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障がい者雇用を成功に導く「合理的配慮」とハラスメント防止対策|法定雇用率2.7%直前対策イベントレポート

法定雇用率が2.7%へ引き上げられ、障がい者雇用は採用も定着も難易度が増しています。
鍵になるのは、配慮の少ない「雇用難易度の低い層」の取り合いという構造です。

採用ターゲットを広げる視点(市場の変化)、ハラスメントの兆候を可視化する組織のリスク管理、人事と現場をつなぐマネジメントという3つの観点から、障がい者雇用を「定着」まで導く打ち手を整理します。

この記事は、株式会社エスプールプラスと株式会社アスマークが共催したウェビナー『《法定雇用率2.7%直前対策》「障がい者雇用を成功に導く『合理的配慮』の正しい理解とハラスメント防止対策」』のイベントレポートです。

まずは、株式会社エスプールプラスでコンサルティングチーム リーダーを務める山本 侑史が、オープニングと最初のセッションを担当しました。

「雇用難易度の低い方はほぼ市場にいなくなり、今のままの考え方で障がい者雇用をしていると採用できなくなる」

という市場観を起点に、障がい者雇用の法律と市場の変化を、企業の実雇用率の推移データから整理しました。

続いて、株式会社アスマーク Humap事業部の岩﨑 真吾 氏が、アンコンシャス・バイアスがハラスメントを生む構造と、現場の状態を可視化する「4つのリスク指標」を、調査データを交えて解説しました。

再び山本が、トラブルを未然に防ぐマネジメントの「3つの観点」と、3つのトラブル事例に共通する「安心の罠」を共有しました。

最後は両者によるトークセッションで、現場で実際に起こる2つのケースへの向き合い方を語り合いました。

開催概要

項目 内容

イベント名

《法定雇用率2.7%直前対策》「障がい者雇用を成功に導く『合理的配慮』の正しい理解とハラスメント防止対策」

開催日時

2026年5月27日(水)13:00〜14:00

形式

株式会社エスプールプラス × 株式会社アスマーク 共催ウェビナー

登壇者

株式会社エスプールプラス

障がい者雇用促進グループ コンサルティングチーム

リーダー

山本 侑史

株式会社アスマーク

Humap事業部

岩﨑 真吾 氏

関連リンク

わーくはぴねす農園(株式会社エスプールプラス)

CHeckリサーチ(株式会社アスマーク)

CHeck研修(株式会社アスマーク)

オープニング|共催2社の紹介と本日の流れ

オープニングでは、山本と岩﨑氏が、共催2社の事業と当日の流れを紹介しました。

エスプールプラスが掲げるのは、「1人でも多くの障がい者雇用を創出し、社会に貢献する」という企業理念です。その軸となるのが、農園を活用した障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」です。

山本「創業時の2010年、日本では障がいのある方のうち、最低賃金以上の収入を得て働けている方は、わずか20人に1人という状況でした。
働きたくても就業機会を得られなかった、特に重度の知的障がいのある方が、やりがいを持って安心して働き続けられる環境を作りたい。そんな思いから生み出したのが、わーくはぴねす農園です。」

創業から16年を経て、2026年5月末現在で750社以上の企業に活用され、5,200名以上の就労者の創出につながっています。

わーくはぴねす農園の紹介画像

一方、共催するアスマークは、今期で25期目を迎える会社です。一般消費者を対象としたマーケティングリサーチを基幹事業としてきました。

岩﨑氏「そこで培ったノウハウを、より多くの企業のお役に立てたいという思いから、約6年前にHRテックサービスの事業を立ち上げました。
今は『あなたの組織の従業員総活躍をサポートしたい』というビジョンを掲げて活動しています。」

登壇した岩﨑氏自身も、約10年前にアスマークへ入社し、調査会社や広告代理店、コンサルティング会社など多様なクライアントを担当してきました。
2024年12月からは、HRテックサービス「Humap」の専任営業を務めています。

アスマークとHumap事業の紹介画像

ここから先のピッチセッションでは、法定雇用率2.7%時代に障がい者雇用を「定着」まで導く打ち手を、共催2社がそれぞれ異なる角度から示しました。
エスプールプラスは「障がい者雇用の法律・市場の変化」、アスマークは「組織の状態可視化とリスク管理」、再びエスプールプラスが「障がい者雇用のマネジメントで重要な考え方」を取り上げ、最後に両社のトークセッションで「現場で起こる2つのケース」に向き合いました。

