「障害者雇用に補助金があると聞いたけれど、自社で使えるものはどれ?」 「補助金と助成金は何が違う?結局いくらもらえるの?」 「うちのような中小企業や個人事業主でも対象になるの?」
障害者雇用を検討するとき、こんな疑問や不安を抱える事業主は少なくありません。人事担当者からも、「障害者雇用を任されたが、お金の支援制度が複雑で分からない」という声が増えています。
障害者を雇用する際は、職場環境の整備や受け入れ体制づくりが必要です。その負担を軽くするために、国だけでなく各自治体も独自の「補助金」「奨励金」を用意しています。しかし、いざ調べると「補助金」と「助成金」が入り混じって紹介されていたり、自分の地域で使える制度が見つからなかったりと、情報が複雑で分かりにくいのが実情です。
この記事でわかること
なお、障がい者雇用支援サービスを提供するエスプールプラスでは、「わーくはぴねす農園」を通じて、障がいのある方に適した業務の設計・割り当てから、採用・雇用継続までを支援しています。2026年2月末現在で全国60施設・約730社の導入実績と職場定着率約92%で、「適した業務が見つからない」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった企業の課題解決をサポートしています。
「補助金」と「助成金」、どちらも障害者雇用で使えるお金ですが、その違いを正確に説明できる方は意外と少ないかもしれません。実はこの2つ、管轄も、もらえる確実性も、まったく異なります。
さらに、障害者雇用には「納付金」「調整金」「報奨金」という似た言葉も登場し、混乱しがちです。
まずは「補助金とは何か」から、順番に見ていきましょう。
補助金とは、国(主に経済産業省・中小企業庁)や地方自治体が、政策目的に沿った取り組みを行う事業者に対して交付するお金です。障害者雇用の分野では、各自治体が独自に実施しているものが中心となります。
補助金の最大の特徴は、「申請すれば必ずもらえるとは限らない」点にあります。補助金には予算の枠があるため、申請すれば必ずもらえるわけではなく、事業計画を提出し採択される必要があり、募集期間も限られる事前の準備が欠かせないとされています。
補助金のポイントを整理すると、次のようになります。
障害者雇用に関して「補助金」と呼ばれるものの多くは、自治体が地域の実情に合わせて独自に設けている制度です。そのため、お住まいの地域によって有無や内容が大きく変わります。この点は後の章でくわしく解説します。
補助金と助成金の一番の違いは、「もらえる確実性」にあります。補助金は予算や採択件数が限られているため競争率が高く、審査通過には質の高い事業計画が必要なのに対し、助成金は要件を満たしていれば給付される傾向にあります。
管轄と目的にも違いがあります。補助金は主に経済産業省や中小企業庁が管轄し産業の発展を目的とするのに対し、助成金は厚生労働省の管轄で、雇用の維持や労働者の福祉向上を主眼に置いている点が特徴です。障害者雇用で使われるお金は、国レベルでは基本的に厚労省管轄の「助成金」にあたります。
| 比較項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 主な管轄 | 経済産業省・中小企業庁/地方自治体 | 厚生労働省(JEED・ハローワーク) |
| 主な目的 | 産業振興・地域活性化 | 雇用の維持・労働環境の改善 |
| もらえる確実性 | 審査・採択があり、不採択もある | 要件を満たせば原則受給できる |
| 募集期間 | 限られている | 比較的随時(制度による) |
| 障害者雇用での位置づけ | 主に自治体が独自に実施 | 国(厚労省)の制度が中心 |
ただし、注意点が1つあります。経済産業省系で補助金の特徴を持つ制度でも「助成金」という名称になっているものがあったり、その逆もあるため、名称だけで判断せず、実際の管轄や支給の仕組みを確認することが大切です。実際、後で紹介する自治体制度の中にも「奨励金」「助成金」と名乗りつつ補助金的な性格を持つものが多数あります。
障害者雇用のお金には、もう1つ理解しておきたい仕組みがあります。それが「納付金」「調整金」「報奨金」です。
これらは「補助金」「助成金」とは性格が異なり、法定雇用率を基準に、企業がお金を"払う"か"もらう"かが決まる制度です。
