「障害者雇用を任されたが、賃金をいくらに設定すればいいのか分からない」
「採用したのに、業務が見合わず困っている」
こうした悩みは、障害者雇用を進める企業の人事担当者から増えています。実際、厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、雇用される障害者数は前回調査から25万6,000人増の約110万7,000人となりました。さらに2026年7月には法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象企業も従業員37.5人以上に拡大されました。「とにかく人数を採用したものの、運用がうまくいかない」という企業が増えるのは、自然な流れです。
先に結論をお伝えすると、障害者雇用でも最低賃金法は一般雇用とまったく同じように適用されます。「障害があるから」という理由で賃金を低くすることは違法であり、唯一の例外は所定の手続きを踏んだ「減額特例許可制度」だけです。賃金設定は、最低賃金の基本ルールを押さえ、障害種別の相場を把握し、業務内容に応じて適切な水準を決める、という流れで整理できます。
このページで整理するのは、次の3つです。
なお、エスプールプラスは「わーくはぴねす農園」を通じて、社内で仕事の割り当てが難しい企業でも障害者雇用を進められる農園型の雇用支援サービスを提供しています。最低賃金を遵守したまま、業務のミスマッチや定着の課題を解決でき、2026年2月末現在で職場定着率は約92%・導入実績は730社にのぼります。
「障害者雇用は最低賃金が低く設定されているのでは?」と考える方は少なくありません。しかし、これは誤解です。
障害者雇用であっても、最低賃金法は一般雇用と完全に同じように適用されます。企業と労働者の間に雇用関係が生じていれば、障害の有無にかかわらず最低賃金制度の対象となります。
その根拠となるのが「障害者雇用促進法」です。同法では、雇用における「障害を理由とする差別的な取り扱い」を禁止しています。具体的には、募集・採用・賃金・配置・昇進・降格・教育訓練などのあらゆる場面で、障害を理由に不利な条件を設けることが差別として禁じられています。
つまり、「障害があるから」という理由だけで給与額に差をつけることは認められていません。
では、なぜ障害者雇用は給料が低いと言われるのか
最低賃金は同じなのに、実際の月給に差があるように感じられるのには、主に次の2つの理由があります。
これらは「障害を理由とした賃金差別」ではなく、雇用形態や労働時間の違いによって生じる差です。最低賃金そのものに違いがあるわけではありません。
「障害者雇用の賃金設定は、何を基準に決めればいいの?」と迷う人事担当者は多いでしょう。賃金設定を誤ると、知らないうちに法律違反となり、罰金や信用毀損につながりかねません。
ここでは、障害者雇用の賃金設定で必ず押さえておくべき3つの基本ルールを解説します。
まず大前提として、障害があることを理由に給料を不当に減額することは違法です。
障害者雇用促進法では、賃金における障害を理由とした差別的取り扱いを禁止しています。「障害者だから」という理由だけで最低賃金を下回る賃金を設定したり、同じ業務をしている他の社員より一方的に低い給料にしたりすることは認められません。
また、すでに働いている障害者の賃金を一方的に引き下げることもできません。労働契約法上、賃金の減額には原則として労働者本人の合意が必要です。本人の同意なく給料を下げると、トラブルや法的リスクにつながります。
重要なのは、「障害があるから低くてよい」という発想ではなく、仕事内容や役割に応じて適切な賃金を設定するという考え方です。これは障害の有無にかかわらず変わりません。
最低賃金には、次の2種類があります。
両方が適用される場合は、高い方の最低賃金額以上を支払う必要があります。
地域別最低賃金は2025年10月に過去最大の引き上げが行われ、全国加重平均は1,121円となりました。主要都市の改定後の地域別最低賃金は次のとおりです。
| 都道府県 | 2025年10月改定後の最低賃金 |
|---|---|
| 東京都 | 1,226円 |
| 神奈川県 | 1,225円 |
| 大阪府 | 1,177円 |
| 全国加重平均 | 1,121円 |
(出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)
この改定により、全47都道府県で初めて最低賃金が1,000円を超えました。最低賃金は毎年改定されるため、賃金設定の際は最新額を必ず確認してください。
なお、最低賃金の計算には注意が必要です。賞与や時間外手当、通勤手当、精皆勤手当、家族手当などは、最低賃金額を計算する際の賃金に算入できません。これらを除いた基本給ベースで、最低賃金を上回っているかを確認しましょう。
