てんかんとは

てんかんは、何らかの原因で一時的に脳内の神経細胞が過剰に興奮することにより発作を繰り返し起こす病気です。

原因がわからない「突発性(一次性)てんかん」と、脳腫瘍や脳梗塞、脳炎、頭部外傷の後遺症など原因がはっきりしている「症候性(二次性)てんかん」の二つに分けられます。

てんかんの発作の種類と症状

てんかんの発作は、脳のどの範囲で過剰興奮が起こるかによって多彩な症状がみられます。
発作のはじまる時点で一気に脳全体が興奮する発作と脳の一部分が興奮する発作とは区別され、前者は全般発作、後者は部分発作と呼ばれます。

この区別は治療薬の選択の際に重要となります。
続いて、全般発作・部分発作の症状をそれぞれ整理していきます。

全般発作には、主に4つの症状があります。

  1. 強直間代(きょうちょくかんだい)発作
    意識を失って応答がなくなり、倒れて全身がつっぱり、けいれんを起こします。通常は数分で収まり、回復します。
  2. 欠神(けっしん)発作
    数秒から十数秒の間、意識を失って動きが止まり、応答がなくなります。
  3. ミオクロニー発作
    全身あるいは体の一部の筋肉が一瞬ピクンと動く発作です。
  4. 脱力発作
    突然体の力が抜け、崩れるように倒れます。数秒で回復します。

部分発作には、主に3つの症状があります。

  1. 単純部分発作
    脳のどの部分が過剰興奮するかによって症状が変わります。意識はあるまま、光がチカチカ見えたり実際にはない音が聞こえたり、顔や手足がつっぱり・けいれんを起こしたりします。
    急に頭痛や吐き気を感じたり、悲しみや寂しさ、懐かしさなどの感情に襲われたりする症状もあります。
  2. 複雑部分発作
    急に動きが止まってぼーっとしたり、無意味に手足を動かしたり口をもぐもぐさせたりします。意識障害や記憶障害を伴います。
  3. 二次性全般化発作
    意識のある部分発作から始まり、引き続いて意識をなくし全般発作に発展します。
    最終的に強直間代発作と同様の発作になりますが、初めに意識がある点で全般発作との違いがあります。

仕事探しのポイント

就職活動にあたっては、てんかんであることの告知義務や申告義務はありません。
病気について開示して仕事を探す「オープン就労」にするのか積極的に開示せずに仕事を探す「クローズ就労」にするのか、選択できます。

オープン就労には、病気に対して職場の理解を得られ、通勤、業務などに配慮が受けられるメリットがあります。障害者手帳を取得すれば、障害者雇用枠での応募も可能です。
ほかにもハローワークや障害者就業・生活支援センターでの職業紹介・斡旋といったサービスや、職業訓練などの支援を受けられます。

また、就労移行・就労継続支援という、職業訓練や面接対策などの就職活動を支援するサービスを、全国の就労移行支援事業所で受けることができます。
しかし、障害者雇用枠では求人数が少なくなり、仕事内容も限られ自分が望む仕事に就けない、賃金が低くなるなどのデメリットが考えられます。

クローズ就労にした場合は、仕事内容や職種を制限されることなく多くの求人の中から仕事を選ぶことができ、賃金もオープン就労よりも高くなる傾向があります。
しかしながら、職場に病気への理解や協力、業務上の配慮を期待することはできません。
また、病気の発覚への不安を抱えながら勤務することになり、職場に定着しにくい傾向があります。

オープン就労・クローズ就労双方のメリット・デメリットを熟慮の上、自分に合う仕事を探しましょう。

仕事をする上でのポイント

オープン就労で仕事に就く場合は、定期的な通院や薬の服用を継続しながら自分の症状や日常生活を管理し、同時に発作の説明や対処法について雇用者に説明して理解を得ることが大きなポイントとなります。

続いて、オープン就労の場合の職場における注意点について解説します。

てんかんについての説明の仕方

職場にてんかんについて説明する場合は、提示するタイミングが非常に重要です。
病気の提示はメリットだけでなく、仕事を制限されたり待遇が悪くなったりするデメリットも考えられます。

