更新日:2024年3月 4日
法制度・最新情報の資料

ロクイチ(6月1日)報告とは

障害者雇用促進法では、事業主に対して、毎年6月1日現在の高年齢者および障がい者の雇用に関する状況を、本社所在地を管轄するハローワークに報告することを義務づけています。

この報告は、6月1日現在の状況を報告するものとなっているため「ロクイチ報告」と呼ばれています。この調査から、行政では各企業が高年齢者および障がい者を何人雇用しているのかを把握することができます。

そして、これらの結果がまとめられて「障害者雇用状況の集計結果」となり、全国の障害者雇用率が分かるようになっています。

高年齢者・障害者雇用状況報告書とは

ロクイチ報告では、「高年齢者雇用状況報告書」および「障害者雇用状況報告書」を提出することで、高年齢者および障がい者の雇用に関する状況を報告する仕組みとなっています。対象となる事業所には、厚生労働省(ハローワーク)から報告用紙が郵送で届きます。

この報告書は、高年齢者や障がい者の雇用状況の把握のほか、各企業に対してハローワークが助言や指導、調査などを行うための基本情報として用いられます。

参考:厚生労働省|障害者雇用状況報告書及び記入要領等
参考:厚生労働省|高年齢者雇用状況等報告書及び記入要領等

法定雇用率とは

法定雇用率とは、企業に求められている雇用すべき障がい者雇用の割合のことです。令和3年3月から民間企業の雇用率は2.2%から2.3%となり、令和6年4月には2.5%となっています。その後、令和8年4月にはさらに引き上げられ、2.7%となることが決定しています。

企業での障がい者雇用を推進するために、厚生労働省や行政機関等では、企業が障がい者雇用を進めやすくするためのサポートや相談できる体制を構築しています。

高年齢者・障害者雇用状況報告書の書き方

高齢者・障害者の雇用状況報告書は、報告用紙に必要事項を記載し、持参・郵送・電子申請のいずれかで提出します。

高年齢者雇用状況報告書を書く際の注意点

高年齢者雇用状況報告書では、以下のようなことを報告書に記載します。

  • 事業主の情報(雇用保険適用事業所番号や所在地、代表者名等)
  • 定年制の状況(定年、定年の改正予定等)
  • 継続雇用制度の状況(継続雇用制度の有無、導入・改定予定等)
  • 創業支援等措置の状況(創業支援等措置の有無、導入・改定予定等)
  • 65歳を超えて働ける制度等の状況
  • 雇用の状況(労働者数、過去1年間の離職者の状況等)

就業規則で定年制が定められている場合は、定年制「有り」として、その年齢を記入します。定年後の継続雇用制度についての定めがあれば、雇用者数を65歳未満と65歳以上に分けて記入します。

また、従業員ではない形で雇用の機会をつくる仕組みを創業支援等措置についても記載します。創業支援措置は高齢者の就業確保措置で、継続的な業務委託契約などで仕事を割り振るケースなどがあります。企業に対してはこの制度の導入が努力義務とされており、実施している企業はその内容を、実施していない企業はそのことを報告します。

雇用の状況については、従業員の人数を年齢別に記入します。内訳として女性の人数を記入する必要があるため、注意しましょう。就業規則に定年や継続雇用制度等を定めている企業は、過去1年間の定年到達者数の記載も必要です。その際、規則で定める制度の上限年齢によって記入する欄が異なるため、記入例をよく読み、注意して記入しましょう。

高年齢者雇用状況報告書は、定年の年齢や取り入れている制度によって書き方が変わります。厚生労働省のホームページに状況別の記入例が掲載されていますので、参考にしてください。

参考:厚生労働省|高年齢者雇用状況等報告書及び記入要領等

障害者雇用状況報告書を書く際の注意点

障害者雇用状況報告書では、主に以下のことを報告書に記載します。

  • 事業主の情報(雇用保険適用事業所番号や所在地、代表者名等)
  • 障害者雇用の状況(常用労働者数、雇用障がい者数、実雇用率、障がい者推進者名等)