ここまで「最低賃金は必ず守らなければならない」と説明してきましたが、例外があります。それが最低賃金法第7条に基づく「最低賃金の減額の特例許可制度」です。
これは、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの理由で、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めてしまうおそれがある場合に、都道府県労働局長の許可を受けることを条件に、個別に最低賃金を下回る賃金で雇用できる制度です。
減額特例の対象となるのは、次の労働者です。
なお、この制度はもともと「最低賃金の適用除外」という名称でしたが、平成20年(2008年)7月に適用除外が廃止され、現在の「減額特例」に置き換わりました。「適用除外」という古い言葉で認識している方もいますが、現行制度は減額特例である点に注意してください。
ただし、この制度は「障害があれば誰でも使える」ものではなく、申請や審査に一定のハードルがあります。
「障害者の労働能力に見合った賃金を払いたいが、最低賃金を下回ってもいいの?」と考える企業もあるでしょう。前章で紹介した減額特例許可制度を使えば、最低賃金を下回る賃金での雇用が可能です。
ただし、減額特例は「障害があれば自動的に認められる」ものではありません。申請の前に、次の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。
減額特例の許可で最も重要なのは、「障害があること」ではなく「障害によって業務に著しい支障が出ていること」を客観的に示すことです。
最低賃金法第7条が対象とするのは「精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者」です。ここで誤解してはいけないのは、単に障害者手帳を持っているだけでは減額対象にならないという点です。
許可を得るには、その労働者が担当する業務において、実際にどの程度の労働能率なのかを具体的に示す必要があります。申請後には労働基準監督署の担当職員が実地調査を行い、業務の種類や労働の態様を詳細に確認します。
つまり、感覚的に「うちの障害者社員は能力が低いから」という理由では認められません。業務内容・作業実績・職務遂行能力などを、データとして整理しておくことが申請の前提になります。
減額率は企業が自由に決められるものではなく、「比較対象労働者」との労働能率の比較で算出します。
具体的には、減額対象の障害者と類似の業務に従事する労働者のうち、最低位の能力を持つ人を比較対象として選びます。その比較対象労働者の労働能率を100として、障害者の労働能率がどの程度かを測定し、減額率を計算します。
計算式は次のとおりです。
減額率 = 100% - (障害者の労働能率 ÷比較対象労働者の労働能率)
例えば、比較対象労働者の労働能率を100%としたとき、障害者の労働能率が約71%だった場合、減額率は約28%(小数点第2位を切り捨て)となります。
なお、対象者の区分によって減額率の扱いは異なります。例えば試用期間中の者は「20%以下」と明確に定められていますが、障害者の場合は上記のように労働能率の実測値に基づいて個別に算出されます。算出には厚生労働省が用意する「減額率算定表」を使用します。
算出した減額率をもとに、減額後の賃金額を設計します。減額後の賃金は、次の計算式で求めます。
減額後の最低賃金額 = 最低賃金額 -(最低賃金額 ×減額率)
ここで注意すべきは、減額率には算定上の上限があり、企業が恣意的に大きな減額率を設定することはできないという点です。減額率は必ず労働能率の実測に基づいて算定する必要があり、根拠のない減額は許可されません。
また、減額特例の許可は永続的なものではなく、有効期間が定められています。有効期間が終了する前には、労働局から雇用状況の確認や更新手続きの案内が届きます。許可を受けた後も、対象労働者の労働能率に変化があれば、減額率の見直しが必要になる場合があります。
さらに重要なのは、減額特例が許可された業務以外の業務に従事する場合は、通常の最低賃金が適用されるという点です。指定された業務の範囲を超えて働かせる場合は、減額前の最低賃金を支払わなければなりません。
このように、減額特例の申請は手続きが煩雑で、客観的な根拠の整理や正確な減額率の算定が求められます。実際には、こうしたハードルの高さから、減額特例の活用が障害者雇用の根本的な解決策にならないケースも少なくありません。
「自社の障害者雇用の賃金は、相場と比べて適切なのだろうか?」----賃金設定を考えるうえで、まず把握しておきたいのが障害種別ごとの平均賃金です。
