更新日:2024年6月 4日
法制度・最新情報の資料

障がいのある方の雇用創出と自立の促進は、現代社会において大切な課題のひとつです。

障害者雇用促進法により、各事業主に障がい者の法定雇用率の遵守が義務付けられていますが、事業主が広く障がい者の雇用を受け入れる為には、適切な職場環境の整備など事前の準備が必要です。

本記事では、障がい者を雇用する事業主に対して国から支給される各種の助成金・補助金について、その概要を解説します。

障がい者雇用の助成金・補助金とは

障がい者雇用に関する助成金・補助金とは、具体的にどのようなものでしょうか。助成金・補助金の種類、支給にあたっての条件、実雇用率についてなど、さまざまな決まりがあります。

障がい者雇用の助成金・補助金の概要と目的

障害者雇用促進法により、法定雇用率の達成が義務化され、障がい者の積極的な雇用が進んでいます。

雇用の際には、職場のバリアフリー化など、障がい者が安全に働けるよう職場環境を整える必要があります。また、さまざまな特性の障がい者を受け入れる為のサポート体制を整えることも重要です。事業主がこれらの環境整備をし、障がい者をスムーズに雇用できるよう、国ではさまざまな助成金制度を用意しています。

また、国が実施している助成金制度のほかに、各自治体で補助金制度を導入している場合もあります。これは障がい者雇用を推進するために各自治体が独自におこなうもので、施設の整備に関するものや雇入れに関するものなどがあります。自治体によっては「奨励金」として支給している場合もあるため、確認してみましょう。

障がい者雇用の助成金・補助金の対象

障がい者雇用に関する助成金の受給対象となる事業主とはどんな企業なのでしょうか。

障がい者の雇用に関する助成制度は数多くあり、その受給要件も細かく設定されています。厚生労働省では、各助成金に共通する要件について、下記の3点を提示しています。

  • 1.雇用保険適用事業所である
  • 2.支給のための審査に協力する
  • 3.申請期間内に申請する

また、補助金制度を利用するためには、その制度を導入している自治体に居住している障がい者を雇用する、その自治体に事業所があるなどの条件を満たす必要があります。

障がい者雇用の各種助成金の種類と条件

障がい者の雇用に関する助成金はどんなものがあるでしょうか。
以下では、各種助成金の種類とその概要を網羅的に記載します。受給金額の目安についても参考にしてください。

障害者雇用助成金

障害者雇用助成金は、障がい者の雇い入れや雇用の継続にあたって、事業主が施設整備などの特別な措置を講じなければならない場合に支給されます。

障害者作業施設設置等助成金・障害者福祉施設設置等助成金

障害者作業施設設置等助成金・障害者福祉施設設置等助成金は、障がい者の雇用に際して、作業施設や福祉施設の設置を行う事業主に対して支給されます。
福祉施設とはたとえば、保健施設、給食施設、教養文化施設などの福利厚生施設がそれに当たります。
作業施設の場合は設置等に要した費用の3分の2、福祉施設の場合は3分の1の費用が助成金として支給されます。

障害者介助等助成金

障害者介助等助成金は、障がい者を雇用するにあたり、必要な介助者を職場に配置ないしは委嘱する事業主に対して支給されます。
たとえば、聴覚障がい者を雇用する際に、手話通訳者を配置するなどがこれに当たります。助成金の支給額は介助者の種類や、職場配置か委嘱によって変わります。

重度障害者等通勤対策助成金

重度障害者等通勤対策助成金は、通勤が特に困難であると認められる重度の障がい者に対し、雇用主が通勤対策をする際に支給されます。
たとえば通勤援助者の委嘱助成金や、通勤用バスの購入費などに対する助成が考えられます。本助成金の支給額は実施する通勤対策によって変わります。

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金は、重度の障がい者を継続的に多数雇用している事業主が、これらの障がい者のために事業施設の設置や整備を行う際に利用できる助成金です。
本助成金の支給額は実施する対策によって変わります。

