障害年金は、公的年金の加入者が、病気やケガによって基準に該当する障がい状態になった場合、支給される年金です。障害年金の種類は、加入している公的年金によって決まります。
障害年金は、「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類です。「障害基礎年金」は、国民年金加入者が請求でき、「障害厚生年金」は、厚生年金の加入者が請求できます。まずは、この2つの違いから見ていきましょう。
障害基礎年金が請求できるのは、国民年金への加入期間中、年金制度に加入していない期間である20歳前や60歳以上65歳未満などです。障がいの原因となった病気やケガでの初診日が基準となり、障害等級(1級・2級)による障がいの状態が認定されることによって支給が決定となります。
障害基礎年金の受給には、初診日の前日に次の要件をいずれか満たしている必要があります。
初診日が、20歳前の年金制度に加入していない期間の場合は、納付要件は必要としません。
障害厚生年金は、厚生年金に加入期間中に病気やケガで、障害基礎年金の1級または2級に該当する障がいの状態になった場合に支給される年金です。年金の金額は、障害基礎年金に上乗せとなります。
また、障がいが2級に該当しない場合、3級の障害厚生年金が支給されます。
障害手当金(一時金)は、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金の対象よりも軽い障がいが残る場合に支給される手当金です。
障害年金の対象は、障がいの程度で決定されます。
対象の病気やケガで主なものは、以下のものです。
障害基礎年金と障害厚生年金の等級は、障がいの程度に応じて、どの等級に該当するかが変わってきます。詳細については、日本年金機構のウェブサイトで確認してください。
働きながら年金受給は可能です。厚生労働省の「平成26年障害年金受給者実態調査」を見ると、就労している人が約28%いたことを示しています。
しかし、働いている人でも受給できているとは言え、障がいや病気の種類によっては、働いていることが審査に影響を及ぼすこともあるようです。眼や聴覚、肢体などの外部障がいの場合、障がいの程度が数値として表されたり、動作程度などによって示すことができます。そのため、障がいの数値が示しやすいものについては、一定の障がい基準を満たしていれば、働いていることが障害年金に影響することはあまりありません。
一方で、精神障がい、がんなどの病気では、数値で障がいの程度を示すことが難しく、働いていることによって、重度の症状ではないと判断されてしまうことがあります。それでも、就労しているから必ずしも支給されないと決まっているわけではありません。障がいや病気が生活に支障をきたしているものの、周囲のサポートや職場の配慮があって働くことができているということを、客観的に、また具体的に示すことができれば、受給できる可能性もあります。
障害年金と失業保険は、どちらかが減額や支給停止などの支給調整されることはなく、両方の支給額を重複して受給することが可能です。
障がい者雇用における失業保険(雇用保険)については、「障がい者就職の基礎知識の記事」で触れておりますので、参考になさってください。
障害年金を受給するためには、支給されるための条件を満たしていることが必要です。その条件を見ていきましょう。
障害年金を受けるための申請には、「障がい認定日による請求」と、「事後重症による請求」の2つの方法があります。
一般的には「障がい認定日による請求」が行われ、障がい認定日以降に障がい年金を請求します。
障がい認定日に障害年金に該当せず、その後症状が悪化し、障がい等級に該当する状態になって請求する際は、「事後重症による請求」が行われます。
障害年金の支給金額は、障害基礎年金と障害厚生年金、また障がい程度によって異なります。
【障害基礎年金(年額)】
1級 781,700円×1.25+子の加算
2級 781,700円+子の加算
子どもがいる場合、加算がつきます。
・第1子・第2子 各 224,900円
・第3子以降 各 75,000円
1級 (報酬比例の年金額) × 1.25 +〔配偶者の加給年金額(224,900円)〕※
2級 (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,900円)〕※
3級 (報酬比例の年金額) 最低保障額 586,300円
※で示されている「配偶者の加給年金」は、生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときに加算されるものになります。
障害年金とはどのようなものなのか、また、障がい者雇用枠で働きながらでも受給できるのかについて見てきました。
障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2つがあります。国民年金の加入者は「障害基礎年金」を請求でき、厚生年金の加入者は「障害厚生年金」が請求できます。請求するときには、年金を受給する要件として、初診日の特定、該当する年金の保険料納付、一定の障がいの状態に該当している必要があります。
働く人の障害年金については、「年金受給者実態調査」で約28%が就労していながら受給していたことがわかっており、働きながら年金を受給できます。しかし、受給できるかどうかは、障がいや病気の程度によって異なります。一般的には、障がいの程度が数値として表されたり、動作程度などが、客観的に示しやすいものであると、障がい等級の判断がしやすく、一定の障がい基準を満たしていると認定されやすいようです。詳細については、日本年金機構のサイトなどをご確認ください。