更新日:2021年4月14日

障がい者雇用でも履歴書が必要なことがある

就職するときに必要になるのが履歴書です。履歴書は、企業へのはじめのアプローチで使われることが多く、履歴書の書き方や基本的なビジネスマナーができているかどうかを判断されることもあります。そのため履歴書の書き方の基本を学ぶことは大切です。

障がい者雇用枠で就職する際にも、履歴書の提出を求められることがあります。今回は、障がい者雇用で求められる履歴書の書き方や、注意すべき点、障がいについてどのように触れるかを解説します。

履歴書の書き方の基本

履歴書というと、「手書きでないと失礼にあたる」と思っている方もいますが、最近では、パソコンで作成することが増えています。パソコンで作成すると、修正や書き換えなどもしやすくなりますので便利です。履歴書のフォーマットに関しては、WEB上にたくさん上がっていますので、目的にあった書きやすいフォーマットを活用するとよいでしょう。

履歴書は、ビジネスシーンで使用するものなので、フォントは明朝体やゴシック体などの一般的によく使われ、見やすいもので作成します。履歴書の内容はしっかり書いていただきたいですが、強調しすぎるようなフォントや飾りは避けたほうが無難です。

手書きで履歴書を書くとき場合には、黒のボールペンを使用して作成します。間違えた場合には、修正液で修正するのではなく書き直します。

名前や連絡先などの書き方

名前は、戸籍と同じものを記入します。普段は、省略した漢字を使用している場合でも、履歴書には省略せずに、正しい漢字で書きます。

連絡先となる住所は、丁目・番地・号なども省略しないで記入してください。集合住宅に住んでいるときには、建物名や部屋番号も記載します。

電話番号・メールアドレスは、志望先からの連絡に使われるので、間違いがないように記載します。メールアドレスは、誰が見てもわかるように見えるかを意識してください。

学歴・職歴の書き方

学歴・職歴の項目では、いつ・どこの学校を卒業したのか、会社に勤務していたのかなどを記載していきます。

入学や卒業、入社や退社した年月は、時期を正しく記入しているかチェックしてください。書き終わったあとにダブっている期間がないか、空白の期間がないかを確認します。

学歴は、高校から記載するのが一般的です。高校は正式名称の「高等学校」とし、県立、市立なども記入します。大学は、大学名だけでなく、学部名や専攻なども合わせて記入します。

職歴は、基本的に社員として在籍した会社名を書きます。パート、アルバイトは状況に応じて記載するとよいでしょう。例えば、長期間のパートやアルバイトの経験がある場合や、離職期間が長くパートやアルバイトの経験しかない場合には、記載するほうがいいでしょう。派遣社員として働いていた場合は、登録社名と派遣先、期間を記入します。

免許・資格の書き方

免許・資格は、今までの実績や成果を示せるものです。希望している仕事内容と関連性の高いものや、難易度が高いものを書くようにします。

また、既に取得している免許や資格だけでなく、勉強中の資格を記入することもできます。勉強していることをアピールすることで、仕事への意欲が高いことや、学ぶ意欲がある人というイメージを持ってもらいやすくなります。

障がいについての書き方

多くの企業では、どのような障がいがあり、どれくらいの通院が必要なのか、職場の配慮はどのようなことなのかを知りたいと思っています。そのため障がいについての情報も記載するようにしましょう。

履歴書の備考欄のようなところに記載することもできますし、スペース的に難しい場合には、別途作成することができます。

書く内容については、障がい者手帳、障がい内容や通院状況、職場で示してほしい配慮などです。どのような障がいがあるのか、障がいの経緯や、配慮してほしいことなどを示すとよいでしょう。また、特性として苦手なことや、不調が起きたときにどのような対応をしてほしいのかも具体的に記載します。

企業側でも、あなたの障がい特性や、どのような配慮を示したらよいのか、不安に思っていることが多くあります。あなたから伝えることで、職場でも対応のイメージをしやすくなります。

志望動機の書き方

志望動機は、企業が採用を決めるときに重視するところです。数多くある選択肢の中で、なぜ、その会社を選んだのか、自分の思いを込めて、自分の言葉で書くことが大切です。

採用する企業は、多くの履歴書を見てきています。履歴書の書き方のマニュアルに書いてあることをそのまま書いてきているのか、自分の言葉で書いてきているのかは、すぐに見抜かれてしまいます。

また、あなたを採用すると、会社にどのような貢献をしてくれるのか、メリットがあるのかをイメージできるように、今までの経験やスキル、資格などからアピールすることも大切です。