障がい者雇用の法律・市場の変化

まず山本が、法定雇用率2.7%時代に障がい者雇用の難易度がなぜ上がるのかを、企業の実雇用率の推移データから整理しました。

法定雇用率は段階的に引き上げられ、2026年7月には2.7%になります。今後も法律の見直しによってさらなる引き上げの可能性があり、採用難易度・雇用難易度は上がっていくと見込まれます。
実際、企業の実雇用率は2.41%と過去最高で、雇用障がい者数は前年比4.0%増と着実に進んでいます。

法定雇用率と実雇用率の推移画像

採用ターゲットをどこまで広げられるかを考えるうえで、起点になる考え方があります。雇用難易度とは、企業が環境・制度・体制をどこまで整えられるかで決まる、企業目線の指標です。この難易度は、大きく3つの層で整理できます。

特徴 採用市場での状況

即戦力として活躍できる層

週5日フルタイムで、他の従業員と同じ働き方ができる

採用したい企業が多く、市場にはほぼ残っていない

受け入れ体制の整備により活躍できる層

短時間勤務やリモート、特性に応じたフォローなど、一部の配慮があれば就業できる

配慮の少ない方から取り合いになっている

一般企業では就職・活躍が難しい層

就業面に加え、日常生活のサポートも必要

福祉の支援や訓練を通じ、今後の就職可能性がある

ここで一つ、留意したい点があります。この難易度はあくまで企業目線で示したものであり、雇用難易度が高くてもスキルの高い方はいます。難易度だけで採用の意思決定をしてしまうと、機会損失が生まれてしまうこともあります。だからこそ、自社がどこまで環境・制度・体制を整えられるかを前提に、採用の幅を広げていく準備が求められます。

組織の状態可視化とリスク管理

続いて岩﨑氏が、合理的配慮の義務化で何が変わったのかと、現場のリスクをどう可視化するかを、厚生労働省やパーソル総合研究所の調査データを交えて解説しました。

相談件数80%増が示す「現場の混乱」

まず注目したいのが、差別・合理的配慮に関する相談件数が前年度比80%増という数字です。これは厚生労働省が2024年度の実績値として示したものです。

差別・合理的配慮に関する相談件数の画像

合理的配慮とは、障がいのある方が日常生活や社会生活で直面する障壁を、過重な負担にならない範囲で取り除くための、柔軟な調整・変更です。
これが2024年4月から提供義務化となり、これまでの慣習的な配慮が通用しなくなってきています。
さらに、調停などの紛争解決手続きの申請も増加傾向にあり、事後対応のコストが経営に重くのしかかります。

岩﨑氏「制度は作られているものの、やはり現場が混乱してしまっている、というのがこの数字からもよく分かります。
現場の受け入れ体制が整わないまま、障がい者雇用率が2.7%へ引き上げられると、さらに企業としてのリスクが加速される恐れがございます。」

アンコンシャス・バイアスがハラスメントを生む構造

「難しい作業は負担が多いだろうから、簡単な仕事しか任せられない」「負担がかからないよう、会議には呼ばず、決定した要点だけ伝えよう」。
こうした考え方に心当たりのある方も少なくないかもしれません。
これは、障がいのある方に対するアンコンシャス・バイアスが影響した行動です。

アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)とは、自分では気づかない物の見方・捉え方の歪みや偏りです。
過去の経験や知識、価値観から作られ、「〇〇に違いない」という無意識の思い込みとして表れます。

ただし、バイアスがあること自体が悪いわけではありません。偏った思い込みによる押し付けや決めつけが、人間関係や組織運営に悪影響を及ぼす点が問題になります。
放置すると、雇用機会そのものを狭めたり、優秀な人材の活躍を阻んだりする恐れがあります。