重要なのは、この3つがつながっているという点です。法定雇用率を下回った企業から集めた納付金が財源となり、それを原資として、より多く雇用している企業へ調整金・報奨金が支給されます。さらに、各種助成金の財源にもなっています。
つまり、障害者雇用のお金は次のように整理できます。
| 区分 | 方向 | 概要 |
|---|---|---|
| 補助金 | もらう | 主に自治体独自。審査・採択あり |
| 助成金 | もらう | 国(厚労省)。要件充足型 |
| 調整金・報奨金 | もらう | 法定数を超えて雇用した企業へ |
| 納付金 | 払う | 法定雇用率未達の企業が負担。上記の財源 |
「補助金」を検討する前に、自社が納付金の対象になるのか、あるいは調整金・報奨金を受け取れる立場なのかを把握しておくと、全体の見通しが立てやすくなります。
障害者雇用の「補助金」は、各自治体が独自に設けているものが中心です。そして、その有無・名称・金額は地域によって大きく異なります。
ここでは、実際に制度を設けている全国7つの自治体を例に、具体的な金額や対象を紹介します。
【自治体の補助金・奨励金 早見表】
| 自治体 | 主な制度名 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 東京都 | 中小企業障害者雇用スタート支援奨励金 ほか | 30万〜120万円 |
| 神奈川県 | 精神障害者職場指導員設置補助金 | 月2万〜3万円 |
| 愛知県 | 中小企業応援障害者雇用奨励金 | 15万〜60万円 |
| 三重県四日市市 | 障害者雇用職場定着支援補助金 ほか | 最大30万円 ほか |
| 京都府 | 障害者雇用施設整備事業等事業費補助金 | 施設・定着の整備費を補助 |
| 山梨県 | 障害者雇用に係る助成制度 | 県独自設定 |
| 長野県須坂市 | 障害者雇用促進奨励金 ほか | 2万円 ほか |
※名称は「補助金」「奨励金」「助成金」と自治体ごとに異なりますが、いずれも各自治体が独自に実施している支援制度です。金額・要件は改定されるため、申請前に必ず各自治体の公式情報をご確認ください。
東京都は、障害者雇用に関する独自の支援制度の中で代表的なものが3つあります。
① 中小企業障害者雇用スタート支援奨励金 初めて障害者を雇用する中小事業主を後押しする奨励金です。これまでに障害者の雇用実績がない中小事業主が対象で、雇い入れた障害者を6か月間継続雇用し、都内事業所に勤務させていることなどが要件となります。支給額は週の所定労働時間と障害の程度で決まります。
| 週所定労働時間 | 障害者 | 重度障害者 |
|---|---|---|
| 10時間以上20時間未満 | ― | 30万円 |
| 20時間以上30時間未満 | 60万円 | 90万円 |
| 30時間以上 | 90万円 | 120万円 |
支給人数は一事業主あたり1人で、対象労働者を採用した日から6か月経過後の翌日から2か月以内に東京都へ申請が必要です。
② 中小企業障害者雇用支援助成金 国の特定求職者雇用開発助成金(特開金)の対象期間が終わった後、引き続き雇用する中小企業に、東京都が独自に賃金を上乗せ助成するものです。重度障害者等は1人当たり月額6万円(令和7年3月以前は5万5千円)、重度障害者以外は月額3万6千円(同3万3千円)で、助成対象期間は最長3年です。
③ 障害者安定雇用奨励金 障害者を正規・無期で雇用したり、有期から転換したりする企業を支援します。中小企業で支給対象労働者の賃金が最低賃金を10%以上上回る場合、雇入奨励金は20万円・転換奨励金は10万円が加算され、これは令和8年4月1日以降の雇入れ・転換に適用されると改定されています。
神奈川県は、精神障害者の職場定着に焦点を当てた補助金を設けています。
「精神障害者職場指導員設置補助金」は、精神障害者を雇用し、職場指導員を設置して定着を支援する中小企業が対象です。常時雇用する従業員数40人以上100人未満の中小企業で、週所定労働時間10時間以上の精神障害者を1人以上雇用していることなどが要件となり、補助期間は最大36か月、1事業所あたり1〜12か月目は月額3万円、13〜36か月目は月額2万円が支給される仕組みです。
申請のタイミングには注意が必要です。その障害者を雇用してから1年以内であることが申請の要件(例:令和8年4月1日に雇用した場合は令和9年4月1日まで申請が可能)とされています。職場指導員は特別な資格が不要で、障害特性を理解した職場の上司や同僚などが担える点も特徴です。
