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イベントレポート:辞める理由は本人ではなく"受け入れ側"にもある――外国人材・障がいのある方が定着する職場の共通点

辞める理由は受け入れ側にもある。外国人材・障がい者が定着する職場の共通点ウェビナーのサムネイル

法定雇用率2.7%(2026年7月から)への引き上げや人材不足を背景に、障がいのある方の雇用・外国人材を進める企業が増える一方、「採用はできても定着しない」という課題を抱える企業は少なくありません。この記事では、受け入れ側の視点から定着率を高める具体策を解説します。

障がい者雇用では、人事と現場管理者が三位一体で連携する3つの観点が鍵になります。また、外国人材の受け入れでは、在留資格・文化背景・コミュニケーションという3つの基礎知識の整備と、採用前から定着までを切らさない6段階の一気通貫支援が打ち手になります。

この記事は、株式会社エスプールプラス株式会社ツナググループ・ホールディングスが共催したウェビナー『辞める理由は、本人ではなく"受け入れ側"にもある。外国人材・障がい者が定着する職場の共通点〜人事本部が押さえるべきマネジメントの観点とは〜』のイベントレポートです。

開催概要

項目 内容
イベント名 辞める理由は、本人ではなく"受け入れ側"にもある。外国人材・障がい者が定着する職場の共通点〜人事本部が押さえるべきマネジメントの観点とは〜
開催日時 LIVE配信:2026年6月30日(火)11:00〜12:00
アーカイブ配信:7月1日(水)・7日(火)・14日(火)11:00〜12:00
登壇者 株式会社エスプールプラス
障がい者雇用促進グループ コンサルティングチーム
リーダー
山本 侑史
株式会社ツナググループ・ホールディングス
マーケット開発本部 グローバル推進部 部長
栗田 誠氏

外国人材・障がいのある方の職場定着施策は、離職の理由を本人の問題に帰属させず、受け入れ側である現場と人事の準備不足を解消する、一気通貫の体制整備を指します。この記事では、外国人材と障がいのある方という異なるテーマの雇用課題に、受け入れ側という共通の切り口からアプローチした2つのセッションを、次の流れで振り返ります。

パート テーマ 登壇者
オープニング 採用できても辞めていく――外国人材・障がい者に共通する"受け入れ側の問題"とは何か 山本 侑史
栗田 誠氏
セッション1 外国人材が"辞めない職場"の作り方 栗田誠氏
セッション2 障がい者が"長く働ける"職場の条件 山本 侑史

オープニング|外国人材・障がい者雇用に共通する"受け入れ側の問題"

オープニングでは、山本と栗田氏が、外国人材と障がいのある方の雇用でなぜ人が辞めてしまうのかを、3つの設問に沿ったショートディスカッション形式で整理しました。両者が共通して挙げたのは、離職の原因を本人の資質だけに求めても説明がつかず、その手前にある受け入れ側の準備や体制にも原因があるという見方です。

1つ目の設問は、外国人材や障がいのある方に見られる特徴的な辞めてしまう理由です。

外国人材が辞めた理由として企業からよく挙がるのは、日本語能力が足りなかった、文化が違った、本人の積極性がなかった、といった本人に起因する声だといいます。しかし本人に話を聞くと、仕事内容を十分に理解できていなかったり、分からないと言える環境になかったり、相談先が分からなかったりする実態が見えてくる、という指摘がありました。

障がい者雇用でも、本人の理解がどこまで行き届いているか、理解できる土壌があるかという点で、離職の悩みは共通します。

2つ目の設問は、受け入れ前に現場へどのような準備を促すべきかです。

外国人採用は、人手不足の解消だけを理由に進むわけではありません。

栗田氏「外国人比率をここまで上げる、というものや、人事が日本人を採れないから現場に外国人を送り込む、というところで、現場がそのあたりを理解せず受け入れているケースが非常に多いです」

採用の動機づけが数値目標に偏ることのリスクは、外国人材と障がい者雇用の双方に共通します。

山本「数値的な目標や、経営として社外に発信するメッセージのなかで採用しなければ、というのは、障がい者雇用も外国人材も同じです。受け入れ側がしっかりと体制を整えることができていないと、数字だけを達成して、後々、組織としては疲弊していきます」

3つ目の設問は、受け入れ後に現場の不満を見逃さずケアするために何をすべきかです。

障がい者雇用では、現場の上長だけではどうにもならない場面や、本人の努力ではどうにもならない場面があり、人事や周囲の第三者的な協力があってはじめて、安定した雇用につながります。

