写真:日本給食株式会社

「みんなが輝ける場所を増やしたい」その想いが農園で結実。野菜作りを通じて育む、メンバーの誇りと組織の温かな絆

日本給食株式会社

執行役員 統括部長 松田二郎 様

イメージ:日本給食株式会社インタビュー
利用効果
  • 障がいのある方が「プロ」として自律し、自信と誇りを持って働けるようになった
  • 収穫した野菜が自社運営のカレー店や子ども食堂で活用され、企業理念にも通ずる「食」のサイクルが生まれた
  • 社員が農園の野菜を通じて障がい者雇用を身近に感じ、組織のエンゲージメントも高まった

「おいしい給食を安全に作ること」と「障がい者雇用を広げること」。学校給食の受託や食材卸売事業を展開する日本給食株式会社において、この二つの両立は長年の課題でした。専門性が求められる調理現場では、事業拡大のスピードに合わせて採用し続けることが難しかったのです。

そんな同社が新たな選択肢として導入を決めたのが、「わーくはぴねす農園」でした。

2023年9月に6名を採用し運営を開始。その成果を経て2025年3月にはさらに6名を採用し体制を拡大。現在は、収穫したパクチーを、御茶ノ水にある自社運営のカレー店でトッピングとして提供するなど、「食」の企業ならではの循環を生み出しています。

なぜ、同社はオフィスでも厨房でもなく、エスプールプラスの農園を選んだのか。執行役員 統括部長の松田二郎様に、導入の決断から野菜作りが組織にもたらした変化まで、お話を伺いました。

「ここは単なる作業場ではない」。熱意をもって働ける場所として農園を選んだ。

ー以前は、どのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか?

私たちが担うのは学校給食という公共性の高い「食」のインフラであり、現場には高い専門技術が求められます。事業が拡大するなかで障がい者雇用を広げたいと思い、特別支援学校からの実習生受け入れ等は行っていたものの、給食現場への配属だけでは限界がありました。そのため、最適な方法を模索し続けていたんです。

ー最終的に、わーくはぴねす農園を選ばれた理由を教えてください。

はじめにあったのは、特別支援学校の給食受託を通じて抱いていた、「彼らが輝く場所を増やしたい」という想い。仕事柄、障がいのある生徒たちと触れ合う機会が多く、先生方から「卒業後の就職先が少ない」「働きたいのに場所がない」という現実を聞いて心を痛めており、ずっと何かできないかと考えていたんです。

わーくはぴねす農園を見学したのも、その思いから。そこで、働いている方々が非常に熱心に野菜作りに取り組んでいる姿に心を動かされました。長く働いている方の習熟した手つきや、熱意を持って作業する様子を見て、「ここは単なる作業場ではなく、やりがいを持って生活を充実させられる場所なんだ」と確信したことが農園を始める決め手となりましたね。

また、私たちが「食」に関わる事業を行っているため、「野菜を作る」という行為が企業理念と親和性が高く、社内の理解も得やすかったことも背景にあります。自分たちの強みも活かせると思い決断しました。

農園での作業風景

更地からのスタートが育んだ、団結力と誇り

ー実際に運営を始めてみて、ギャップを感じたことはありましたか?

一番驚いたのは、開始時点でしたね。農園をはじめて訪れた際、目の前に広がっていたのは、更地だったのです。専門家のサポートが受けられることも知っていましたが、正直なところ「えっ、職場づくりから始めるのか」という衝撃からのスタートでした(笑)。

最初はメンバーも手探りで、野菜作りが始まるまでは人間関係が少しギクシャクすることもありました。しかし、いざ栽培の準備が整い、野菜作りが始まり、「種を植え、育て、収穫する」というサイクルが回り出すと、状況は一変。日々の努力が「野菜」という形になって成果が見えることで達成感を共有しやすくなり、自然と団結力が芽生えていきました。自分たちで働く場所を作り上げたこともチームの誇りになっていると思います。

私自身も足繁く農園に足を運び、日々の日報には必ず目を通して、一人ひとりの様子を把握するようにしています。訪問時には、メンバーと直接顔を合わせて会話することを大切にしており、最近では「調子はどう?」「ここまで野菜が大きくなったんだ」と自然と会話が弾むようになりました。

メンバーと会話する松田様

ーそうした野菜づくりや日々の関わりを通して、メンバーの方々に変化はありましたか?

目覚ましい変化を感じています。面接時にはコミュニケーションに少し不安を感じる方もいたのですが、働き始めて1ヶ月、2ヶ月と経つにつれて、見違えるように仕事への姿勢が変わっていきましたね。

今では単なる作業者として指示を待つのではなく、野菜に関する知識や経験を蓄積し、「次はこんな野菜を作ってみたい」と自ら本を読んで提案してくれるまでになりました。自分たちで考え、工夫し、農園を支える「プロフェッショナル」として成長していく姿を見て、当初の不安は完全に払拭されました。

地域や社内へ広がる「食」のサイクル。農園が切り拓く組織と人の未来

農園の看板と野菜

ー農園の野菜はどのように活用されていますか?

自社が運営する御茶ノ水のカレー店で、農園でつくったパクチーやナス、サニーレタスなどを使用しています。特にパクチーは、調理スタッフから「市販のものより香りが強くて良い」と高く評価されており、メンバーも喜んでいますね。家族と一緒に店を訪れたと報告してくれる方もいるほどです。自分たちが手塩にかけて育てた野菜が、「プロに認められ、誰かの役に立っている」という実感が、自信と働くモチベーションの源泉につながっていると感じます。

また、野菜の一部は私が持ち帰り、本社のある地域の子ども食堂へ寄付したり、自ら社内で配布したりもしています。社員からは「こんな立派な野菜を作っているんだ」と驚きの声が上がり、障がいのあるお子さんがいる社員からは「将来の選択肢が見えて安心した」という声も聞かれました。

このように農園は、社員のエンゲージメント向上や地域貢献のハブとしての役割も果たしているんです。採用活動においても、こうした取り組みを動画で紹介するなど、当社の姿勢を伝える大切な事業になっています。

ー今後、農園を通じて実現していきたいことはありますか?

今後は収穫量をさらに増やし、関わりのある特別支援学校や施設へ寄付するなど、「自社の野菜を食べてもらう機会」をもっと増やしたいと考えています。わーくはぴねすを中心とした「食」のサイクルとそこで働くメンバーの活躍の場をさらに広げていきたいですね。

働くことの本質は、お金を得ること以上に「目標」や「役割」を持つことにあると思います。自分たちが作ったものがどう使われ、喜ばれているかをフィードバックすることで、メンバーは定着し、成長していくのです。これからも共に目標を作り、共有しながら、みんなが輝ける場所を作っていきたいと思っています。

農園メンバーとの集合写真

2025年11月25日インタビュー
本文中の企業名、役職、数値情報等は、インタビュー当時のものです。

会社名 日本給食株式会社
事業内容 受託給食事業 食材卸売事業

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