障害者職場実習支援事業

障害者職場実習支援事業は、障がい者を雇用したことのない事業主が、ハローワークなどと協力して職場実習を実施した際に支給されます。
支給額は、実習対象者1人あたり「日額5千円×実習日数」によって算出されます。また、実習指導員の日当も、1日につき指導時間が4時間以上なら1万6千円、4時間以下なら8千円が支給されます。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、障がい者を原則3ヶ月間試行雇用する「トライアル雇用」を実施する企業に支給されます。
「トライアル雇用」は、障がい者の雇用機会を増やす試みとして設置されました。この助成金には、「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」の2つがあります。

障害者トライアルコース

障害者トライアルコースは、一週間の所定労働時間が正規雇用の従業員と同程度の30時間以上と設定されています。
また、本コースの助成金は、対象の労働者が精神障がい者の場合は、最初の3ヶ月間は月額最大8万円、次の3ヶ月間は月額最大4万円の助成金が支給されます。
それ以外の障がい者の場合は、月額最大4万円が3ヶ月間支給されます。

障害者短時間トライアルコース

障害者短時間トライアルコースは、最初は週10時間以上20時間未満の勤務から開始し、勤務者の状況に合わせて最終的に週20時間以上の勤務に引き上げることを目標にしています。本コースの助成金は、対象者1人につき4万円が最大12ヶ月間支給されます。

採用方法8選資料

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、特定の条件を満たした求職者を新たに雇用した企業に支給される助成金です。
障がい者の雇用に関するコースとしては以下の3つがあります。

1.特定就職困難者コース

特定就職困難者コースは、障がい者や高齢者などの就職困難者を、ハローワークなどを介して雇用する事業主に対する助成です。本コースの助成金を受給するには、対象の労働者を継続的に雇用することが求められます。
具体的には、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることが確実だと認められる必要があります。

助成金の支給額は障がいの程度のほか、申請した企業の規模に応じて次のように分類されます。カッコ内が中小企業以外の事業主に対する助成金額、カッコ外が中小企業に対する助成金額です。
雇用されるのが重度障がい者等を除く身体・知的障がい者の場合は、年額120万円(50万円)を2年間(1年間)、
重度の身体・知的障がい者、45歳以上の身体・知的障がい者及び精神障がい者は年額240万円(100万円)を3年間(1年6ヶ月)支給されます。
また、短時間労働者の場合は障がいが重度であるかの区別はなく、年額80万円(30万円)を2年間(1年間)支給されます。

2.発達障害・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害・難治性疾患患者雇用開発コースは、発達障がい者又は難治性疾患患者を継続雇用する事業主に対する助成です。
「特定就職困難者コース」と同じく、本助成金を受給するには、ハローワークなどを介して対象の労働者を雇用し、且つ対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることが確実だと認められる必要があります。

また、事業主には、雇用した労働者に対する配慮事項を報告する義務が課され、雇用から約半年後にハローワーク職員による職場訪問を受けることになります。
助成金は、申請者が中小企業の場合、対象の短時間労働者1人あたり年額80万円が2年間、それ以外の労働者の場合は年額120万円が2年間支給されます。申請者が中小企業でない場合は、短時間労働者1人あたり年額30万円を1年間、それ以外の労働者1人あたり年額50万円を1年間支給されます。

3.障害者初回雇用コース

障害者初回雇用コースは、これまで障がい者雇用の経験がない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる労働者数43.5~300人の中小企業)が初めて障がい者を雇用した際に申請できる助成金です。
支給要件として、1人目の対象労働者を雇い入れた日の翌日から起算して3か月後の日までの間に、雇い入れた対象労働者の数が障害者雇用促進法の定める障がい者の法定雇用率を達成した中小企業が対象となります。助成金の支給額は120万円です。

障害者雇用安定助成金

障害者雇用安定助成金は、以前は「障害者職場適応援助コース」「中小企業障害者多数雇用施設設置等コース」「障害者職場定着支援コース」の3つのコースがありました。しかし、令和3年度より助成金の整理・統廃合が行われ、大幅に変更されています。