ここでは、厚生労働省が5年ごとに実施する「令和5年度障害者雇用実態調査」をもとに、障害種別の平均月収を紹介します。この調査は2023年6月に実施され、常用労働者5人以上を雇用する全国の民営事業所6,406社が回答した、障害者雇用における国勢調査ともいえる信頼性の高いデータです。
障害種別の平均月収まとめ
| 障害種別 | 平均月収(令和5年度) | 前回調査(平成30年度) |
|---|---|---|
| 身体障害者 | 約23万5,000円 | 約21万5,000円 |
| 精神障害者 | 約14万9,000円 | 約12万5,000円 |
| 知的障害者 | 約13万7,000円 | 約11万7,000円 |
| 発達障害者 | 約13万円 | 約12万7,000円 |
身体障害者の平均月収は約23万5,000円です。前回調査(平成30年度)の21万5,000円から、2万円増加しています。
身体障害者の賃金が他の障害種別より高い理由は、主に次の点にあります。
4つの障害種別の中で、身体障害者の平均月収は突出して高く、他の3区分とは約10万円の差があります。
知的障害者の平均月収は約13万7,000円です。前回調査の11万7,000円から2万円増加しています。
知的障害者の賃金が低めとなる背景には、次のような要因があります。
ただし、適切な支援環境がある職場では、フルタイム勤務や昇給の実績もあります。
精神障害者の平均月収は約14万9,000円です。前回調査の12万5,000円から、2万4,000円と4区分の中で最も大きく増加しています。
精神障害者は近年、雇用者数が大きく伸びている区分です。賃金が上昇している背景には、雇用環境の整備が進み、勤続年数が伸びていることが挙げられます。一方で、体調の波に配慮した短時間勤務が多いことから、月収はフルタイム勤務の一般雇用と比べると低めの水準にとどまっています。
発達障害者の平均月収は約13万円です。4つの障害種別の中では最も低い水準で、知的障害者とほぼ同程度です。
発達障害者の給与が低めとなる背景には、次の要因があります。
発達障害のある方は、精神障害者保健福祉手帳により把握される場合もあります。そのため、精神障害者として雇用統計に含まれるケースもあり、近年雇用が急増している区分です。
これらの数値は、雇用形態や労働時間によって大きく変動します。同じ障害種別でも、フルタイムの正社員と週20時間のパートでは月収が大きく異なる点に注意してください。自社の賃金が相場として妥当かを判断する際は、雇用形態・労働時間もあわせて比較することが重要です。
「障害者雇用の給料は、どうやって決めればいいの?」と悩む人事担当者は少なくありません。障害者雇用の賃金も、基本は一般雇用と同じく「同一労働同一賃金」の考え方に基づきます。
つまり、「障害者だから低くする」のではなく、仕事内容や役割、労働条件に応じて適切な水準を設定することが原則です。ここでは、賃金設定で押さえるべき3つのポイントを解説します。
賃金を決める第一の要素が雇用形態です。雇用形態は、職務内容や責任の範囲、勤務時間、本人の希望などを踏まえて決定します。
障害者雇用で選択される主な雇用形態は次のとおりです。
重要なのは、「障害者だから正社員にしない」という対応は絶対にしてはいけないという点です。障害者雇用だからといって雇用形態を限定する必要はありません。
障害者雇用の平均賃金が一般雇用より低めに見える背景には、有期契約(契約社員・パート)の割合が高いことが影響しています。逆に言えば、正社員登用制度を整えることが、賃金水準と定着率の向上につながります。
第二の要素が、労働時間・業務内容・勤務地といった労働条件です。
特に賃金に大きく影響するのが労働時間です。前章の平均賃金データでも見たとおり、週20〜30時間の短時間勤務とフルタイム勤務(週30時間以上)では、月収に大きな差が生まれます。賃金設定の際は、まず週所定労働時間を明確にする必要があります。
また、業務内容や職種も賃金水準を左右します。障害種別によって従事しやすい職種に傾向があり、結果として賃金水準にも差が出ます。
賃金を決める際は、こうした業務内容や責任の範囲を踏まえ、自社の賃金体系の中でどの位置づけになるかを整理することが大切です。
第三のポイントが、最低賃金の遵守と業界相場の把握です。
大前提として、設定する賃金は地域別最低賃金(または特定最低賃金)を必ず上回る必要があります。前述のとおり、2025年10月の改定で全国加重平均は1,121円、東京都は1,226円となりました。月給制の場合も、時給換算したときに最低賃金を下回らないかを必ず確認しましょう。
そのうえで、自社の賃金が業界相場や障害種別の平均と比べて妥当かを把握することが重要です。最低賃金に近い水準では、優秀な人材を採用できなかったり、早期離職につながったりするリスクがあります。
賃金設定で押さえるべき考え方をまとめると、次のとおりです。