常用雇用労働者数は、1週間の労働時間が20時間以上で1年以上雇用される見込みのある人の数です。雇入れから1年以上雇用されるかどうかの判断については、雇用契約書や雇入れ通知書などで更新が明示されている場合や、それと同じ判断ができるような記載をする必要があります。

雇用障がい者数にカウントするには、障害者手帳の所持が必要です。障がい者雇用の短時間労働にあたる週20時間~30時間未満の労働者は、常用雇用労働者数のカウントと同様、0.5人として計算されます。重度身体障がい者および重度知的障がい者の労働者についてはダブルカウントが適用され、1人につき2カウント(短時間労働の場合は1カウント)として扱われます。また、精神障がいのある短時間労働者の場合算定特例が適用され、当面の間1人につき1カウントされます。

なお2024年4月からは、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障がい者、重度の身体障がい者、重度の知的障がい者を雇用した場合も、1人につき0.5カウントとして扱われます。詳しくは、「障がい者雇用の短時間勤務もカウント可能?週20時間未満の雇用率算定特例も解説」の記事にて紹介しています。

高年齢者・障害者雇用状況報告書の提出方法と流れ

高年齢者・障害者雇用状況報告書は毎年5月下旬~6月初旬ごろに企業に書類が郵送で届き、7月15日までに提出することになっています。書類が届いたら、6月1日時点の雇用人数等を集計し、書類作成に取り掛かりましょう。

提出は、持参、郵送、電子申請にて行います。持参か郵送の場合には、管轄のハローワークを調べて提出しましょう。電子申請の場合には、1つのIDで複数の行政サービスが利用できる共通認証システム「GビズID」を利用します。電子署名が不要な「GビズIDプライム」を利用する場合、申請書や印鑑証明書などを提出して登録をしますが、登録申請から承認までの審査で数週間かかることがあるため注意しましょう。審査が不要な「GビズIDエントリー」や、GビズIDを利用せずに「e-Govアカウント」を利用して申請することも可能ですが、その場合は有料の電子署名が必要となります。

参考:令和5年高年齢者・障害者雇用状況報告の提出について

障害者雇用状況報告の提出

令和6年4月の法定雇用率の引き上げに伴い、障害者雇用状況報告書の提出義務がある企業は、それまでの常用労働者43.5人以上から、常用労働者40人以上のすべての企業となりました。それまで対象ではなかった企業も対象になることがあるため、よく確認しましょう。

障害者雇入れ計画の作成・提出が命じられる企業

法定雇用率が達成できず、一定の基準を超えると、ハローワークから障がい者を雇い入れるための「雇入れ計画作成命令」の提出が命じられます。

障害者雇入れ計画書は、今後2年間の障がい者雇用の計画を記入するものです。計画書は提出して終わりではなく、決められた一定の期間にチェックが入り、計画に合わせた目標を達成していく必要があります。

<障害者雇入れ計画の作成発出基準>

  • 実雇用率が全国平均実雇用率未満であり、かつ不足数が5人以上の場合
  • 実雇用率に関係なく、不足数10人以上の場合
  • 雇用義務数が3~4人の企業であって雇用障害者数0人の場合

企業名の公表

障害者雇入れ計画を作成しても、企業名を公表されることがあります。

雇入れ計画が予定通りに進んでいない場合は、雇入れ計画の適正実施勧告や特別指導が行われます。それでも改善が見られない場合、企業名が公表される場合があります。

参考:障害者雇用率達成指導の流れ

障害者雇用納付金

障がい者雇用数が未達成の場合には、障害者雇用納付金の支払いが求められます。障害者雇用納付金は、不足人数1名に対し、月額5万円、年額60万円の支払いが必要です。

ただし、障害者雇用納付金を支払ったとしても、障がい者雇用の義務はなくなりません。障がい者雇用の不足数が多い場合、支払う雇用納付金も多額になり、雇入れ計画書の作成も必要です。