外国人材でも、本人へのフォローに目が行きがちですが、受け入れる現場も同じように負担を抱えています。

栗田氏「本人だけではなく、現場側が何を負担に感じているのか、そのあたりを両面でサポートしていくことが、人事において重要な役割だと感じます」

ここからのセッションでは、この"受け入れ側の問題"に、共催2社がそれぞれ異なる角度から取り組む打ち手を順に見ていきます。株式会社ツナググループ・ホールディングスは「外国人材が"辞めない職場"の作り方」、株式会社エスプールプラスは「障がい者が"長く働ける"職場の条件」という2つの視点です。

セッション1|外国人材が"辞めない職場"の作り方

セッション1では、栗田氏が、外国人材が定着する職場をつくるために受け入れ前に何を整えるべきかを、介護施設とスーパーマーケットという2つの実例をもとに整理しました。

結論としては、辞めてしまう手前にある受け入れ側の準備不足を解消し、採用前から定着までを一気通貫で設計することが定着のカギになります。

外国人材が定着しないのは「本人の問題」だけではない

外国人材が定着しない理由は、本人の問題だけで片付けないほうがよい、という前提から話は始まりました。現場では「日本語力が足りない」「積極的に質問してこない」「仕事を理解していない」「文化が違う」といった声がよく出ます。そうした側面もありますが、それだけで終わらせてしまうと、次に採用したときも同じことが起きてしまいます。

栗田氏「私たちが現場を見ていて感じるのは、辞めてしまう手前に、受け入れ側の準備不足や、現場の知識不足というところが非常に多いです」

外国人材が定着しない理由の画像

本人は頑張るつもりで入社し、現場も悪気があって対応しているわけではありません。それでも最初の認識がずれたまま入社すると、入社後に少しずつ問題が表面化していきます。では、そのずれは実際にどこで起きるのでしょうか。事例を交えて解説されました。

面接の「大丈夫です」を信じた介護施設のケース

最初の実例は、外国人材を採用したある介護施設です。面接時の印象は良く、本人も真面目で頑張りたい気持ちが強く、介護と日本語の学校に通っていた安心感もあって採用に至りました。ところが入社後、利用者との会話が増えない、介護記録に時間がかかる、申し送りを十分に理解できていない、分からないことがあっても本人から質問してこない、といった課題が出てきます。

本人に話を聞くと、見え方が変わってきました。面接で「大丈夫です」と答えたものの、業務を細かく理解していたわけではなかったのです。

採用されたい気持ちが強いため、多少の不安があってもその場では「大丈夫です、できます」と答えてしまう。入社後に質問しなかったのには、いくつかの事情がありました。忙しい先輩に声をかけづらい、一度教わったことを再び聞くと怒られるかもしれない、自分が何を分かっていないのかを日本語で説明できない――こうした重なりです。

では、この介護施設のケースをどう捉えればよいのでしょうか。

栗田氏「このケースで大事なのは、本人が不真面目だったということではなく、本人が『分からない』と言える環境になっていなかったことです」

介護施設で面接と入社後の実態にずれが生じたケースの画像

企業側が面接時の「大丈夫です」を、仕事を理解しているというサインと受け取ってしまった。ここに最初のずれがあり、それが入社後に表面化していきました。

受け入れ現場に必要な「3つの基礎知識」

こうしたずれが起きた原因の一つは、現場側に必要な基礎知識が不足していたことです。受け入れ前に現場が持っておくべき知識は、在留資格・文化や生活背景・コミュニケーションの3つに整理されました。

このうちコミュニケーションで紹介されたのが「説明し返し」です。

「説明し返し」とは、「分かりましたか」と尋ねるのではなく、本人に作業内容を説明してもらうことで理解度を確認する方法です。「今の作業を順番に説明してください」「今日覚えたことを3つ言ってください」のように本人にアウトプットしてもらうことで、どこで理解がずれているのかが見えてきます。

現場のリーダーや教育担当が、この3つを事前に認識しているかどうか。制度を細部まで覚える必要はありませんが、事前に持っているかどうかで、受け入れの難易度は大きく変わってきます。

受け入れ前に整えるべき「5つの対応策」

では、先ほどの介護施設のケースでは、本来どのような対応が必要だったのでしょうか。受け入れ前に整えるべき対応策は、次の5つに整理されました。

外国人材の受け入れ前に整える5つの対応策の画像

これらは入社後にその都度対応していると、間に合わないことがあります。

栗田氏「本人はどんどん孤独になっていきますし、周りの現場の方もどんどんストレスを溜めていく。そして人事が気づく頃には、もうすでに転職活動を終えてしまっている、ということも大いにあります」