ここまで、賃金設定の基本的な考え方を解説してきました。しかし実際には、「適切な賃金を設定したつもりでも、業務とのマッチングがうまくいかず、成果が出ない」という運用上の課題に直面する企業が少なくありません。
「採用したのに、任せられる仕事がない」「現場の負担ばかり増えて、成果が出ていない」
障害者を採用したものの、こうした運用上の悩みを抱える企業は少なくありません。ここでは、多くの企業が直面する4つの運用課題を整理します。自社が同じ状況に陥っていないか、確認してみてください。
最も多い課題が、採用した障害者社員に任せられる業務が見つからないというものです。
一般雇用では「必要な業務がある→それを担える人を採用する」という流れが基本です。しかし障害者雇用では、法定雇用率の達成が優先され、「業務が決まっていないのに人数だけ先に採用する」ケースが多く見られます。
その結果、次のような問題が生じます。
「障害者に適当な仕事がない」と感じている企業は多く、これは障害者雇用における全国的な課題でもあります。業務成果が得られないという状態は、企業にとって大きな負担になります。
2つ目の課題が、目に見えない「サポート負担」です。
障害者社員に業務を任せるには、配属先の社員が業務指導やサポートを行う必要があります。特に障害者雇用の経験やノウハウが不足している企業では、このサポート負担が想像以上に大きくなります。
現場からは「本来の業務が回らなくなる」という不満の声が上がることもあります。
3つ目の課題が、早期離職です。
障害者の職場定着率は、決して高い水準とは言えません。障害者職業総合センターの調査によると、就職後1年時点の定着率は次のとおりです。
| 障害種別 | 就職後1年時点の定着率 |
|---|---|
| 発達障害 | 71.5% |
| 知的障害 | 68.0% |
| 身体障害 | 60.8% |
| 精神障害 | 49.3% |
(出典:障害者職業総合センター「調査研究報告書No.137 障害者の就業状況等に関する調査研究」)
特に精神障害者は1年後の定着率が49.3%と、約半数が離職しています。近年雇用が増えている精神障害者でこの水準であることは、企業にとって見過ごせない課題です。
さらに深刻なのが企業規模による差です。従業員50人未満の企業では、1年後の定着率が46.9%にとどまり、半数以上が離職しているという結果が出ています。
採用には求人掲載や面接、受け入れ準備など、一定の社内対応が発生します。早期離職が続けば、再び採用活動に追われるという悪循環に陥ります。
「成果が出ないなら、減額特例を使えばいいのでは?」「助成金で補填できるのでは?」と考える企業もあるでしょう。しかし、これらは根本的な解決策にはなりにくいのが実情です。
減額特例の限界:前章で解説したとおり、減額特例は申請手続きが煩雑で、客観的な労働能率の根拠が必要です。許可には有効期間があり、更新手続きも発生します。何より、減額特例は「賃金を下げる」だけであり、業務のミスマッチや定着の問題そのものを解決するわけではありません。
助成金の限界:障害者雇用で活用できる助成金は数多くありますが、多くは支給期間が限定的です。助成金もまた、業務マッチングや定着という根本課題には対応していません。
つまり、障害者雇用の運用課題を本当に解決するには、「業務を割り当て、定着できる環境を整える」という根本的な対策が必要です。
では、自社だけでこの環境整備を実現するのが難しい場合、どうすればよいのでしょうか。こうした運用課題を解決する具体的なサービスを紹介します。
ここまで見てきた「業務のミスマッチ」「フォロー負担」「早期離職」といった運用課題を、根本から解決するサービスがあります。それが、株式会社エスプールプラスが提供する農園型障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」です。
わーくはぴねす農園の最大の特徴は、企業向けの貸し農園を活用した独自の「就農モデル」です。
仕組みはシンプルです。企業が障害のある方を直接雇用し、その方がエスプールプラスの管理する「わーくはぴねす農園」で働く----という形をとります。
この仕組みによって、前章で解説した運用課題が次のように解決されます。
社内に適した業務がないために障害者雇用が進まなかった企業でも、この就農モデルなら雇用を実現できます。
わーくはぴねす農園が多くの企業に選ばれている理由は、その実績にあります。2026年2月末現在で、
この高い定着率の背景には、採用段階での丁寧なマッチングがあります。障害者スタッフと農園業務の相性、さらにはチームメンバー同士の相性まで見てチームづくりを行うことで、長期的に安心して働ける環境を実現しています。
コンプライアンスを徹底している点も、企業が安心して利用できるポイントです。