納付金については、「障害者雇用納付金制度とは?助成金の種類についても解説」の記事で詳しく紹介しています。

障がい者雇用を進めるにあたり知っておきたい条例・特例措置

障がい者雇用を促進する各都道府県の条例について

各地域では、条例などを設けて、障がい者雇用を進める動きが見られています。

例えば、徳島県では、障がい者雇用に関する条例を次のように定めています。

【徳島県】障がい者の雇用の促進等に関する条例

障がい者の雇用を取り巻く状況は、障がい者に対する理解と関心の増進により改善が見られる一方で、まだ多くの障がい者が働く場を求めており、依然として厳しいものとなっている。

このような状況を改善するためには、事業主はもとより、県民全てが障がい者の雇用について理解を深めることにより、働く意欲のある障がい者が、その特性に応じて能力を発揮し、地域社会の一員となる機会が確保されることが不可欠である。

こうした認識の下、障がい者の働きたいという思いの実現に向けて、県、事業主、障がい者雇用関係団体及び県民が、障がい者に対する理解を深め、相互に連携を図りながら協力することにより、障がい者の雇用の気運を醸成し、一人でも多くの障がい者の雇用の場が確保されることを目指し、この条例を制定する。

出典:徳島県「徳島県障がい者の雇用の促進等に関する条例」

官公需における障害者雇用企業・障がい者福祉施設等に対する特例措置

障害者優先調達推進法が、平成25年4月から施行されています。この障害者優先調達推進法は、国や地方公共団体等に対して、障がい者就労施設などから優先的に物品等を調達することを定めたものになります。また、調達するよう努めるために、基本方針を定めたり、毎年の実績を公表することなどが求められています。

障害者優先調達推進法の目的は、企業が障がい者雇用の支援や障がい者が就労する施設などの仕事の確保です。

対象となる施設には、次のところが含まれます。

  • 就労移行支援事業所
  • 就労継続支援事業所(A型・B型)
  • 特例子会社
  • 重度障がい者多数雇用事業所
  • 在宅就業障がい者等

しかし、実際には障害者優先調達推進法が定められていますが、提供できるサービスが限定的なこともあり、活用は限られています。

そこで、官公需における特例措置を設けることによって、競争入札参加資格の等級格付けの時に加点がされたり、委託を発注・入札する際に特定の業務を委託し、受託業者に対して障がい者の従事の条件をつけ、障がい者雇用をしている企業を優遇する措置を設けています。

例えば、次のような事例があります。

【富山県】障がい者雇用に対し積極的に取り組んでいる企業に対する特例措置(入札参加資格審査での加点)

清掃、設備保守業務等役務の調達契約に係る入札参加資格

・県内の事業所で法定雇用率2.0%以上の障がい者を雇用している事業者

・県内の事業所で、障がい者を1人以上雇用している従業員50人未満の事業者

建設工事に係る入札参加資格審査

・障がい者の法定雇用義務がない者を対象に、身体障がい者、知的障がい者又は精神障がい者を1人以上雇用している事業者

【京都府】障がい者雇用に対し積極的に取り組んでいる企業に対する特例措置

京都府の発注する建設工事に係る指名競争入札参加者の資格審査において、障がい者の雇用 の促進等に関する法律に基づく法定雇用率以上の障がい者を雇用している場合又は雇用義務は ないが法定外で雇用している場合には、資格の格付けの基準となる総合点のうち主観点に10点を加算。

出典:官公需における障害者雇用企業・障がい者福祉施設等に対する特例措置について(平成20年度)

まとめ

障がい者や高年齢者雇用のロクイチ報告の作成の注意と、障害者雇用報告や、雇入れ計画書、企業名公表など、障がい者雇用の流れについて見てきました。

障がい者雇用を推進することで、障害者優先調達推進法の特例措置などの項目が該当する場合があります。該当する場合にはぜひ活用しましょう。

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