ロクイチ(6月1日)報告とは

障害者雇用促進法では、事業主に対して、毎年6月1日現在の高年齢者および障がい者の雇用に関する状況を、本社所在地を管轄するハローワークに報告することを義務づけています。

この報告は、6月1日現在の状況を報告するものとなっているため「ロクイチ報告」と呼ばれています。この調査から、行政では各企業が障がい者を何人雇用しているのかを把握することができます。

そして、これらの結果がまとめられて「障害者雇用状況の集計結果」となり、全国の障害者雇用率が分かるようになっています。

高年齢者・障害者雇用状況報告書の書き方

高齢者・障害者雇用の報告は、報告用紙に必要事項を記載し、持参または郵送するか、電子申請のどれかで提出します。

ここでは、障害者雇用状況報告書に記載することを中心に見ていきます。報告書に記載することは、次のことです。

  • 事業主の情報(雇用保険適用事業所番号や所在地、代表者名等)
  • 障害者雇用の状況(常用労働者数、雇用障がい者数、実雇用率、障がい者推進者名等

常用労働者数は、1週間の労働時間が20時間以上で、1年以上雇用される見込みのある人の数です。雇入れから1年以上雇用されるかどうかの判断については、雇用契約書や雇入れ通知書などで更新されることが明示されている場合や、それと同じ判断ができるような記載があるものが含まれる必要があります。

また、短時間労働にあたる週20~30時間未満の労働者に関しては、0.5人として計算されます。

障がい者としてカウントされるには、障害者手帳の所持が必要です。医療機関にかかっているだけでは、障がい者としてはカウントされないので、気をつけてください。

法定雇用率とは

法定雇用率とは、企業に求められている雇用すべき障がい者雇用の割合のことです。令和3年3月から、民間企業の雇用率は2.2%から2.3%となっています。

障害者雇用促進法で、障害者雇用率が定まっているため、多くの企業では法定雇用率を遵守しようと、障がい者雇用に取り組んでいます。

また、企業での障がい者雇用を推進するために、厚生労働省をはじめ、行政機関等では、企業が障がい者雇用を進めやすくするためのサポートや相談できる体制を構築しています。

障害者雇用状況報告の提出義務がある企業

常用労働者が43.5人以上の事業主は、障害者雇用状況報告を提出しなければなりません。

障害者雇入れ計画の作成・提出が命じられる企業

障がい者雇用が達成できず、一定の基準を超えると、ハローワークから障がい者を雇い入れるための「雇入れ計画作成命令」の提出が命じられます。

障害者雇入れ計画書は、障がい者雇用を今後2年間の計画について記入する計画書です。計画書は、提出して終わりではなく、決められた一定の期間にチェックが入り、適性実施勧告や特別指導などもあります。計画に合わせた目標を達成していく必要があります。

実雇用率が低い

障害者雇入れ計画の作成命令が出され、行政指導が行われていても、実雇用率が低い場合、企業名が公表されることもあります。

企業名公表の基準は、厚生労働省から示されており、全国平均実雇用率よりも少なく、雇入れ計画書の終了した年度末までに同じ状況の場合、企業名が公表することが明示されています。

不足数が多い

障がい者雇用数が未達成の場合には、障害者雇用納付金の支払いが求められます。障害者雇用納付金は、不足人数1名に対し、月額5万円、年額60万円の支払いが必要です。

ただし、障害者雇用納付金を支払ったとしても、障がい者雇用の義務はなくなりません。障がい者雇用の不足数が多い場合、支払う雇用納付金も多額になり、雇入れ計画書の作成も必要です。

中小企業規模で障がい者を一人も雇用していない

企業名公表になる基準としては、実雇用率が全国平均実雇用率未満であることに加えて、法定雇用者数が4人以下の企業は、雇用障がい者数が0人の場合、企業名公表の対象となります。

障がい者雇用を進めるためのポイント

障がい者雇用は、単に障がい者を雇用すればよいと言うものではありません。企業でどのように障がい者を雇用するのかの方針を決めて、活躍できる仕事内容を決め、その仕事内容にマッチした人材を育成することが必要です。