愛知県は、障害者雇用の経験がない中小企業を後押しする独自制度を、2017年度から設けています。
「中小企業応援障害者雇用奨励金」は、障害者雇用の経験のない常時雇用労働者数300人以下の中小企業が、対象となる障害者を初めて雇用し、6か月以上継続雇用した場合に支給されるものです。支給額は障害者の働き方の区分によって決まります。
| 対象となる障害者の区分 | 支給額(1事業主当たり) |
|---|---|
| 一般労働者(身体・知的・精神)/短時間労働者(精神) | 60万円 |
| 短時間労働者(身体・知的) | 30万円 |
| 特定短時間労働者(重度身体・重度知的・精神) | 15万円 |
注意点として、就労継続支援A型の事業を実施している事業主は対象外で、申請は対象労働者の雇入れ日から6か月経過後の翌日から2か月以内に行う必要があるとされています。
四日市市は、市区町村レベルでありながら複数の独自補助金を整備している、全国的にも先進的な自治体です。代表的な制度は次のとおりです。
四日市市の定着支援補助金には、特に重要な注意点があります。申請時期は「雇用を開始する前まで」と定められており、計画書の提出→計画承認→障害者の雇用→交付申請→補助金の支給、という流れになっています。雇ってからでは申請できないため、検討段階で必ず市に相談しましょう。
京都府は、施設整備と職場定着の両面を支援する補助金を設けています。
「障害者雇用施設整備事業等事業費補助金」は、障害のある人の安定的な雇用の確保や就労の機会の拡大を図るため、障害のある人を雇用する上で必要となる施設・設備等の整備や職場定着事業を実施する事業主へ補助を行うものです。施設・設備の整備と、職場定着のための事業の双方が対象になります。
対象は京都府内の事業所で障害のある人を常時雇用する事業主で、これから整備・実施するものが対象(すでに購入済み・工事中のものは対象外)です。利用にあたっては申請前の事前相談が必要とされているため、まずは京都府の雇用推進課に相談することから始めましょう。具体的な補助上限額や補助率は年度の要綱によって変わるため、最新の公募内容を必ず確認してください。
山梨県は、国の助成金が終わった後の継続雇用を支える独自制度を設けています。
「障害者雇用に係る助成制度」は、山梨県の障害者幸住条例に伴い、より多くの障害のある方の雇用継続のために県独自に創設された助成金です。国の特定求職者雇用開発助成金(特開金)の受給が終わった後も、引き続き雇用する事業主を支援します。
対象となる事業主の条件は明確です。資本金3億円以下または常時雇用労働者300人以下の事業主であり、山梨県内在住の障害のある方を、ハローワーク等の紹介により常用労働者(週20時間未満を除く)として県内事業所に雇用し、特開金の受給終了後も引き続き雇用することが求められます。
国の制度から地域の制度へと、切れ目なく支援をつなげられるのが大きなメリットです。
長野県須坂市は、雇用と作業環境整備の両面を支援する制度を設けています。
ひとつは「障害者雇用促進奨励金」です。市内に居住する障害者を、公共職業安定所の紹介により常用労働者として6か月以上継続して雇用した市内の事業主に対し、1人につき1回限り20,000円を交付するものです。対象は65歳未満で、身体障害者手帳・療育手帳の交付を受けている方などとされています。
もうひとつが「障害者作業施設等整備事業補助金」で、障害者の作業に必要な施設の新築・改築や設備の整備にかかる費用の一部を補助するものです。市区町村独自の制度は、このように金額は大きくないものの、雇用や設備投資の負担を着実に軽くしてくれます。
ここまで7つの自治体を紹介してきましたが、最も大切なのは「これらはあくまで一例にすぎない」ということです。
障害者雇用の補助金には、次のような特徴があります。
つまり、自分の地域で使える補助金を見つけるには、自分で能動的に、かつ最新の情報を調べることが欠かせません。次の章では、その具体的な探し方を解説します。
「ここまで読んだけれど、自分の地域に補助金があるかどうか分からない」----そう感じた方も多いはずです。自治体の補助金は地域差が大きく、紹介した7自治体以外にも制度はありますし、逆に何もない地域もあります。
大切なのは、自分の地域の最新情報を、自分で正確に確認することです。ここでは、確実な探し方を3つのルートに分けて解説します。この3つを押さえれば、見落としはほぼなくなります。
