障害者手帳とは

障害者手帳とは、何らかの障害によって自立が困難な方や日常生活に支援を必要とする方に対し、自治体から交付される手帳です。
一般に「障害者手帳」と呼ばれるものには、以下の3つの種類があります。

  • 身体障害者手帳:身体障害者福祉法の規定に基づき、一定の期間以上永続する身体上の障害を持った方に交付されます。
  • 療育手帳:療育手帳制度に基づき、児童相談所などにおいて知的障害であると判定された、原則18歳未満の方に交付されます。自治体によって名前が異なる場合もあります。
  • 精神障害者保健福祉手帳:精神保健福祉法に基づき、一定期間以上精神疾患の状態にあって、日常生活に制限が必要な方に対して交付されます。

以上3種類の手帳の中でさらに障害の程度などに応じた等級がそれぞれに定められており、その等級に応じて受けられる支援やサービスの内容は異なってきます。
「身体障害者手帳」と「療育手帳」には原則として有効期間はありませんが、「精神障害者保健福祉手帳」には2年間の有効期間があります。

また、症状の緩和・悪化など何かしらの変更が生じた場合は、等級の変更や手帳の返還となるケースもあるので、その際には必ず最寄りの施設で確認をしましょう。

障害者手帳を取得するメリット

手帳を取得すると、交付を受けた本人と保護者、家族に対し、様々な控除やサービスを受ける権利が与えられます。障害者手帳を取得するメリットについて見ていきましょう。

各種福祉サービスが受けられる

受けられる控除やサービスは、手帳の種類によって異なります。身体障害者手帳を取得することによって受けられるサービスには、

  • 医療費負担の軽減
  • 国税や地方税の控除または減免
  • 補装具購入費の助成または支給
  • 障害者の生活支援を目的とした住宅リフォーム費の助成
  • 公共交通機関など各種運賃や通行料の割引
  • 郵便料金、NHK受信料、公共施設入館料など一部公共料金の減免または無償化

などがあります。これはあくまで一部であり、また、障害の種類や等級によって変わるなど、対応は様々です。
療育手帳では、補装具購入費などを除き、身体障害者手帳とほぼ同等のサービスを受けることができます。

精神障害者保健福祉手帳では、

  • 税制の優遇措置
  • NHK受信料、公共施設入館料など、一部公共料金の減免
  • 公共交通機関利用への支援や運賃の割引
  • 生活資金の貸付

などのサービスを利用することができます。
他、どの手帳でも共通に受けられるサービスとして、携帯電話の基本料金などの減免といったものもあります。

就労で様々な配慮がある

障害者手帳を取得することで、就労に際しても様々な配慮や支援を受けることができます。
その代表的なものに、就職もしくは転職活動を行う際、一般採用枠に加え、「障害者雇用促進法」に基づく企業の障害者採用枠を活用できることが挙げられます。

障害者雇用促進法とは、一定人数の従業員を抱える企業に対して、一定割合人数の障害者雇用の義務を課すというものです。
障害者雇用を積極的に行う企業にはより多くの助成金が支給され、雇用人数が法で定められた率に達しない企業については納付金が課せられます。

また、就労を希望する際には、相談支援・職業訓練支援・就職活動支援・定着支援、さらには転職支援まで、それぞれの局面で専門の機関によるサポートを受けることができます。
こういったサポートは、企業への就職だけでなく、在宅での就業を希望する際にも受けることが可能です。自企業に障害者を雇用したい事業主に対しても、様々なサポートが準備されているので、該当する機関へ問い合わせてみましょう。

代表的な支援機関としては、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、自治体などから指定を受けた一般相談支援事業者などがあり、これらの機関は相互に連携して障害者の就労支援に務めています。

障害者手帳の種類と対象者、申請方法について

身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳は、それぞれ申請方法が異なり、更には対象者の障害の種類や程度によって判定された「等級」が記載されます。

身体障害者手帳

●等級と交付対象

身体障害者手帳の交付対象となる疾患と等級は、次のようなものになります。

  • 視覚障害:1~6級
  • 聴覚又は平衡機能の障害:1~6級
  • 肢体不自由:1~7級(体幹のみ~5級)
  • 内臓または免疫機能の障害(心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう若しくは直腸、小腸、肝臓、免疫):1~4級