経験や実績が少ないときには、今まで新しいことに取り組んできたときに気をつけてきたことや、実際にどのように対応して、新しいことを習得したのかなどを話すようにしましょう。今までの実績や、できるだろうと相手がイメージしやすい根拠やエピソードがあると、説得力があるものになります。

業務上の配慮の書き方

職場で示してほしい配慮について書きます。企業には合理的配慮を示すことが義務づけられていますが、この合理的配慮を受けるには、障がい当事者からそれを申し出ることが必要です。

どのような障がい特性があり、どんな配慮を示してほしいのかを、具体的に書きましょう。気をつけたい点は、あまりできないことや、配慮してほしいことを強調しすぎると、それを受け取る企業側が不安になってしまいます。

そのため「○○の苦手さがありますが、△△のような配慮を受けることで、業務ができます」のように、適切な配慮があれば十分に働くことができるということを伝えるようにしましょう。

職務経歴書の書き方

新卒で入社する以外は、基本的に履歴書と職務経歴書が必要になります。職務経歴書は、仕事の経験や能力をアピールする書類となります。

職務経歴書は、履歴書のようなフォーマットはありませんが、職種によってある程度の型が決まっていますので、こちらもWEB上から自分にあったものを見つけることができます。

職務経歴書には、どのような仕事に携わってきたのか、その仕事で培った経験や知識を記入します。具体的に、わかりやすく書くことが大切です。文章では伝わりにくいこともあるので、見出しをつける、箇条書きにするなどの工夫もできます。

履歴書を書くために重要な自己分析

企業で就職するときに履歴書は、あなたを知ってもらうための初めのステップになるものです。採用担当者が「この人に会ってみたい」と思えば、次の選考に進むことができる大切なものということを意識して作成してください。

しかし、いきなり履歴書を目の前にして書き始めたとしても、採用担当者が興味をもつような履歴書を書くことは難しいかもしれません。そのようなときには、書きはじめる前に、まず自己分析を行ってください。

自己分析では、どのような仕事がしたいのか、何ができて、得意なこと、不得意なことは何か、どんな状況や配慮があれば、自分のパフォーマンスが発揮できるのかを、今までの経験や体験から考えていきます。

自己分析をした上で、応募したい企業が求める仕事内容や人材と、自分のできること、目指すものとを合わせた形で書いていくとよいでしょう。

障がい者雇用枠で応募する際の履歴書の注意点

企業が障がい者雇用をするときに気にしている点は、採用する人がどのような障がいがあり、どのような配慮が必要なのか、また、自分自身で仕事へのモチベーションのコントロールができているのかということです。

そのため、このような点を説明していくようなつもりで、自分で気をつけていることや、客観的な視点を入れながら記載すると、企業側は安心感を持ちやすくなります。

例えば、就業時間の勤務が大丈夫かを聞かれたときに、単に「働けます」と答えるだけでなく、主治医からは、通常勤務は可能だと言われていることや、支援機関にどれくらいの頻度でどれくらいの期間通っているのかなどを伝えると、企業側にもわかりやすいでしょう。

また、苦手さを伝えることは大切ですが、「障がいがある」「苦手さがある」というだけではなく、障がいを補うための方法や配慮について、具体的に記すことも必要です。

発達障がいのある方の中には、スケジュール管理が苦手な人もいますが、そんな場合には、次のように伝えることができるかもしれません。

「業務を一度にいろいろと受けると、何から手を付けてよいのかわからなくなることがあります。指示を出していただくときには、一度に一つの指示を出していただき、複数あるときには優先順位を示していただけるとわかりやすいです。

業務スケジュールは、ホワイトボードに、優先順位の高いものから示していただくと、仕事のモレや聞き間違いが減らすことができ、業務に集中しやすくなります。」

具体的に記すことで、企業側にもわかりやすく伝えられます。

まとめ

就職するために必要な履歴書の書き方を見てきました。履歴書は、企業へのはじめのアプローチで使われることが多く、履歴書の書き方や基本的なビジネスマナーができているかどうかで、一定の判断をさせることもあるので、基本を踏まえて、採用担当者に関心を持ってもらえるような履歴書を作成することが大切です。

障がいについて記載するときには、障がい特性や、職場で示してほしい配慮について書くことは大事ですが、「障がいがある」「苦手さがある」ことを強調し過ぎすると、採用担当者は不安に感じてしまいます。障がいを補うための方法や配慮についても、具体的に記すようにしましょう。