最初に確認すべきは、お住まいの都道府県・市区町村の公式サイトです。自治体の補助金は、その自治体自身が一次情報を持っているため、ここが最も正確で確実な入り口になります。
探すときのコツは、検索する言葉を工夫することです。前章で触れたとおり、制度の名称は「補助金」「奨励金」「助成金」とバラバラなので、ひとつの言葉だけで探すと見つけられないことがあります。
このように複数のキーワードで検索してみましょう。自治体サイト内では、「産業・労働」「事業者向け」「雇用支援」といったカテゴリーに掲載されていることが多いです。
確認すべきポイントは、①制度が現在も実施されているか(年度表記)、②自社が対象になるか、③公募期間と予算枠、④申請のタイミングの4点です。特に年度表記は重要で、古い情報が検索上位に残っていることもあるため、必ず最新年度のページかを確かめてください。
サイトで調べるだけでは不安、あるいは制度が複雑で自社に当てはまるか判断できない----そんなときは、専門の窓口に相談するのが確実です。障害者雇用の事業主を支援する公的窓口は、主に2つあります。
① ハローワーク(公共職業安定所) 障害者雇用の相談における中心的な窓口です。障害者を雇用している事業主、雇い入れようとしている事業主に対して、雇用管理上の配慮等についての助言を行い、必要に応じて地域障害者職業センター等の専門機関の紹介、各種助成金の案内を行っているとされています。国の助成金の申請窓口でもあるため、まず相談すべき場所です。
② 地域障害者職業センター JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)が運営する、より専門的な支援機関です。各都道府県に最低1か所設置することが義務付けられており、障害のある方だけでなく事業主への支援も行っているのが特徴です。具体的には、障害のある人を雇用する事業所に対して、雇用管理に関する相談・援助を行い、職場定着を支援するための環境づくりまでサポートしている機関です。
このほか、就業面と生活面の両方を支える「障害者就業・生活支援センター」も各地域にあります。これらの窓口は、補助金の情報だけでなく、雇用後の定着支援までまとめて相談できる点が大きなメリットです。「どの制度が使えるか」を一人で抱え込まず、早い段階で相談することをおすすめします。
3つ目のルートが、民間が運営する補助金検索ポータルサイトです。複数の補助金・助成金を横断的に検索でき、地域や目的で絞り込めるため、自治体サイトで見落とした制度を補完的にチェックするのに役立ちます。メール通知機能で最新の公募情報を受け取れるサービスもあります。
ただし、利用には2つの注意点があります。
① 情報が最新・正確とは限らない ポータルサイトの情報は、必ずしもリアルタイムで更新されているわけではありません。実際、本記事の調査でも、まとめサイトには掲載されているものの、自治体の最新の規程では確認できない(廃止された可能性がある)制度が見つかりました。ポータルで見つけた制度は、必ず自治体の公式サイトや窓口で実在と最新の内容を確認することが欠かせません。
② 怪しい「申請代行」の勧誘に注意 補助金に関連して、高額な手数料を取る代理店の存在も指摘されています。一般に、「補助金がもらえます」と訪問・電話で営業してくる代理店の中には、成功報酬として受給額の20〜30%や着手金を求めるケースがあるとされます。不安な場合は、商工会議所・税理士・社会保険労務士といった信頼できる窓口や、前述の公的機関に相談するのが安全です。
補助金検索ポータルは便利なツールですが、あくまで「探すための入り口」と位置づけ、最終確認は必ず公式情報で行うことが重要です。
補助金の金額は、「目的」「障害の程度」「労働時間」「企業規模」「自治体」によって大きく変わるため、「一律でいくら」とは言えません。
これまで紹介した自治体の制度を「雇い入れを支援するもの」と「職場定着を支援するもの」の2つに整理して紹介します。
なお、補助金を考えるうえで知っておきたい前提があります。自治体の補助金には、東京都のように労働時間や障害の程度で金額が決まる「定額型」、神奈川県のように毎月一定額を支給する「月額型」、京都府のようにかかった費用の一部を補助する「費用補助型」があります。いずれも雇用にかかる負担の一部を補うものであり、支援の形は制度によってさまざまです。
まず、障害者を新たに雇い入れる段階で使える補助金の金額です。これらは「初めて雇う」「雇用実績がない」企業を後押しするものが中心で、一時金(または短期間の支給)として支払われる傾向があります。