1.障害者職場適応援助コース

障害者職場定着支援コースは、

  • 柔軟な時間管理・休暇取得
  • 短時間労働者の勤務時間延長
  • 正規・無期転換
  • 職場支援員の配置
  • 職場復帰支援
  • 中高年障害者の雇用継続支援
  • 社内理解の促進
の7つの分野において、障がい者の職場定着を推進する企業に対し助成金を支給していました。しかし、令和3年4月に助成金の整理・統廃合が行われ、それぞれ以下のように変更されました。

  • 柔軟な時間管理・休暇取得
    →廃止
  • 短時間労働者の勤務時間延長
    →廃止
  • 正規・無期転換
    →キャリアアップ助成金の障害者正社員コースとして移行
  • 職場支援員の配置
    →障害者介助等助成金の中の職場支援員の配置助成金に統合
  • 職場復帰支援
    →障害者介助等助成金の中の職場復帰支援助成金に統合
  • 中高年障害者の雇用継続支援
    →廃止
  • 社内理解の促進
    →廃止

移行・統合後の助成金の概要は以下のようになっています。

● キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、障害の有無に関係なく非正規雇用者のキャリアアップのため、正社員化などを実施した事業主に対して助成金を支給するものです。そのうち「障害者正社員化コース」が、令和2年度まであった障害者雇用安定助成金の「正規・無期転換」の分野を引き継いだものとなります。

障がいのある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した事業主に対して助成され、支給額は対象労働者の障がいの程度や措置内容によって変わります。

● 障害者介助等助成金(職場支援員の配置又は委託助成金)
障がい者の雇用定着のため、業務をするうえで必要な援助や支援を行う職場支援員を雇用、または委託した事業主に対し助成されるものです。支給額は、支援する障がい者1人に対し、短時間労働の支援員の場合で月額2万円(中小企業以外は1.5万円)、短時間労働者以外の支援員場合で月額4万円(中小企業以外は3万円)を最大半年間支給することを上限とし、支援者に実際に支払った賃金額が支給されます。

例えば、2人の障がい者を支援している短時間労働者の支援員を雇用している場合、2万円×24ヵ月×2=96万円が最大額として支給されますが、実際に支援者に対して支払った賃金額が96万円以下の場合、実際に支払った額が支給されます。

● 障害者介助等助成金(職場復帰支援助成金)
中途障がい者に対し、療養後の職場復帰において本人の能力にあった職務の開発や職場環境の整備等を実施した事業主に支給されます。事故や病気により障がいを負った雇用者の職場復帰の推進や雇用の継続が目的で、月額6万円(中小企業以外は4.5万円)が最大1年間、対象労働者が就労した月数分支給されます。また、職務開発等のために講習を行った場合、その経費の一部が支給されます。

2.中小企業障害者多数雇用施設設置等コース

障がい者の雇入れに関する計画をたて、対象労働者(重度身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者)を5人以上雇用し、それに必要な施設や設備等を設置する中小企業に対して助成が行われるコースです。支給額は設備に要した費用や新たに雇用した対象労働者の人数によって変動しますが、総額1,000万円~3,000万円が支給されます。

なお、支給申請をし受給資格を得た翌日から1年以内に新たに対象労働者を5人以上雇入れることで対象労働者が10人以上となった場合は、併せて雇用のための設備を設置する必要があります。

3.障害者職場定着支援コース

障がい者の職場定着のために職場適応援助者(ジョブコーチ)の配置を実施した企業に対する助成のコースでしたが、令和3年4月に助成金の整理・統廃合が行われ「職場適応援助者助成金」として独立。管轄もハローワークから独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に変わりました。

職場適応援助者助成金は、職場適応が難しい障がい者に対し、規定の研修を受けた職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施する場合に、事業主に対して支給される助成金です。ジョブコーチには、必要に応じて手配される訪問型適応援助者と、企業に所属に障がい者対応にあたる企業在籍型適応援助者の2つのタイプがあります。

訪問型適応援助者による支援の場合、支給額は日額計算です。1日の支援時間が4時間以上(精神障がい者への支援については3時間以上)の日は日額1.6万円、それ未満の日には日額8千円として計算し、6ヵ月ごとに支給されます。

