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住商メタルワン鋼管株式会社
業務本部 人事総務グループ 人事企画チームリーダー 兼)総務チームリーダー 田中大介 様業務本部 人事総務グループ 人事企画チーム 樋口紗英 様
国内最大手の鋼管専門商社である住商メタルワン鋼管株式会社。2019年に住友商事グループとメタルワングループの国内鋼管事業を統合して発足した同社では、従業員数の増加にともない障がい者雇用の拡大が喫緊のテーマとなりました。
業務のデジタル化が進むなかで社内に新たな業務を用意することは容易ではなかったこと。また、数字合わせの雇用では意味がないという思いもあり、「どうすれば従業員がやりがいをもって、笑顔で働ける環境を用意できるか」を模索し続けていたといいます。そこで選んだのが、株式会社エスプールプラスの「わーくはぴねす農園」でした。
導入から約3年が経つ2026年4月には新入社員研修にも農園体験を取り入れるなど、取り組みは更に広がりました。人事企画チームリーダーの田中様と、障がい者雇用を担当する同チームの樋口様に、導入の経緯から農園がもたらした変化までお聞きしました。
樋口 私たちは、2019年に誕生した国内最大の鋼管専門商社です。統合によって組織規模が急拡大したことで、障がい者雇用の法定雇用率の達成が喫緊の課題として浮上したのです。
田中 そのため、全部署に雇用に関するヒアリングを実施しましたが、なかなか「いますぐ受け入れ可能」という回答は得ることができませんでした。デジタル化の推進に伴う業務のペーパーレス化などにより、これまで障がいのある方に担当いただいていた業務が減少傾向にあったことも、受け入れが難しい一因でした。 法定雇用率の観点からは、正直、待ったなしの状況でした。しかし、だからといって単に数字合わせのために採用すればいいとは考えていませんでした。「採用した方が、仕事を通して笑顔でいられる環境でなければ意味がない」という思いがあったからです。エスプールプラスさんとの出会いは、そのような悩みを抱えていた時でした。
ー最終的に、エスプールプラスのわーくはぴねす農園の導入を決めた理由を教えてください。田中 障がい者雇用のサポートをしている複数社の話を伺いましたが、その中でもエスプールプラスさんには特に熱意を感じました。サービスの説明を通して、障がいのある方の働きがいと自立を重視する会社姿勢が伝わり、私たちが大切にしたいことと合致していたのです。 障がい者雇用のための農園就労という形態は、社会的にもさまざまな意見があり、社内でも「これで本当に良いのだろうか」と意見交換を重ねていました。しかし、実際に農園を訪れ、そこで働くスタッフの方々が希望に満ちた表情で活躍されている様子を目の当たりにし、「この仕事が楽しい」「ここで働けてよかった」という声を聞いた時、説明を受けた際に感じた漠然とした期待が、揺るぎない確信へと変わっていきました。 業務内容や場所もさることながら、私たちが何より大切にしたいのは就労されるご本人が社会の一員として輝き、自立していくことです。そのための「居場所」を提供すること、それが企業の社会的な意義なのだと、改めて強く認識しました。わーくはぴねす農園の導入と運営は、その実現につながると確信し、経営陣の賛同も得て導入を決断したのです。
ー理念への共感が導入の大きな決め手になったのですね。いざ採用を進めるにあたって、その仕組みやサポート面での印象はいかがでしたか。樋口 障がい者採用の経験が浅く、ノウハウがなかったので、エスプールプラスさんの個別マッチングという手厚い仕組みには助けられました。就業体験を通して一人ひとりの適性を見極め、チームの組み合わせまで考慮したうえで候補者をご紹介いただけるのです。そのご提案をもとに、私たちが直接お会いして最終的な採用を決定するという流れは、非常に安心感がありました。障がいのある方を一括りにせず、一人ひとりを丁寧に見られているということが、この仕組みからも伝わってきました。エスプールプラスさんと密に連携しながら採用活動を二人三脚で進めていける体制があったからこそ、安心して踏み出せたと思っています。
田中 私たちが目指したのは単に働く場所を用意して終わることではありません。採用したからには、そこで働く一人ひとりが心から「同じ会社の仲間」だと感じられるようにすること。それが当然の責務だと考えました。だからこそ、就労開始の際には農園で入社式を執り行い、スタッフ一人ひとりに辞令を直接手渡しました。そして「ここに新しい仲間たちが加わります」と全従業員にも発信したのです。
ー実際に就労が始まってからの、スタッフの方々の成長や、組織の変化はいかがですか。田中 スタッフも農場長も手探りの時期が1年ほど続きました。しかし時間が経つにつれて、当初は指示を受けながら作業していた方が自分から「これをやりたい」と申し出るようになり、以前はできなかった作業を一人でこなせるようになる姿も増えてきました。訪問のたびに皆さんの成長を実感しています。 また、スタッフの皆さんが日々成長していく姿はもちろん嬉しかったのですが、それ以上に感動したのは、組織全体が変化を遂げていったことです。農園で働くスタッフ一人ひとりが「会社の仲間」なのだという意識が、予想以上の速さで社内に根付いていきました。特に胸を打たれたのは、開園からわずか3か月後に経営トップが農園を訪れたときのことです。その場では誰もが自然と彼らのことを「スタッフ」と呼んでいて、「障がい者」という言葉は一切出てこなかったのです。あの瞬間、農園が私たちにとって、特別な場所ではなく「同じチームの一員が共に働く場所」として、社内に温かく迎えられているのだと感じました。