だからこそ、受け入れ前にどれだけ整備できるかが重要になります。

情報の分断と、採用前から定着までの6段階設計

現場の知識に加えて、もう一つ大きな課題があります。採用・在留資格手続き・生活支援・現場教育・入社後フォローが分断されていることです。外国人1人を受け入れるだけでも、採用担当・行政書士・登録支援機関・現場の教育担当・人事の相談窓口と、関わる人は多くなります。

それぞれが役割を果たしていても、本人の情報が次に伝わらないことがあります。採用時に聞いた本人の不安が現場に共有されない、生活支援で聞いた悩みが人事や現場に届かない、人事に相談窓口があっても本人がそこへ連絡していいと知らない。こうして本人は孤立し、現場は不満をため、最終的に退職につながります。そして「やっぱり外国人材は難しい」という同じ結論が繰り返されてしまうのです。

外国人材の採用から定着までの支援が分断されている課題の画像

この分断を防ぐため、定着支援は採用後のフォローではなく、採用前から定着までを切らさない一気通貫の設計として示されました。それぞれの段階で誰が何をするのかを、6つの段階に分けて明確にします。

  1. 採用前:仕事内容・勤務時間・シフト・休日・給与・手取り・求める日本語レベルを具体的に伝え、稼働後の期待値ギャップを潰す
  2. 面接:「できますか」だけでなく、条件を説明したうえで本人に説明し返してもらい、理解度と不安・心配を確認する
  3. 内定後:在留資格上その仕事に問題がないか、住居や通勤手段は確保できているか、初日にどこへ行き誰に何を聞くのかを確認する(特定技能では登録支援機関との連携も重要になる)
  4. 入社前:現場側に3つの基礎知識を共有する
  5. 入社後:本人だけでなく現場担当・現場責任者にもヒアリングし、両者の声からズレを早く修正する
  6. 定着:本人・現場・人事・支援担当の相談ルートを確保し、在留資格の更新や日本語学習、今後のキャリアを定期的に確認する

採用して終わり、在留資格を申請して終わり、面談をして終わり、ではありません。外国人材の定着支援とは、本人と現場の間にあるズレを、早い段階で見つけて修正できる仕組みをつくることです。

セッション2|障がいのある方が"長く働ける"職場の条件

セッション2では、山本が、法定雇用率2.7%時代に障がいのある方が長く働ける職場をどうつくるかを、市場データと現場の支援経験をもとに解説しました。

結論としては、法定雇用率を起点にした場当たり的な採用ではなく、目的を定めた採用計画と、人事や周囲の方々が関わり続ける受け入れ体制づくりが定着の条件になります。

法定雇用率2.7%時代の障がい者雇用市場の現在地

まず市場の全体像から整理しました。障害者手帳を持つ方は、全国で約610万人います(令和7年版障害者白書)。手帳は身体・精神・知的(療育)の3区分に分かれ、内訳は次のとおりです。

手帳区分 所持者数 うち65歳未満
身体障害者手帳 約416万人 約108万人
精神障害者保健福祉手帳 約120万人 約90万人
療育手帳(知的) 約115万人 約95万人

65歳未満に絞るとそれぞれ100万人前後で、どの手帳が特別に多いという状況ではありません。法定雇用率とは、障害者雇用促進法に基づいて企業が雇用すべき障がい者割合を定めた基準で、2026年7月から2.7%に引き上げられます。従業員37.5名に1名を雇用しなければならない計算です。

障がい者雇用市場と法定雇用率2.7%の画像

企業の障がい者雇用は年々拡大していますが、内訳を見ると身体障がいのある方はほぼ横ばいで、増えているのは精神障がいのある方の就職人数です。実際の雇用率も高まっており、昨年の実績は2.41%と過去最高になりました。

障がい者雇用率の推移と今後の見通しの画像

障害者雇用促進法は5年ごとに見直されており、次回以降の改定で雇用率がさらに引き上げられる可能性があります。それに伴って、採用難易度や雇用難易度は上がっていくと見込まれます。

「適当な業務がない」が最多――障がい者雇用の課題の実態

障がい者雇用の課題は多岐にわたりますが、上位は明確です。令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書(PDF)によると、雇用にあたっての課題は、会社内に適当な仕事があるかという点が最も多く、次いで職場環境の配慮、雇用のノウハウが続きます。相談に訪れる企業の多くが、いずれかに当てはまる状況だといいます。

障がい者雇用にあたっての課題の画像

企業の障がい者雇用の方針を見ると、半数が「分からない」と回答し、2割ほどが「雇用したくない」と答えています。方針を立てづらい実情もあり、採用計画を積極的に立てていない企業が多いのが現状です。雇用しない理由でも、障がいのある方に適した業務がないという回答が最多でした。雇用率という数字だけでなく、障がい者雇用の意義や目的を改めて考えるタイミングに来ています。