| 自治体・制度 | 一人当たりの金額の目安 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 東京都 スタート支援奨励金 | 30万〜120万円(労働時間・障害程度による) | 初めて雇用する中小事業主 |
| 愛知県 中小企業応援奨励金 | 15万・30万・60万円(区分による) | 雇用経験のない300人以下の中小企業 |
| 三重県四日市市 定着支援補助金 | 継続雇用期間に応じ最大30万円 | 国の助成金対象外の市内雇用 |
| 長野県須坂市 雇用促進奨励金 | 1人1回限り2万円 | 市内居住者の6か月以上継続雇用 |
このように、同じ「雇い入れ」でも、自治体によって金額には大きな幅があります。東京都や愛知県のように数十万円規模のところもあれば、市区町村独自の制度では数万円規模のものもあります。
ポイントは、「初めての雇用」を手厚く支援する制度が多いことです。これから障害者雇用を始める企業にとっては、特に活用しやすい補助金といえます。
次に、雇った障害者が働き続けられるように支援する段階の補助金です。こちらは一時金ではなく、月額で継続的に支給されるものが多いのが特徴です。
| 自治体・制度 | 金額の目安 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 東京都 中小企業障害者雇用支援助成金 | 月3万6千円〜6万円(最長3年) | 国の特開金終了後も継続雇用する中小企業 |
| 神奈川県 精神障害者職場指導員設置補助金 | 月2万〜3万円(最大36か月) | 職場指導員を設置する40〜100人未満の中小企業 |
| 山梨県 障害者雇用に係る助成制度 | 県の定める額 | 国の特開金終了後も継続雇用する300人以下の事業主 |
| 京都府 施設整備事業等補助金 | 整備費等を補助(要綱による) | 施設整備・定着支援を行う府内事業主 |
定着支援の補助金には、いくつかの共通した特徴があります。
雇い入れ時の補助金が「スタートダッシュ」を支えるものだとすれば、定着支援の補助金は「長く働き続けてもらう」ための土台を支えるもの、とイメージすると分かりやすいでしょう。
※ここで挙げた金額は、いずれも調査時点での目安です。補助金は年度ごとに改定されるため、実際の申請時には必ず各自治体の最新の公式情報で確認してください。
補助金の対象になるかは、主に①事業主側の条件、②雇用する障害者の条件、③予算・期間の条件という3つの観点で決まります。
結論を先にお伝えすると、個人事業主や中小企業でも対象になる制度は多くあります。ただし、「自社の主たる事業所が地域内にある」「予算枠が残っている」など、見落としやすい条件もあります。順に見ていきましょう。
「補助金は大企業向けで、小さな会社は使えないのでは」と思われがちですが、実際はその逆です。むしろ中小企業や個人事業主を主な対象にしている制度が多いのが、障害者雇用の補助金の特徴です。
まず、個人事業主について。国の助成金では、厚生労働省の雇用関係助成金支給要領において、助成対象となる事業主は「事業の経営の主体である個人または法人若しくは法人格がない社団若しくは財団」と明記されており、個人事業主でも申請が可能とされています。自治体の補助金については各自治体の判断になりますが、雇用保険の適用事業所であれば対象となるケースが一般的です。
次に、中小企業について。前章までで見たとおり、東京都・愛知県・神奈川県・山梨県などの制度は、いずれも中小企業を主な対象としています。たとえば愛知県の制度では常時雇用労働者数300人以下、神奈川県では40人以上100人未満が対象というように、規模の要件が設けられています。
ここで注意したいのが、「中小企業」の定義は業種によって異なるという点です。たとえば四日市市の補助金では、中小企業の範囲が次のように定められています。
| 産業分類 | 資本金の額・出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
資本金または常時雇用する労働者数のいずれかを満たせば中小企業として扱われるのが一般的です。自社がどの区分に当たるかは、制度ごとに必ず確認しましょう。
加えて、多くの自治体補助金には地域要件があります。「主たる事業所が県内・市内にある」「地域内に居住する障害者を雇う」といった条件です。地域に根ざした事業者を支援するという制度の性格上、ここは外せないポイントです。