しかし、なかなか障がい者雇用がうまく進まない企業もあります。そこで、各都道府県等では条例を設けたり、障害者優先調達推進法の特例措置などを設けています。

障がい者雇用を促進する各都道府県の条例について

各地域では、障がい者雇用を進めるような条例などを設けて、障がい者雇用を進める動きが見られています。

例えば、徳島県では、障がい者雇用に関する条例を次のように定めています。

徳島県障がい者の雇用の促進等に関する条例

障がい者の雇用を取り巻く状況は、障がい者に対する理解と関心の増進により改善が見られる一方で、まだ多くの障がい者が働く場を求めており、依然として厳しいものとなっている。

このような状況を改善するためには、事業主はもとより、県民全てが障がい者の雇用について理解を深めることにより、働く意欲のある障がい者が、その特性に応じて能力を発揮し、地域社会の一員となる機会が確保されることが不可欠である。

こうした認識の下、障がい者の働きたいという思いの実現に向けて、県、事業主、障がい者雇用関係団体及び県民が、障がい者に対する理解を深め、相互に連携を図りながら協力することにより、障がい者の雇用の気運を醸成し、一人でも多くの障がい者の雇用の場が確保されることを目指し、この条例を制定する。

出典:徳島県「徳島県障がい者の雇用の促進等に関する条例」

官公需における障害者雇用企業・障がい者福祉施設等に対する特例措置

障害者優先調達推進法が、平成25年4月から施行されています。この障害者優先調達推進法は、国や地方公共団体等に対して、障がい者就労施設などから優先的に物品等を調達することを定めたものになります。また、調達するよう努めるために、基本方針を定めたり、毎年の実績を公表することなどが求められています。

障害者優先調達推進法の目的は、企業が障がい者雇用の支援や障がい者が就労する施設などの仕事の確保です。

対象となる施設には、次のところが含まれます。

  • 就労移行支援事業所
  • 就労継続支援事業所(A型・B型)
  • 特例子会社
  • 重度障がい者多数雇用事業所
  • 在宅就業障がい者等

しかし、実際には障害者優先調達推進法が定められていますが、提供できるサービスが限定的なこともあり、活用は限られています。

そこで、官公需における特例措置を設けることによって、競争入札参加資格の等級格付けの時に加点がされたり、委託を発注・入札する際に特定の業務を委託し、受託業者に対して障がい者の従事の条件をつけ、障がい者雇用をしている企業を優遇する措置を設けています。

例えば、次のような事例があります。

【富山県】障がい者雇用に対し積極的に取り組んでいる企業に対する特例措置(入札参加資格審査での加点)

清掃、設備保守業務等役務の調達契約に係る入札参加資格

・県内の事業所で法定雇用率2.0%以上の障がい者を雇用している事業者

・県内の事業所で、障がい者を1人以上雇用している従業員50人未満の事業者

建設工事に係る入札参加資格審査

・障がい者の法定雇用義務がない者を対象に、身体障がい者、知的障がい者又は精神障がい者を1人以上雇用している事業者

【京都府】障がい者雇用に対し積極的に取り組んでいる企業に対する特例措置

京都府の発注する建設工事に係る指名競争入札参加者の資格審査において、障がい者の雇用 の促進等に関する法律に基づく法定雇用率以上の障がい者を雇用している場合又は雇用義務は ないが法定外で雇用している場合には、資格の格付けの基準となる総合点のうち主観点に10点を加算。

出典:官公需における障害者雇用企業・障がい者福祉施設等に対する特例措置について(平成20年度)」

まとめ

障がい者雇用のロクイチ報告とはどのようなものなのか、障害者雇用報告や、雇入れ計画書、企業名公表など、障がい者雇用の流れについて見てきました。

企業の障がい者雇用の取り組みに対しては、行政が企業の障がい者雇用をサポートする取り組みを実施しています。障害者優先調達推進法の特例措置などの項目を確認して、該当する場合には活用するとよいでしょう。