障がい者雇用で考えたい「3つの問題」

バイアスは、現場で次の3つの問題として表れやすくなります。

  1. 「良かれと思って」の慈悲的差別:慈悲的差別(善意のハラスメント)とは、「良かれと思って」成長機会を奪い、単純作業だけに限定してしまうことです。本人のキャリアを毀損してしまいます。
  2. 情報の非対称性が生む誤解:障がいの特性や必要な配慮が現場に正しく伝わっていないと、周囲が「ずるい」「サボりだ」と誤解を深めてしまいます。たとえば、指示を忘れないようスマートフォンで録音や文字起こしをしている様子が、「仕事中にスマホを触っている」と受け取られるケースです。
  3. 現場の受け入れが整わず馴染めない:効率性を重視して役割の創出ができていないと、会話や共有事項から外されてしまいます。
障がい者雇用で考えたい3つの問題の画像

これらは、いずれもわずかなズレから生まれます。初期に気づかず放置すると、やがて大きなハラスメントや問題になりうるリスクが潜んでいます。

可視化すべき「4つのリスク指標」

ズレを早期に捉えるには、現場の状態を数値で見える化する発想が役立ちます。
パーソル総合研究所が精神障がいのある従業員と働く上司・同僚を対象に行った調査では、約4割が精神的な負担が大きいと感じている一方、約8割が「できるだけサポートしたい」という肯定的な感情を持っていました。
負担を感じながらも前向きに向き合おうとしている現場の姿が見えてきます。

ハラスメントは、起きてからではなく兆候の段階で予測することが大切です。ウェビナーでは、可視化すべきリスクが4つの指標として整理されました。

  1. 関係性の偏り(孤立リスク):障がいのある社員が業務の相談をできているか、情報共有の輪に入れているか。
  2. 配慮認識のズレ(不公平感リスク):本人は「配慮が足りない」と感じ、周囲は「配慮しすぎでは」と感じる認識のギャップが、「ずるい」「甘やかされている」という誤解を生んでいないか。
  3. 声の出なさ(相談機能不全リスク):困った時に「相談しても大丈夫」と思えているか。声が出ないと、問題が表面化した時に取り返しがつかなくなります。
  4. 役割への納得感(現場摩耗リスク):業務配分を周囲が「公平だ」と感じているか。納得感がないと、現場が疲弊していきます。
可視化すべき4つのリスク指標の画像

雇用率の達成を先回りして数だけを追うのではなく、今いる現場の体制づくりに目を向けることが重要です。対策は障がいのある社員に限らず、従業員全員に向けたものとして考える必要があります。

岩﨑氏「大切なのは、一人一人の価値観を知って耳を傾けることです。
ハラスメントを気にしないということではなく、ただ配慮のしすぎも良くない。
なかなか難しいところだと思います。『障がい者だから』というマイナスのレッテルを貼るのではなく、フラットに捉えていくことが非常に重要だと考えています。」

こうした現状の把握には、従業員アンケートやリサーチを通じてハラスメント・コンプライアンスの実態を可視化する手法があります。アスマークも、ハラスメント&コンプライアンスの現状把握リサーチ「CHeck」など、調査で現状を把握するサービスを提供しています。

障がい者雇用のマネジメントで重要な考え方

再び山本が、トラブルを未然に防ぐマネジメントの観点を、現場で実際に起きた3つのトラブル事例を交えて整理しました。

「大丈夫」に潜む危険サイン

先に結論を言うと、現場でよく口にされる「大丈夫」の多くは、危険傾向を示すサインです。「大したことはないので今は対応しなくてもいい」「真面目に働いているから気にしなくて大丈夫」「信頼できる現場の管理者に任せているから大丈夫」。
こうした状況は、どれも大きな問題になる一歩手前のサインだと考えておく必要があります。

マネジメントで大切な「3つの観点」

大きなトラブルを防ぐために、まず押さえたいのが次の3つの観点です。

  1. 障がいのある方とのコミュニケーション:現場の管理者・上長と障がいのある方、そして人事と障がいのある方、それぞれのコミュニケーションが適切に取れているか。
  2. 社内外の協力者の配置と育成:直接のマネジメント関係ではない調整役がいるか。専門的にはジョブコーチのような存在ですが、資格や経験がなくても、障がいのある方が頼りやすい同僚でも構いません。
  3. 人事と現場管理者との連携:現場管理者・人事・障がいのある方は三位一体であるべきで、人事と現場管理者の連携が取れているか。
障がい者雇用のマネジメントで大切な3つの観点の画像

この3つが整っていると、大きなトラブルを防ぎながら障がい者雇用を拡大していけます。さらに、観点や構造を一つの拠点だけでなく複数の部署で構築できると、組織力の強化にもつながります。