補助金は、「誰を雇ったか」によっても対象かどうかが変わります。では、どのような障害のある方が対象になるのでしょうか。
基本となるのは、障害者手帳の保有です。助成金の対象となる障害者は障害者雇用率の算定対象でもあり、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていることが条件とされています。つまり、次の3つの手帳のいずれかを持つ方が基本的な対象です。
さらに、制度によっては手帳を持たない方も対象に含まれます。手帳を持たない統合失調症、そううつ病(うつ病を含む)、てんかんのある方も対象として含まれるほか、発達障害者や難病患者などを対象とする制度もあります。
また、ここで重要なのが労働時間によるカウントの考え方です。多くの補助金は、週の所定労働時間によって対象や金額が変わります。一般的には、週30時間以上が「一般労働者」、20時間以上30時間未満が「短時間労働者」、10時間以上20時間未満が「特定短時間労働者」と区分され、それぞれで支給額が異なります。前章で見た愛知県の制度(一般60万円・短時間30万円・特定短時間15万円)は、この区分の典型例です。
なお、障害の種類・程度・労働時間で対象や金額が細かく変わるため、自社が雇う(雇おうとしている)方がどの区分に当たるかは、制度ごとの要綱で確認することが欠かせません。
事業主と障害者の条件を満たしていても、もう1つ見落としてはならない条件があります。それが予算枠と公募期間です。
補助金は助成金と違い、予算の範囲内で支給される仕組みです。そのため、要件を満たしていても、次のような理由で受けられないことがあります。
こうした事情から、補助金を活用するなら「早めに動く」ことが何より重要です。年度初め(多くは4月)に最新の公募情報を確認し、申請期間や予算枠を早めに把握しておきましょう。
特に、前章までで触れたように、「雇用を開始する前に申請・計画書の提出が必要」な制度(四日市市など)もあります。「雇ってから探す」のではなく、「検討段階で調べて、計画的に申請する」のが、補助金を確実に受け取るためのコツです。
「補助金を使いたいけれど、手続きが難しそう」----そう感じて二の足を踏む事業主は少なくありません。
たしかに補助金の申請には書類の準備や期限の管理が必要ですが、流れそのものはシンプルです。①窓口を確認し、②正しいタイミングで申請し、③ルールを守って受給する----この3つを押さえれば、過度に身構える必要はありません。
この章では、申請の手順、つまずきやすいタイミングの注意点、そして必ず知っておくべき「不正受給」のリスクまでを、順に解説します。
補助金の申請は、自治体によって細かな違いはありますが、大まかな流れは共通しています。前章までで紹介した四日市市の例では、次のような手順になります。
ここで重要なのが、「申請窓口」が制度によって異なることです。整理すると次のようになります。
| 制度の種類 | 主な申請窓口 |
|---|---|
| 自治体の補助金 | 各自治体の担当課(産業労働・雇用担当など) |
| 国の助成金(雇い入れ系) | 管轄のハローワーク・都道府県労働局 |
| 国の助成金(納付金関係) | JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の都道府県支部 |
自治体の補助金の場合は、その自治体の担当課が窓口です。近年は電子申請に対応する自治体も増えており、たとえば東京都や愛知県では、国の電子申請システム「Jグランツ」や県独自の電子申請システムでの提出が可能になっています。
必要書類は制度ごとに異なりますが、一般的には次のようなものが求められます。
書類は窓口や自治体サイトで様式が配布されています。記入例を参照しながら、早めに準備を進めましょう。
補助金で最もつまずきやすいのが、申請のタイミングです。ここを誤ると、要件を満たしていても受け取れなくなってしまいます。
特に注意すべき点を、3つにまとめます。
① 「雇用する前」の申請が必要な制度がある 前章までで繰り返し触れたとおり、四日市市の定着支援補助金のように申請時期が「雇用を開始する前まで」と定められている制度があります。また、国の施設設置等の助成金でも「申請前に着工や契約をしてしまうと支給対象外」となるものがあります。「雇ってから」「整備してから」では遅いケースがあることを、必ず頭に入れておきましょう。
