や社内のルールを共有し、家族とも連携しながら記録を残していくことで、支援の効果は大きく変わります。
ここまで見てきたように、ジョブコーチは定着の心強い味方です。一方で、「そもそも社内に任せられる業務がない」「支援が終わった後も定着が続くか不安」という課題は残ります。
こうした課題に、業務の割り当てから採用・定着まで支援しているのが、エスプールプラスの農園型障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」です。
企業が障がいのある方を直接雇用し、その方がエスプールプラスの管理する農園で働く「モデル」です。貸し農園を通じて雇用を行えるため、社内の仕事の割り当てが難しい場合でも障がい者雇用を進められます。障がいのある方が安心して働きやすい環境と業務設計を、企業とともに整えていく点が特徴です。
「人材のご紹介」「働く場所のお貸し出し」「雇用継続のアドバイス」の3つを通じて、企業が主体的に障がい者雇用を進められるよう、各段階で伴走します。
「適した業務が見つからない」「採用してもすぐに辞めてしまう」とお悩みの企業は、まず無料相談・資料請求から始められます。2026年7月の法定雇用率2.7%引き上げに伴い、早めの準備がおすすめです。
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ジョブコーチに関するよくある質問
ジョブコーチ(職場適応援助者)とは、障害のある人が職場に適応できるよう、職場に出向いて専門的な支援を行う専門職です。障害のある社員本人だけでなく、企業や上司・同僚、家族にも助言を行い、双方の橋渡し役を担います。障害者雇用促進法にもとづく国の制度として運営されています。
障害のある人と企業の間に立ち、職場定着を支援する仕事です。障害者職業カウンセラーが策定した支援計画に基づき、職場で直接支援を行います。配置型・訪問型・企業在籍型の3種類があり、所属先によって働き方が異なります。最終的には、上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)へ引き継ぐことを目指します。
お住まいの地域にある地域障害者職業センターが窓口です。企業がある地域の障害者職業センターから申し込みが可能です。まずは電話や来所で相談し、ヒアリングを経て支援計画を作成する流れになります。相談から支援開始までは、約2週間〜1か月が目安です。
地域障害者職業センターによるジョブコーチ支援は、相談・支援ともに無料で利用できます。なお、訪問型・企業在籍型ジョブコーチに関する助成金制度もありますが、対象者や申請主体、支給要件は制度ごとに異なるため、最新情報はJEEDの案内を確認しましょう。
ジョブコーチ(職場適応援助者)は、障害のある社員の職場定着を支える心強い専門職です。最後に、この記事の要点を振り返ります。
【この記事の要点】
2026年7月には法定雇用率が2.7%へ引き上げられ、これまで以上に「採用」と「定着」の両立が求められます。ジョブコーチを上手に活用すれば、障害のある社員も企業も無理なく働ける職場づくりが進みます。
そのうえで、「社内に任せられる業務がない」「採用してもなかなか定着しない」という課題には、エスプールプラスの「わーくはぴねす農園」が解決策になります。全国62か所・750社以上の導入実績と92%以上の定着率で、業務の割り当てから採用・定着まで支援しています。障がい者雇用にお悩みの企業は、まずはお気軽にご相談ください。
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