障がい者雇用の方針と雇用しない理由の画像

障がい者採用計画の立て方と「雇用難易度」の考え方

では、この課題に対して障がい者雇用をどう進めればよいのでしょうか。出発点になるのは採用計画です。よくある失敗は、法定雇用率だけを起点に「何パーセントだから何人採用する」と人数を決め、求人設計や選考を設計しないまま、とにかく採用に動いてしまうことです。

このやり方では、採用後に「何をしてもらおうか」「とりあえずこれだけやっておいてもらおう」という場当たり的な雇用になります。現場は業務を作ることに追われ、働く側も「自分はこの職場で役に立っているのか」という不安を抱えやすくなります。そうならないよう、何のために採用するのかを定義したうえで、採用計画・求人設計を行い、選考を進めて採用する。通常の採用と同じような流れ、考え方が必要です。

障がい者採用計画の考え方の画像

採用競争が激化するなかで、どの層を採用するかを考える物差しになるのが雇用難易度です。雇用難易度とは、採用のしやすさの度合いを指します。

山本「雇用難易度は、端的にお伝えすると、環境や制度、組織風土をどこまで許容できるか、というところになります」

週5日フルタイムで、他の従業員と同じ働き方ができる層は雇用難易度が低い一方、すでにほとんどが就職しており、市場にはほぼいません。いま最も取り合いになっているのは、短時間勤務など一部の配慮を受けながら働ける層です。

生活面のサポートも必要な層は、現状では一般就職が難しいと判断されがちですが、福祉の支援を受けて訓練している方も多く、次の就職層はここから生まれてきます。ただし、この雇用難易度はあくまで企業目線で分解しただけなので、雇用難易度が高くてもスキルの高い方はいるため、難易度だけで採用を判断すると機会損失につながる、という注意も添えられました。

障がい者採用の雇用難易度別ターゲットの画像

長く働ける職場をつくる3つの観点

採用の次は、長く働ける職場をどう維持するかです。「大したことではないので今は対応しなくてよいか」「真面目に働いているから大丈夫」「安心できる現場管理者に任せている」こうした場面は、いずれも問題が大きくなる一歩手前の危険なサインだといいます。

山本「管理者が『大丈夫です』と言い続けることで、1人で抱え込んでしまうケースです。人事から見ても、頼れる現場だからうまくやってくれていると想定して、現場任せになってしまいます」

これらを見逃さないために整理されたのが、次の3つの観点です。

  1. 障がいのある方とのコミュニケーション:現場管理者や上長と本人、人事と本人の間で、意思疎通が適切に取れているか
  2. 社内外の「協力者」の配置と育成:直接のマネジメント関係ではない、翻訳・調整役を担う存在。専門的にはジョブコーチのような立場だが、資格や経験がなくても、本人が頼りやすい同僚でよい
  3. 人事と現場管理者との連携:疲弊しがちな現場管理者を孤立させず、人事・現場管理者・障がいのある方が三位一体で関わる
障がい者雇用に大切な3つの観点の画像

とりわけ、現場管理者を人事が支える関係が、全体の土台になります。

山本「だからこそ、人事と現場管理者の連携が適切に取れているかというところは、重要な観点となってまいります」

この3つの観点が整っていると、大きなトラブルを防ぎながら障がい者雇用を拡大していくことができます。さらに、一つの拠点だけでなく複数の拠点や部署で同じ構造を築ければ、組織力が強化され、会社全体のパフォーマンス向上にもつながります。

障がい者が長く働ける職場づくりのまとめの画像

質疑応答

セッション後の質疑応答では、山本と栗田氏が互いのテーマについて質問を投げ合い、現場での工夫を掘り下げました。

作業マニュアルの負担をどう減らすか

曖昧な指示を避けるための作業マニュアルを、現場で時間が取れないなかどう用意するか。この問いに対して挙げられたのは、多言語化よりも前の段階でした。

栗田氏「多言語のマニュアルを作りましょうという話はよく出ますが、そもそも日本語のマニュアルもない企業が多い。逆に言うと、改めてしっかりマニュアルを作ろう、属人的に教えるのはやめよう、というきっかけになるケースもあると思います」