企業在籍型適応援助者による支援の場合、支給額は月額計算ですが、支援する障がい者が精神障がい者かそれ以外か、適応援助者の雇用形態が短時間労働かそれ以外か、企業が中小企業かどうかによって、支給額は月額3万円~12万円と大きく変動します。

障害者雇用納付金制度

障害者雇用納付金制度は、障がい者の法定雇用率を達成している企業を対象に、調整金や報奨金を支給するものです。まず、常時雇用労働者が100人を超える企業で法定雇用率を超過した企業には1人あたり月額2.9万円の調整金が支給されます。
また、障がい者を多数雇用する中小企業には別途報奨金が支給されます。常時雇用労働者が100人以下の中小企業で、障がい者を一定数超えて雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している障がい者数1人あたり月額2.1万円が報奨金として支給されます。

人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

人材開発支援助成金は、労働者のいわゆるキャリアアップを促進するための助成金です。中でも本コースは、障がい者が仕事において必要な能力を得るための教育訓練を行う施設を設置・運用する企業を対象としています。
助成額としては、訓練施設の設置や整備・更新に要した費用の4分の3が支給されるほか、各種要項に応じた運営費が支給されます。

障がい者雇用の各種補助金の種類と条件

障がい者雇用の補助金は、有無も含め、自治体によってさまざまです。ここでは、補助金の例と対象地域、概要などをご紹介します。

障害者雇用促進補助金

岡山県高梁市などで導入されている制度です。高梁市では、「障害者雇用促進補助金」に以下の内容の補助金や奨励金を含めて設定しています。

障害者雇用促進奨励金

支給決定を受けた特例子会社(障がい者の雇用の促進・安定を図るために企業が設立する、障がい者への特別な配慮をおこなう子会社)に対し、障がい者雇用1人につき、1年目は月額1万円、2年目は月額7,000円、3年目は月額4,000円が支給されます。ただし、対象障がい者が特定求職者雇用開発助成金の支給対象となっている場合、対象期間については支給されません。

障害者送迎費用助成金

交付決定を受けた特定子会社に対し、市内に居住している障がい者の通勤のための送迎に要した費用が交付されます。交付額は、送迎の人数や頻度により、1人あたり100円または210円です。

障害者施設等整備費補助金

支給決定を受けた障がい者雇用事業所や社会福祉法人などに対し、障がい者の雇用のためにおこなった機器整備や施設整備などの費用のうち一部が補助金として支給されます。支給額は、整備に要した費用の2分の1の額が基本となります。

障害者定住就労促進奨励金

支給決定を受けた障がい者雇用事業所や社会福祉法人などに対し、障がい者の市内グループホームへの定住促進、または就労機会の提供をした場合に奨励金が支給されます。支給額は、障がい者1人につき、1年目は月額1万円、2年目は月額7,000円、3年目は月額4,000円です。

出典:高梁市補助金等交付規則の規定による補助金等の名称等を定める規程

障害者雇用施設等整備事業費補助金

京都府で導入されている制度です。以下の2つの補助金によって構成されています。

障害者雇用施設整備事業費補助金

京都府内の事業所のうち、障がい者の就労継続に必要な施設や設備の整備をおこなう事業所に対して補助金が支給されます。補助額は上限100万円です。

障害者定着支援事業費補助金

京都府内の事業所のうち、カウンセラーの配置や管理ソフトの導入など、障がい者の就労定着に必要な支援事業をおこなう事業所に対して補助金が支給されます。補助額は上限100万円です。

出典:京都府障害者雇用施設整備事業等事業費補助金(令和5年度分)

障害者作業施設等整備事業補助金

長野県須坂市などで導入されている制度です。障がい者が作業するために必要な施設の新築や改築などに必要な費用、また作業に必要な機械や備品の改造をするために必要な費用のうち、50万円を限度とし2分の1以内の額が補助されます。

出典:須坂市|雇用促進に関する補助制度

障がい者雇用の助成を受けるうえでの注意点

障がい者の雇用に関する助成金はこのように、たくさんの種類があります。では実際にこれらの助成金を申請する際の注意点は何でしょうか。以下では大切な2つの事についてお伝えします。