3つのトラブル事例に共通する「安心の罠」

3つの観点が欠けると、現場では何が起きるのでしょうか。ウェビナーでは、3つの典型的なトラブル事例が共有されました。

障がい者雇用における3つのトラブル事例の画像

3つの事例には、共通点があります。いずれも「表面上の安定」を信じ込んでしまったことです。

山本「表面上の安定を信じ込んでしまうことで、事実の特定に動けなかったり、本当の問題点を見に行こうとしなかったりして、『問題が見えない』という状況になる。
イコールではないですが、それが『問題がない』という判断になってしまった、ということがございます。」

この「問題が見えない」を「問題がない」と取り違えてしまうことが、トラブルの入口になります。根源は小さなほころびから生まれるからこそ、小さな変化や細かな状況を取りこぼさないことが重要になります。

具体的な打ち手は、先の3つの観点に対応して次のとおりです。

  1. 現場だけでなく人事も直接、定期的に声をかけて確認する。
  2. 間に入る協力者を置いて、情報を属人化させない。
  3. 管理者へのヒアリングや相談先を確保し、現場で障がい者雇用に向き合う人を孤独にさせない。

この3つが、表面上の安定に惑わされない関わり方につながります。

型や構造を安全に育てる選択肢

ただし、こうした型を作り、構造を整え、間に入る人を育てるには、時間と経験が必要です。
声をかけるといってもどうすればよいのか、間に入れる人材をどう育てるのか、と悩む現場も少なくありません。
そんな時の選択肢の一つが、プロの支援を受けながら経験を積むことです。わーくはぴねす農園は、多様な障がいのある方との関わりを通じて「こんな時はこうする」という型を、安全な環境で実践として積み上げられる場として位置づけられています。

トークセッション:現場で起こる2つのケース

最後に、山本と岩﨑氏が、現場で実際に起こりうる2つのケースを題材に、人事や管理職がどう向き合えばよいかを語り合いました。

ケース1:責任感の強い管理職が一人で抱え込むとき

最初のケースは、知的障がいのあるAさんを受け入れた部署の管理職Bさんの話です。Bさんは責任感が強く、業務指導・体調管理・同僚との調整をほぼ一人で担っています。
人事からの月1回の確認では「特に問題ありません、なんとか回しています」と答えますが、実際にはAさんの対応で他業務が圧迫され、Bさん自身が疲弊。チームメンバーからも「最近Bさんに相談しにくい」という声が出始めています。

管理職が一人で抱え込むケースの画像

岩﨑氏「管理職の方を対象にしたアンケート調査やサーベイの中で、マネジメントの負荷やサポートの充実度に関する設問を定期的に取ることで、Bさんの状況を把握できますし、他の部署との比較も数値化できます。
状況を改善するには、上長に相談する際に数字を持っていくことが非常に重要だと思います。」

データだけでも、現場の声だけでも足りません。両方を組み合わせる視点が必要です。

山本「日々のコミュニケーションの中で『ちょっとしんどいです』という声は、流されたり忘れられたりしがちです。だからこそ、データとリアルな声の両面をうまく活かして、判断と行動をしていただけたらと思っております。」

ケース2:「大丈夫です」としか言わない社員に向き合うとき

2つ目のケースは、精神障がいのあるCさん(入社8ヶ月)と管理職Dさんの話です。
Dさんは毎週「調子はどうですか」と声をかけ、Cさんは毎回「大丈夫です、引き続き頑張ります」と笑顔で答えます。
しかし最近、返事が単語のみになる、昼休みに一人でいる時間が増える、小さなミスが続く、といった変化が起きています。
Dさんは、本人が「大丈夫」と言っている以上、深く追求するとプレッシャーになるのではと迷っています。

大丈夫ですと答える社員に向き合うケースの画像

「大丈夫」という言葉を、そのまま受け取ってよいとは限りません。

山本「特性によっては、自分の考えをアウトプットすることが難しかったり、ネガティブなことを言うと評価が下がるのではと遠慮して言えなかったりする方もいらっしゃいます。
だからこそ、1つ1つ細かいクローズドの質問も交えながら聞いていくと、より本音が引き出されることが、実情としてあると思っております。」