障がい者雇用でも、業務の属人化は共通の課題です。

山本「障がいのある方本人にマニュアルを作ってもらったり、教える側に作って渡してもらったりと、一緒に進めるのは私自身もよくやっていました」

この進め方に、栗田氏も同意しました。

栗田氏「全部を用意するのではなく、本人たちにも協力してもらいながら進めていくのは、すごくいい取り組みだと思いました」

社内外の「協力者」とは誰か

続いて、障がい者雇用における第三者的な協力者について質問が向けられました。外国人材では登録支援機関や監理団体が制度上の第三者になりますが、障がい者雇用では必須ではないためです。挙げられたのは2つのパターンでした。

山本「まず身近な先輩がポイントになります。評価や勤怠を管理する上長には言えないこともあるので、近い立場の先輩や、人事と現場管理者と障がいのある方の三者構造をつくることが一つの形です。もう一つは、生活面や家族の状況を理解して対応を一緒に考えてくれる福祉の支援機関があり、一定期間ついていただくこともあります」

外国人材と障がいのある方、"受け入れ側"に共通する3つの原則

外国人材と障がい者雇用、2つのセッションで語られた打ち手を並べると、受け入れ側に共通する構造が見えてきます。オープニングで示された「数字だけを達成しても、受け入れ側の体制が伴わなければ組織は疲弊していく」という指摘は、どちらのテーマにも当てはまる根本原因を言い当てていました。

2つのセッションの打ち手を整理すると、次のようになります。

論点 外国人材(ツナググループ・ホールディングス) 障がい者雇用(エスプールプラス)
受け入れ前に整えるもの 在留資格・文化や生活背景・コミュニケーションという3つの基礎知識を現場と共有する 環境・制度・組織風土をどこまで許容できるかを踏まえ、目的から採用計画を立てる
定着を支える仕組み 採用前から定着までを切らさない6段階の一気通貫支援 コミュニケーション・協力者の配置と育成・人事と現場管理者の連携という3つの観点
共通する構造 本人と現場のズレを早期に見つけて修正する仕組み化 現場任せにせず、人事や周囲の方々が関わり続ける仕組み化

テーマは違っても、離職を本人の問題にせず、受け入れ側の仕組みを整備するという構造は共通します。当日は、この2つの側面のポイントの一部が語られました。

山本「本日に関しては、外国人材という側面と障がい者雇用という側面、それぞれのポイントの一部をお伝えさせていただいた形になります。実際に進めていくにあたっては、企業それぞれの状況に応じた課題や、乗り越えるポイントがあるかと思います」

よくある質問(FAQ)

Q1. 外国人材・障がいのある方の受け入れ体制づくり、自社ではまず何から手をつければいいか?

両テーマに共通する第一歩は、受け入れ前の準備です。人を採用してから対応を考えるのではなく、受け入れる前に、現場を含めた関係者で情報を共有し、相談ルートを決めておくことが起点になります。

具体的には、外国人材では在留資格・文化背景・コミュニケーションの3つの基礎知識を現場まで共有すること、障がい者雇用では目的を定めた採用計画と人事・現場管理者の連携体制を用意することが出発点です。いずれも、トラブルが起きてからではなく受け入れ前に着手することが、定着への近道になります。

Q2. 外国人材と障がい者雇用の定着課題にはどんな共通点がある?

どちらも、離職の理由を本人の資質だけに帰属させず、受け入れ側の準備不足を仕組みで解消するという点が共通します。外国人材では本人と現場のズレを早期に見つけて修正する一気通貫の支援、障がい者雇用では現場任せにせず人事や周囲の方々が関わり続ける連携が、それぞれの仕組み化にあたります。

Q3. 法定雇用率2.7%はいつから?何人に1人の雇用が必要ですか?

法定雇用率とは障害者雇用促進法に基づいて、企業が雇用すべき障がい者割合を定めた基準です。2026年7月から2.7%に引き上げられ、従業員37.5名に1名の雇用が必要になります。障害者雇用促進法は5年ごとに見直されており、今後さらに引き上げられる可能性があります。

Q4. 「説明し返し」とは?

「説明し返し」とは、「分かりましたか」と尋ねるのではなく、本人に作業内容を説明してもらうことで理解度を確認する方法です。「今の作業を順番に説明してください」のようにアウトプットしてもらうことで、どこで理解がずれているかが見えてきます。面接時の「大丈夫です」を字面どおり受け取らないための、外国人材の受け入れの工夫です。

Q5. 障がい者雇用の「雇用難易度」とは?

雇用難易度とは、採用のしやすさの度合いを指し、企業が環境・制度・組織風土をどこまで許容できるかによって決まります。週5日フルタイムで働ける層は市場にほぼ残っておらず、短時間勤務など一部の配慮を要する層の採用が中心です。難易度だけで採用を判断すると機会損失につながる点にも注意が必要です。

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