差別がなく、障がい者が利用しやすい環境を整える

障害者雇用促進法の改正により、平成28年から雇用分野における障がい者の「差別の禁止」と、職場での障がい者の支障を改善するための「合理的配慮の提供」が義務付けられました。
障がいの種類や程度、あるいは個々人の適性によって、雇用した障がい者に、「できないこと」が出てくるかもしれません。しかし、そうした際、不当な差別や職場いじめなどに発展させてはいけません。

障がい者を雇用する上では、障がい者の「できること」に積極的に目を向け、周囲の方が適切に仕事を割り振りしたり、サポートしたりすることが重要です。もしも、そうした見極めが難しければ、関係機関に相談したり、上記でも触れた「ジョブコーチ」を手配したり、といった手段もあります。
障がい者を雇用する際には、職場のバリアフリー化など、物理的な整備も重要ですが、職場全体で障がい者の雇用に関する関心と理解を共有することも大切です。

障がい者の労働時間に応じて、実雇用率が変動する

障害者雇用促進法においては、40.0人以上を雇用している事業主に対して障がい者の法定雇用率の達成を義務付けています。自社がその要件を満たしているかどうか、その実雇用率を計算する際にはいくつかの注意点があります。というのも、障がいの種類や程度、あるいは雇用形態によって、計算する際の基準が異なるからです。
まず、雇用形態についてですが、所定労働時間が週30時間以上の常時雇用労働者は「1人」としてカウントされます。所定労働時間が週20時間以上30時間未満の労働者は短時間労働者として「0.5人」としてカウントされます。これが実雇用率における基本的な数え方です。

しかし、障がい者の法定雇用率の算定基礎となる身体的障がい者、知的障がい者、精神的障がい者のうち、重度の身体的障がい者、知的障がい者は1人で2人分としてカウントされるうえ、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の場合でも「0.5人」としてカウントされます。つまり、重度の障がい者を常時雇用労働者として雇用した場合は「2人」、短時間労働者として雇用した場合は「1人」、週所定労働時間が10時間以上20時間未満で雇用した場合は「0.5人」雇用したこととして実雇用率において計算するのです。
また、精神障がい者については、短時間労働者として雇用した場合は「1人」、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の場合は「0.5人」雇用したこととして実雇用率において計算します。
実雇用率を計算する際にはこれらの点に注意し、正確な数値を算出しましょう。

また、カウント方法については以下の記事で詳しく解説をしています。
障がい者雇用の等級によるカウント方法の違いとは?

200社アンケート資料

まとめ

本記事で解説してきた助成金について、大きく分けると、

  1. 障がい者の雇用自体に対して支給される助成金
  2. 障がい者のための施設等の設置に関する助成金
  3. 障がい者のための介助者などの配置・委嘱等に関する助成金
  4. 障がい者の職業訓練等に関する助成金

の4種類があります。各助成金の詳細や具体的な手続きについては厚生労働省のホームページなどを参考にしてください。

また、補助金については自治体によって扱いが変わるため、事業所がある自治体やその周辺の地域などでどのような制度があるかを確認しておくと良いでしょう。

障がい者を雇用する事業主は、いま雇用している障がい者、あるいは雇い入れようとしている障がい者にとって働きやすい職場を作り、周囲の方も合理的配慮をする義務があります。

こうした配慮は、安全性などの向上はもちろん、生産性の向上にも繋がります。ここでご紹介した各種の助成金を積極的に活用し、障がい者の雇用拡大に努めていきましょう。

写真:立部 弘幸(たてべ ひろゆき)
記事監修|立部 弘幸(たてべ ひろゆき)
HRトータルサポート社労士事務所
代表者 特定社会保険労務士
居酒屋チェーン店での人事部勤務と社労士事務所2か所の勤務を経て、2023年5月に個人事務所を開業。20年近い社労士経験の中で、関与企業100社、300件を超える労使間トラブルの解決支援を行う。その経験から、職場トラブルの解決支援と予防策の実施を得意としている。