② 「雇用後、一定期間内」の申請期限がある制度もある 逆に、雇い入れ後に申請するタイプもあります。たとえば東京都のスタート支援奨励金は、対象労働者を採用した日から6か月経過後の翌日から2か月以内に申請が必要です。愛知県の奨励金も、雇入れ日から6か月経過後の翌日から2か月以内と定められています。この「2か月以内」を過ぎると申請できなくなるため、期限管理が欠かせません。
③ 予算枠による早期終了に注意 前章で触れたとおり、補助金は予算の範囲内で先着順に締め切られることがあります。期間が残っていても、予算に達すれば終了します。
これらをまとめると、補助金は「思い立ってすぐ申請」ではなく、計画的なスケジュール管理が必須だと分かります。雇用を検討し始めた段階で、まず自治体やハローワークに相談し、申請のタイミングを確認しておくのが確実です。
「補助金を活用して障害者雇用を始めたい」と考える企業もあります。ただし、補助金は雇用を継続するための支援制度であり、受給そのものを目的にするものではありません。
ただ、ここで一度立ち止まって考えておきたいことがあります。補助金は「もらって終わり」ではなく、雇用を続けることが前提の制度だということです。
この章では、補助金受給にあたり見落とすと逆効果になりかねない注意点を、誤解を解きほぐす形で整理します。
まず押さえておきたいのは、補助金は「儲け」ではなく「負担の一部を補うもの」だということです。
前章までで見たとおり、障害者を雇用する際には、職場環境の整備、業務の割り当て、サポート体制づくりなど、さまざまな負担がかかります。補助金は、こうした負担の一部を軽くするために設計されています。受け取った補助金がそのまま利益になるわけではありません。
さらに重要なのが、多くの補助金が「継続雇用」を支給の条件にしている点です。これまで紹介してきた制度を振り返ってみましょう。
このように、補助金は「雇った瞬間」ではなく「雇い続けたこと」に対して支払われるものがほとんどです。短期間で辞められてしまえば、補助金は受け取れず、採用や教育にかけた負担だけが残ります。つまり、「補助金目当て」だけで安易に雇用しても、長い目で見れば割に合わないのです。
補助金以上に企業の成否を左右するのが、「定着」です。
障害者雇用でよく聞かれる悩みとして、「適した業務が見つからない」「採用してもすぐ辞めてしまう」「現場の負担が大きい」といった声が、経営者や人事担当者から多く挙がっていることが知られています。受け入れ体制が整わないまま雇用を始めると、こうした課題に直面しがちです。
定着がうまくいかないと、次のような悪循環に陥ります。
逆に、定着支援にしっかり取り組めば、補助金を確実に受け取れるだけでなく、戦力としての活躍も期待できます。前章で紹介した神奈川県の「職場指導員設置補助金」のように、定着のための取り組みそのものを支援する補助金があるのも、定着がそれだけ重要だからにほかなりません。
「補助金をもらうこと」をゴールにするのではなく、「障害のある方に長く活躍してもらうこと」をゴールに据える。それが、結果的に補助金も活かせる、最も確実な進め方です。
エスプールプラスは、障がい者雇用の経験がなくどう始めたらよいか分からない企業や、障がい者採用を任されている人事担当者に向けて、企業向け貸し農園サービスを通じた総合的な雇用支援を提供しています。「わーくはぴねす農園」と呼ばれるこのサービスは、障害のある方が働く場所そのものを提供し、雇用場所の創出から雇用継続までをサポートします。
こんな悩みを持つ企業に向いています
サービスの実績(2026年2月末現在)
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 就労者数 | 5,000名 |
| 雇用継続率 | 92%以上 |
| 利用企業 | 730社 |
就労者数>5,000名、雇用継続率92%以上、利用企業730社という実績があり、この章で繰り返しお伝えしてきた「定着」の重要性に、サービスとしてしっかり応えている証といえます。
補助金・助成金は、制度ごとに対象経費や申請条件が異なります。活用を検討する場合は、必ず自治体・ハローワーク・労働局などの公的窓口で確認してください。
一方で、「適した業務が見つからない」「採用後の定着に不安がある」といった課題がある企業は、障がい者雇用支援サービスの活用も選択肢になります。