●対象者

上記の疾患が一定期間以上持続し、日常生活や就労に支援が必要とされる方が交付の対象となります。

●申請方法

はじめに、各自治体の障害福祉窓口で「身体障害者手帳交付申請書」をもらい、そちらに記載された事項を確認しつつ他の必要書類などを揃えるとよいでしょう。自治体によっては、公式ウェブサイトから申請書をダウンロードできるところもあります。
他に主な必要書類は、所定の様式による診断書や医師からの意見書、健康保険証、取得する本人の顔写真と個人番号カード(番号通知カード)、本人確認書類(パスポートや免許証など)などです。
申請は本人や保護者の他、代理人が行うこともできますが、その場合には代理人の本人確認書類と委任状が必要となります。
申請後、自治体での審査を経て、交付までには少なくとも約1ヶ月かかります。

精神障害者保健福祉手帳

●等級と交付対象

精神障害者保健福祉手帳には、1~3級までの等級があります。原則として全ての精神疾患を対象とし、その中に含まれる精神疾患は次のようなものになります。

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、躁うつ病など)
  • てんかん
  • アルコール依存症や薬物依存症、あるいはそれらを要因とする急性中毒
  • 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害など)
  • 発達障害(自閉症、ADHD、学習障害など)
  • その他の精神疾患

●対象者

上記の疾患の初診から6ヶ月以上経過しており、日常生活や就労に支援が必要とされる方が交付の対象となります。

●申請方法

精神障害者保健福祉手帳の取得には、申請書、医師による診断書、本人の顔写真、個人番号がわかる書類、本人確認ができる書類などが必要です。医師の診断書には所定の様式があります。
はじめに、お住いの自治体にある保健福祉課などの担当窓口で申請書をもらうか、自治体ウェブサイト内から申請書を取得し、それに沿って手続きの準備を進めるとよいでしょう。
既に精神障害を理由に障害者年金を受け取っている人は、年金証書を診断書代わりに提出することもできます。

申請は本人の他、家族や医療関係者などの代理人が行うこともできます。精神障害者保健福祉手帳の場合では委任状は不要です。
申請後、申請した自治体や政令指定都市の精神保健福祉センターでの審査を経て、交付までには約2ヶ月を要します。

療育手帳

●等級と交付対象

療育手帳は、昭和48年に厚生省から発行されたガイドラインに基づく制度で、主に知的障害を持った子どもへの支援を目的としたものです。
自治体や政令指定都市それぞれが独自の認定基準や支援内容などを定めて運用しているため、等級の数や区分なども場所によって異なりますが、おおむね、重度「A」とそれ以外の中軽度「B」に分けられている場合が多いです。

●対象者

かな基準については自治体によって異なる場合がありますが、基本的には、知的障害を持ち日常・社会生活において支援を必要とされる人が対象です。
知的障害とは原則として成長発達過程において生じるものとされているため、18歳未満で取得する方が多いものの、18歳以上でも審査によって認定を受けられれば交付対象となります。まずは居住している自治体の障害福祉担当窓口に相談するとよいでしょう。

●申請方法

療育手帳の申請には、「療育手帳交付申請書」と本人の顔写真、印鑑などが必要です。事前に医師の診断書が必要な他の手帳と異なり、申請後に指定の医師や判定機関などで面接や知能検査などを受け、判定されるという流れになります。
18歳未満の場合は児童相談所、18歳以上の場合は知的障害者更生相談所(地域によって名称は異なります)で判定を行います。一般に、申請から手帳が交付されるまでには2~4ヶ月を要する場合が多いです。
また、交付後は原則2年ごとに更新手続きが必要となります。

障害者手帳は、交付されることで様々な支援やサービスを受けられるようになる、いわばパスポートのようなものです。
自分の病名や状態を正しく知り、障害者手帳を得られた際には、ぜひその制度をしっかり活用していってください。

まとめ

障害者手帳とは、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3種類の手帳の総称であり、病名や状態などによって交付される手帳の種類は異なります。
また、手帳によって申請方法や有効期間、受けられる支援やサービスの内容も様々です。
手帳の交付を受けることでのデメリットはありません。障害を持った方は国や自治体の定めた制度の下で支援を受ける権利があり、障害者手帳はその資格を証明してくれるものです。
それぞれの手帳について正しい知識を持ち、ぜひ制度を最大限有効に活用してください。