それを避けるため、採用前の面接時に障害について説明する場合は、治療を受けており薬で発作をコントロールできること、万一発作が起こったときには基本的に自分で対処できることなどを積極的にアピールすると良いでしょう。

逆に業務遂行に不安があり配慮してほしい場合は、正直にその旨を伝えると安心です。
「自分の希望する仕事をするために、職場に何を理解してほしいか」をよく考えて説明しましょう。

発作が他人にはわかりにくく、目立った支障がない場合は、ある程度慣れるまで提示しないという選択肢もあります。
業務上の問題点や職場の配慮が必要なことなどが明確になってから病気について説明することで効率的に伝えられ、不本意な先入観や偏見を持たれる心配も少なくなります。

できない業務があるときの伝え方

はじめからできない業務がはっきりしている場合は、その業務から外してもらうよう、職場に具体的に伝えましょう。
その際、発作の危険性を強調しすぎると、できる業務まで制限されてしまうかもしれません。

そこで、発作自体は危険なものではないこと、自分で基本的にコントロールしていることをきちんと伝え、なぜその業務ができないのかについて理論立てて説明しましょう。
そうすることで、職場から、所属や業務内容調整などの合理的配慮の提供を受けられる場合もあります。

仕事中に発作が起きたときの周りの対応について

仕事中に発作が起きる可能性があり、周囲への何かしらの影響が考えられる場合には、周りの人に発作について知っておいてもらうことも大切です。

症状の程度や概要、期間や発生する状況、周りが取るべき対処法など、できるだけ具体的に考えられるケースを上げて信頼できる人に説明すると良いでしょう。
いざというときに慌てることなく、周囲のサポートを得ることができるようになります。

職場と勤務時間などを相談しよう

生活リズムの乱れやストレス、疲れは発作を起こしやすくすることがあります。 自分の責任で体調管理をするのはもちろんですが、職場にも、あらかじめ勤務時間や日数について相談し、体調の悪いときには超過勤務を控え、休みを取ることなどについて理解を得ておくと良いでしょう。

そのような調整は、合理的配慮の提供として事業者に義務付けられているので、安心して相談しましょう。

医療機関と連携しよう

てんかんの治療を続けながら仕事をするにあたっては、仕事選びの段階から主治医と相談しながら進めることが大切です。

とくに就職活動においては、事業所から診断書を求められることがあり、雇用者が正確に病気を理解できるように、業務における注意点などを指摘してもらう必要があります。
また、就職後も症状に基づく客観的なアドバイスをもらったり、トラブルに対し医療面からサポートしてもらったりすることも必要です。

主治医とは普段から信頼関係を築き、いつでも相談できる体制を保ちましょう。

不当な差別を受けた場合の対処法は?

オープン就労を選んだ場合、適切な配慮や協力を得られるメリットがある一方で、理解を得られず差別と感じる対応をされることも残念ながら起こり得ます。

たとえば、てんかんを理由に賞与を支給されない、他の人と同じ条件で昇級をしない、適正に合わない不当な業務に割り当てられる、てんかんであることを理由に不当に昇進させない、退職を勧められる、といったことが差別に該当します。

そのような差別は「障害者雇用促進法」という法律で禁止されています。被害にあった場合は、近くのハローワークに相談しましょう。

労働者と雇用者だけでは解決できない場合に、都道府県労働局長による助言や指導、勧告や、障害者雇用調停会議による調停を受けられる、紛争解決の援助制度があります。

まとめ

てんかんの症状を抱えていながら、好きな仕事で活躍している人はたくさんいます。治療を続けながら、正社員として就職することも十分に可能です。

さまざまな支援制度を活用したり、職場の理解を得たりしながら継続的な就業を目指しましょう。
自分の症状を正確に把握し、希望する業種を広い視野で探していけば、自分にピッタリの仕事を見つけることができるでしょう。