2026年7月には法定雇用率が引き上げられ、これまで以上に多くの企業が障害者雇用に取り組む必要が出てきます。「自社だけで業務を割り当て、定着できる環境を整えるのは難しい」と感じる企業にとって、こうした専門サービスの活用は有力な選択肢となるでしょう。障害者雇用の課題を抱えている企業は、一度資料請求や相談を検討してみてはいかがでしょうか。
障害者雇用に適用される最低賃金は、一般雇用と同じく地域別最低賃金(または特定最低賃金)です。
2025年10月の改定で、地域別最低賃金の全国加重平均は1,121円となりました。主要都市の改定後の額は、東京都が1,226円、神奈川県が1,225円、大阪府が1,177円です。この改定により、全47都道府県で初めて最低賃金が1,000円を超えました。
最低賃金は地域によって異なり、毎年改定されるため、賃金設定の際は事業所のある都道府県の最新額を必ず確認してください。
原則として、障害者雇用でも最低賃金を下回る賃金で雇用することはできません。
ただし、唯一の例外が「最低賃金の減額の特例許可制度」(最低賃金法第7条)です。精神または身体の障害により著しく労働能力が低いなどの場合に、都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金を下回る賃金で雇用することが認められます。
ただし、注意すべき点が2つあります。
なお、この制度はもともと「適用除外」という名称でしたが、2008年(平成20年)に廃止され、現在の「減額特例」に置き換わっています。
障害者雇用では、さまざまな助成金を活用できます。代表的なものは次のとおりです。
ただし、多くの助成金は支給期間が限定的です。なお、令和8年(2026年)4月1日以降の申請からは賃金台帳の提出が必須になるなど、要件が変更されています。申請前に厚生労働省やJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の最新情報を必ず確認してください。
はい。2026年7月1日から、民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられました。
これにより、雇用義務が生じる対象企業の範囲も拡大します。これまでは従業員40人以上の企業が対象でしたが、2026年7月以降は従業員37.5人以上(実質38人以上)の企業が対象となります。これまで雇用義務のなかった中小企業も、新たに対象となるケースが増えます。
法定雇用率が未達成の場合、常用労働者100人超の企業は、不足する障害者1人あたり月額5万円の障害者雇用納付金を納付する義務があります。さらに、納付金を支払ったとしても、雇用義務が消えるわけではありません。行政指導や、改善が見られない場合の企業名公表のリスクもあります。
減額特例の申請は、必ずしも社労士に依頼しなければならないものではなく、企業自身で行うことも可能です。
ただし、申請には客観的な労働能率の根拠資料の準備、比較対象労働者の選定、減額率の算定など、専門的な作業が必要です。申請後には労働基準監督署による実地調査も行われます。手続きに不安がある場合は、社労士などの専門家に相談するのも一つの方法です。
ただし、ここで立ち止まって考えたいのは、そもそも減額特例が自社にとって最適な選択肢なのかという点です。減額特例は「賃金を下げる」制度であり、業務のミスマッチや定着の問題そのものは解決しません。賃金を下げる前に、障害者が活躍でき、長く定着できる環境を整える方法を検討することをおすすめします。
本記事では、障害者雇用の最低賃金について、基本ルールから運用課題の解決策まで解説してきました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられ、対象企業も従業員37.5人以上に拡大されました。これまで以上に多くの企業が、障害者雇用に本格的に取り組む必要に迫られています。
正しい賃金設定の知識を身につけることは、コンプライアンスの観点から不可欠です。しかし、それだけでは「採用したのに活躍してもらえない」「すぐに離職してしまう」といった運用課題は解決しません。
「自社だけで業務を割り当て、障害者が定着できる環境を整えるのは難しい」と感じる企業は、農園型障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」のような専門サービスの活用を検討してみてください。業務のミスマッチや定着の課題も同時に解決できる選択肢です。2026年2月末現在で定着率約92%・導入実績約730社という実績が、その効果を裏付けています。
まずは資料請求や相談から、自社に合った障害者雇用のあり方を探してみてはいかがでしょうか。
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