金額は自治体や制度によって大きく異なるため、「一律でいくら」とは言えません。本記事で紹介した例では、東京都の中小企業障害者雇用スタート支援奨励金が30万〜120万円、神奈川県の精神障害者職場指導員設置補助金が1事業所あたり月2万〜3万円、愛知県の中小企業応援障害者雇用奨励金が15万〜60万円などとなっています。
金額は、障害の程度・週の労働時間・企業規模・自治体によって変わります。自社のケースに当てはまる正確な額は、お住まいの自治体の公式情報で確認してください。
個人事業主や中小企業でも対象になる制度は多くあります。むしろ、障害者雇用の補助金は中小企業を主な対象としているものが大半です。
国の助成金については、厚生労働省の要領で助成対象事業主に個人事業主が含まれることが明記されており、個人事業主でも申請が可能です。自治体の補助金も、雇用保険の適用事業所であれば対象となるケースが一般的です。
ただし、「主たる事業所が地域内にある」「地域内に居住する障害者を雇う」といった地域要件が付くことが多いため、各制度の要綱で確認が必要です。
最大の違いは「もらえる確実性」です。助成金(主に厚生労働省)は要件を満たせば原則受給できますが、補助金(主に自治体・経済産業省)は審査・採択があり、予算枠もあるため、必ずもらえるとは限りません。
両方もらえるかについては、併用できる場合が多くあります。実際、東京都や山梨県の補助金は、国の特定求職者雇用開発助成金(特開金)の支給が終わった後の継続雇用を支援する設計になっており、国の制度と地域の制度を切れ目なくつなげられます。
ただし、注意点もあります。制度によっては、国の助成金の支給対象となっている期間は、自治体の補助金が支給されないケースもあります。同じ趣旨の支援が重複しないよう調整されているためです。併用を考える場合は、それぞれの要綱で重複の扱いを確認しましょう。
なお、独自の補助金を設けていない自治体も多くあります。その場合は、国の助成金を中心に検討すると確実です。
補助金には年度ごとの予算枠があり、公募期間や先着順で締め切られることがあります。支給される期間は、一時金として1回限りのもの(須坂市など)から、月額で数年にわたるもの(神奈川県は最大36か月)まで、制度によってさまざまです。
申請期限には特に注意が必要です。本記事で見たとおり、「雇用を開始する前」に申請・計画書の提出が必要な制度(四日市市など)もあれば、「雇用後6か月経過の翌日から2か月以内」と期限が定められた制度(東京都・愛知県など)もあります。「思い立ってすぐ」では間に合わないこともあるため、検討段階で自治体やハローワークに相談し、スケジュールを把握しておきましょう。
ここまで、障害者雇用の補助金について、助成金との違いから自治体の具体例、金額、申請の流れ、注意点までを解説してきました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
障害者雇用を成功させる第一歩は、「自社の規模 × 地域」で使える補助金を確認することです。そのうえで、補助金を「雇って終わり」のためではなく、「障害のある方に長く活躍してもらう」ために活かす視点を持つことが、企業にとっても最良の結果につながります。
まずは、お住まいの自治体の公式サイトやハローワークで、自社が使える制度を調べることから始めてみましょう。
そして、「適した業務が見つからない」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった不安がある場合は、定着支援を専門とするサービスに頼るのも有効な選択肢です。エスプールプラスの「わーくはぴねす農園」は、2026年2月末現在で全国60施設・約730社の導入実績と職場定着率約92%で、障がいのある方に適した業務の設計・割り当てから、採用・雇用継続までを支援しています。補助金の活用とあわせて、自社に合うかどうか、まずは資料請求や無料相談で確認してみてはいかがでしょうか。
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障がい者雇用の助成金を上手に利用することで、費用の負担を減らしながら障がい者雇用を行うことができます。対象者や雇用形態によって利用できる助成金は異なるため、事前にしっかりと情報を調べて助成金を使っていきましょう。
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