写真:株式会社QUICK

素晴らしい職場であり社員全員の学びの場、サステナブルファームの可能性は無限大!

株式会社QUICK

ひとづくり本部 本部長 中村 満宏 様、ひとづくり本部 部長 安藤 裕子 様

イメージ:株式会社QUICKインタビュー
利用目的
  • 本業雇用を積極的に行っていたが、さらに雇用率をあげる必要性があった
  • 新しい雇用ノウハウの導入を模索していた
抱えていた課題
  • 本業雇用で求めるスキルに対して、マッチした方の採用がしづらくなってきた
  • エージェントやハローワークなど、従来のネットワークを駆使した雇用増のアイデアに限界を感じていた
利用効果
  • 本社社員、ファームスタッフのモチベーションやノーマライゼーションの向上に、期待以上の成果を実感している
  • 農園での雇用数を増やし、来年度はファームのさらなる拡充を計画している

日本経済新聞社グループの一員として、日本の証券、金融市場を支える情報インフラの役割を担っている「株式会社QUICK」。機関投資家をはじめ、一般事業会社、個人投資家の方々の意思決定を膨大な情報量でフォローする、金融情報サービスを提供しています。

同社では2021年1月より、東京都板橋区にある屋内型農園「ソーシャルファームわーくはぴねす農園Plus東京板橋」で、新しい障がい者雇用の試みを開始しました。そしてコロナ禍にも関わらず、農園運営は着実な成果をあげつつあり、早くも事業の拡張が社内で検討され始めています。

創設1年未満にして長年の課題であった障がい者雇用問題を解決へと向かわせ、存在の重要性を増しているファームの管理部門である、同社「ひとづくり本部」の中村満宏様と安藤裕子様に、ファームが生みだした障がい者雇用の成果とこれからの目標などをお聞きしました。

働く喜びとやる気に満ちた素晴らしい就労環境(安藤様)

ー現在のファーム運営概要をお聞かせ下さい

2021年1月に開設された弊社の「QUICKサステナブルファーム」は、現在農場長とスタッフ3名の計4名体制で展開しています。ルッコラ、セロリ、レタス、ラディッシュ、オクラ、プチトマトなど、季節の葉野菜を中心に生産していますが、最近はスタッフの習熟度も向上し、スイカ栽培などへのチャレンジも始まりました。新型コロナ禍の状況ですが、万全の対策を施した上で月~金曜日、朝9時から昼4時までのフル稼働を実施、罹患者もなく、健全なオペレーションが行われています。

障がい者スタッフのリーダーである農場長は、現在63歳になる元消防署長さんです。定年退職してから1年間企業の防災アドバイザーを経験し、ファームに転職されたチャレンジ精神旺盛な方。農業は未経験でしたが、手話に通じているなど以前から障がいのある方への理解が深く、素晴らしい人材との出会いがかないました。障がい者スタッフは全員が男性で、皆さん20歳代~50歳代の働き盛りです。2名の方が精神障がい者の方で日常のコミュニケーションに支障はありません。1名の方が重度の聴覚障がいがあるのですが、常に全員がメモ帳を持ち歩いたりホワイトボードを有効活用することで、抜群のチームワークが形成されています。農場長の指導力とスタッフのやる気が上手くかみ合った成功例だと考えており、創設以来大きなトラブルとは無縁です。スタートの時期は、人間関係などで問題が起きないか心配をしていましたがチームワーク抜群で、驚くくらい運営は順調に進みました。その成果は、野菜の収穫量の増加にしっかりと現われています。

会うたびに障がい者スタッフの成長とやる気に驚かされる日々(安藤様)

本社社員は基本的に月に一回ファームを訪問し、勤務表の受け渡しや農場長とのミーティングを行いますが、毎回農園スタッフのやる気には感心させられます。「自分たちの働き振りを見てください」作業に打ち込む彼らの全身から、やる気が満ちあふれています。また先日通気性に優れたスタッフジャンパーを新調しようとしたところ、「ベストがベストです!」といった微笑ましいレスポンスがありました(笑)。ベストの機能性をアピールしつつユーモアたっぷりのリクエストに、ファームのいい雰囲気が現われていると感じています。

金融情報サービスに必要な業務スキルと現実との乖離(安藤様)

ーしかし農園の導入前には様々な課題と直面されていたとか

現在弊社の社員数は700名弱であり、法律的には約15名ほどの障がいのある方の雇用義務を有しています。これまで本社で障がいのある方にも、本業での業務にあたってもらっています。法律で定められた法定雇用率の充足には少し足りない実績でしたが、ハローワークと連携をとりながら対応していました。しかし昨年、重度の障がいのある方が退社し、カウント的にかなり厳しい状況に追い込まれました。ハローワークの指導を受けながら解決策を模索しました。しかし、法定雇用率は今後も上昇し続けるでしょうし、会社として抜本的な対策が必要であるとの結論に達しました。