ーそうした環境でスタッフの皆さんが働く様子について、ご家族からはどのような反応がありましたか。田中 少し遡りますが、スタッフのご家族には就労の門出となる入社式の段階から非常に喜んでいただきました。入社式にはご家族の方にもご列席いただいたのですが、「我が息子・娘が働く場所として、こんなに温かく迎えてくれて嬉しい」と涙ながらに感謝の言葉を伝えてくださったのです。今まさに、スタッフの皆さんがいきいきと働いている姿を見ると、改めて取り組みの意義深さを実感します。
樋口 就労後の変化についても嬉しい声が届いています。以前の職場環境ではご本人の状態が心配でご家族も気を揉むことが多かったという方がいらっしゃいました。しかし、「この会社に来てから、本人の表情や雰囲気がとても明るくなった」と喜んでくださって。ご本人がいきいきと働けるだけでなく、ご家族の安心にもつながっているのだと、大きなやりがいを感じています。
田中 まずは従業員への配布です。北海道から九州まで全国の拠点に届けているのですが、「美味しかったです」「いつもありがとう」「次回も楽しみにしています」といった温かいメッセージが各所から届くたびに、本当に嬉しく感じています。なかには、オフィスで働く障がいのあるスタッフから「自分も農園のみんなとのつながりを感じて、頑張ろうという気持ちになります」という言葉が届いたこともあります。そのコメントは農園のスタッフやご家族にも共有しており、やりがいや働きがいにもつながっているようです。 さらに嬉しいのは、野菜を食べるお子さんの笑顔の写真を送ってくれた従業員もいたことです。「お父さんの会社ってこんなに美味しい野菜をもらえるんだね!」といった家族の会話を通して、子どもたちの世代へも障がいのある方への理解が自然と広がっていく、そんな嬉しい副次的な効果も生まれています。
樋口 そうした社内での活用に加えて、スタッフの働きが「社会全体へ循環していく仕組み」を作れないかと考えていました。そこで最近は、地域のこども食堂や学校への野菜の寄付にも取り組むようになりました。
田中 こうした取り組みを通して、私たちの活動が社内にとどまらず、地域社会へとつながっていく様子は、本当に素晴らしいことだと感じています。
樋口 農園での成果物を通して「自分たちも社会に参画し、貢献しているんだ」とスタッフ自身が実感できること。そういう実感を育んでいけるのが、雇用のあるべき姿ではないかと考えています。
ーそうした御社の姿勢や日々の取り組みに対して、社外からの反響などはありますか。田中 わーくはぴねす農園での取り組みが鉄鋼業界の専門紙に掲載されたことで、取引先から「こういう取り組みをされているんですね」とお問い合わせをいただくようになりました。関心を持ってくださった取引先にはエスプールプラスさんをご紹介して、実際に農園を見学していただくケースも出ています。 障がい者雇用への取り組みを発信し続けることは、サステナビリティを重視する企業としてのブランド向上にも繋がっていると感じます。ゆくゆくは業界全体で「自分たちも取り組んでみよう」という前向きなきっかけになればという思いが強くあります。
樋口 今年の新入社員研修では、実際に農園へ足を運んで、まずエスプールプラスさんの取り組みや障がい者雇用について学びを深めたうえで、スタッフと一緒に農園での作業を体験してもらった後、新入社員同士でディスカッションを行う、というプログラムを新たに取り入れました。全国の拠点に配属される新入社員が、周囲にもその体験を伝えていくことで、障がいのある方への理解が少しずつ全社に浸透していくことを期待しています。
田中 私たちが理想とするのは、「障がい者雇用」という限定的な枠組みではなく、多様な働き方をする人々が、自然と溶け合い、共に活躍できる組織を築くことです。研修に参加した新入社員たちが、自社農園の野菜を手に取ったときに、ふと「あの時の仲間が作ってくれた野菜だ」と思い出してくれる。そういう"記憶の種"が、新入社員たちの中で芽吹けばいいなと考えたことも企画の意図にありました。
・支援を受ける側ではなく、一人ひとりが会社の戦力として主体的に働いていることを実感しました。
・彼らがプロフェッショナルとして会社を支えている姿を目の当たりにしました。
・障がいの有無にかかわらず、全員が同じ大切な従業員であることを再認識しました。
・一人ひとりに個性があることを理解・尊重し、向き合う重要性を学びました。
・私たちも同じ社員として、互いに協力し合って成長していきたいと強く思いました。
・障がいのある方のやりがいを支え社会に貢献する、この取り組みの意義の深さを実感しました。
樋口 当社は昨年、サステナビリティポリシーを制定し、その中で「多様なバックグラウンドと価値観をもつ従業員一人ひとりがそれぞれの職場で活き活きと活躍することが、持続可能な企業価値の向上と社会の発展への寄与につながる」としています。障がい者雇用についてもそうした理念のもと、短期では採用、中期では定着、そして長期ではサプライチェーン全体での共創につながっていくように取り組みを続けていきたいと思います。 最初こそ法定雇用率という課題解決からのスタートでしたが、農園を通して生まれた社内外のつながりや、スタッフの生き生きとした笑顔を見ると、この取り組みが単なる義務を超えて、私たちが目指す「新たな価値の創造」へと着実に育っていることを実感します。これからも農園は、その思いを体現する大切な場所であり続けると信じています。
| 会社名 | 住商メタルワン鋼管株式会社 |
|---|---|
| 事業内容 | 鋼管、継手、バルブ、配管機材などの加工・販売 |