背景には、無意識の思い込みと、組織の土台の両方があります。

岩﨑氏「アンコンシャス・バイアスが影響してくるところもありますし、最近よく聞く心理的安全性ですね。それが組織として確保できているのかどうかにも、目を向ける必要があると思います。」

本音をすくい上げるには、日々のコミュニケーションに加えて、アンケートのような手法を組み合わせることが有効です。設問の切り方や目的の設計には専門性が求められる領域でもあります。

まとめ|法定雇用率2.7%時代に求められる障がい者雇用の成功戦略

まとめでは、山本が、4つのセッションを振り返りました。

法定雇用率2.7%時代の障がい者雇用は、採用数を追う発想から、受け入れ体制を整えて「定着」を実現する発想への転換が問われます。
市場の変化を踏まえて採用ターゲットを広げ、アンコンシャス・バイアスやリスク指標で現場の状態を可視化し、人事と現場の連携でトラブルを未然に防ぐこと。
この3つは、いずれも「問題が見えない」ことを「問題がない」ことと取り違えない、という一点でつながっています。

山本「障がい者雇用がうまくいくと、障がい者雇用のみならず、組織全体の活性化にもつながってまいります。」

次の一歩として、ウェビナーでは2つの方向が示されました。

エスプールプラスは、わーくはぴねす農園を活用した障がい者雇用支援や、雇用ノウハウの提供・相談に対応しています。声かけの型や、間に入る人材の育成を、安全な環境で経験として積み上げたい場合の選択肢になります。

わーくはぴねす農園による障がい者雇用支援の画像

アスマークは、ハラスメント&コンプライアンス現状把握リサーチ「CHeck」や、お役立ち資料のダウンロードを提供しています。「問題が見えない」状態を数値で捉え、現場の不満や認識のズレを可視化したい場合に活用できます。

CHeckによる組織状態の可視化の画像

FAQ

Q1. 法定雇用率2.7%はいつから引き上げられますか?

2026年7月に2.7%へ引き上げられます。法定雇用率は段階的に引き上げられており、今後も法律の見直しによってさらなる引き上げの可能性があります。

Q2. 合理的配慮の提供義務化はいつから始まりましたか?

2024年4月から提供義務化が始まりました。これにより、これまでの慣習的な配慮が通用しなくなってきており、差別・合理的配慮に関する相談件数は前年度比80%増(厚生労働省の2024年度実績)となっています。

Q3. 障がい者雇用でハラスメントの兆候を早期に捉えるには、何を見ればよいですか?

4つのリスク指標を見ることが目安になります。関係性の偏り(孤立リスク)、配慮認識のズレ(不公平感リスク)、声の出なさ(相談機能不全リスク)、役割への納得感(現場摩耗リスク)の4つです。ハラスメントは起きてからではなく、兆候の段階で予測する姿勢が大切です。

Q4. 責任感の強い管理職が一人で抱え込むのを防ぐには、どうすればよいですか?

人事と現場管理者の連携を仕組み化し、管理者を孤独にさせないことが基本です。あわせて、管理職を対象にしたアンケート調査やサーベイで、マネジメントの負荷やサポートの充実度を定期的に数値化すると、状況を客観的に把握しやすくなります。上長に相談する際は、数字を持っていくことが有効です。

Q5. 「大丈夫です」としか言わない社員には、どう対応すればよいですか?

「大丈夫」という言葉をそのまま受け取らないことが出発点です。特性によっては本音を言いにくい方もいるため、1つ1つ細かいクローズドの質問を交えて聞くと、本音が引き出されやすくなります。あわせて、心理的安全性が組織として確保できているかに目を向け、アンケートなどで現状を把握することも有効です。

Q6. わーくはぴねす農園とは何ですか?

わーくはぴねす農園とは、株式会社エスプールプラスが提供する、農園を活用した障がい者雇用支援サービスです。雇用機会の創出、人材コンサルティング、雇用ノウハウの提供を柱とし、2026年5月末現在で750社以上の企業に活用され、5,200名以上の就労者の創出につながっています。

Q7. 慈悲的差別(善意のハラスメント)とは何ですか?

慈悲的差別(善意のハラスメント)とは、「良かれと思って」障がいのある社員の成長機会を奪い、単純作業だけに限定してしまうことです。本人のキャリアを毀損するおそれがあり、障がい者雇用で起こりやすい「3つの問題」の一つとして挙げられました。