ハローワークへの求人やエージェントを通じた新しい雇用創出の試みや探索は直ぐに始まりましたが、残念ながら妙案は見つかりません。これまでのように、本業だけでの雇用では対策に無理があるのではないか。社内努力のみでの解決が難しくなった今、新しい発想、外部の知恵を導入した障がい者雇用の実践こそ、これからの時代にマッチした方法論なのではないかと発想の転換が求められていたのです。

既存の予算内で計画を執行するためのロジックと心意気の形成(中村様)

幸いエスプールプラス社から弊社へは、以前からアプローチをいただいており、ファームを活用した障がい者雇用創出の試みの存在は認識していました。自社努力の限界を痛感するに至って、弊社から改めてエスプールプラス社にお声掛けし、話は一気に進展しました。2020年10月に最初のミーティングを行い、1月には創設に至りました。今思い起こしても凄まじいスピード感でしたが、この即効性もまた時代の要請に即した大切な一面だったと評価しています。

もちろん、経営陣を始めとする管理部門の説得には一苦労しました。「今までと同じように雇用できないの?」。上にしてみれば当然の感想だと思います。予算化されていない計画を突然突きつけられ、即断を迫られても会社的には腑に落ちません。そこで、就職を希望する方の障がいの種別や適性が変化していること。障がいのある方々の要望と弊社が用意してきた仕事内容に差異が生じ始めていること。法定雇用率遵守のためには、即効性のあるプランが必要であること。外部の知恵を有効活用すべきことなどを、エスプールプラス社から提供された資料なども活用し説得にあたりました。最終的には、弊社が現在標榜しているコーポレート・アイデンティティである「健康経営宣言」の一環としてファームも存在しており、またサステナブル経営、SDGsへの貢献に欠かせない部署としてファームを位置付けることで、私たちの考えに理解を得られました。職場や職域は違っていても、健常者の社員も障がいのあるスタッフも同じ社是の元、熱い思いで同じベクトルに向っている。この基本概念が経営陣と共有された以降は、ファーム計画はオープンに向けて一気に走り出したのです。

日本橋本社での障がい者同士の素敵な交流も実現(安藤様)

ーファームが生み出した具体的な成果をお聞かせ下さい

ファームの存在や取り組みは、週に一回程度本社で開催される野菜配布会を通じて、全社員に周知されています。時期の収穫量にもよりますが、早い時には数十袋の野菜がわずか5分で配布終了するほどの人気振りです。収穫物を通じて、社員は会社が目指す「健康経営宣言」を肌で学びます。農園もまた、本業の発展に欠かせない重要な部署であることを社員は理解するのです。だからこそ、農園スタッフが直接野菜を本社で配った時は大変盛り上がりました。駆けつけた社員たちは、口々に「いつもありがとうございます」「ずっとお礼を言いたかった」と、スタッフとの間で楽しい会話が弾みました。このイベントをきっかけに、全社員のモチベーション、ノーマライゼーション意識がよりアップしたのはいうまでもありません。

農園スタッフもこの直接配布の日を心待ちにしていました。大分前から「日本橋大作戦」と名づけて、準備に余念がありませんでした。当日は4人揃って、農園のある板橋から野菜が入った段ボール箱を抱えて電車を乗り継いでやってきました。それは緊張したそうです。それだけに、彼らの到着を首を長くして待っていた本社社員との交流は感動的ですらありました。特に本社に勤務している聴覚障がいのあるスタッフは、同じ障がいのある農園スタッフの来社を待ちわびていたそうです。「こういう方々が野菜を作っているのか」「こういう会社で自分たちは働いている」。互いの認識を深める最高の福利厚生イベントとなりました。本社と農園スタッフの直接交流の機会は、時期を見て改めて開催したいと考えています。

「ファームを対外的なアピールツールとしても活用」(中村様)

ーQUICKサステナブルファームが描く未来予想図を教えてください

社員のモチベーションアップやノーマライゼーション意識の育成だけでなく、これからのファームには営業ツールとしての機能も期待しています。健康経営宣言やサステナブル経営など、弊社が世の中にアピールしている特徴や強みを象徴する存在にファームが成長してくれればと願っています。そのためにも創設以来培ってきた、社員とファームの信頼関係をさらに強固なものにしたいですね。

弊社は9月に新社屋へと移転しますが、これを機に社員のリフレッシュのためのバーラウンジ空間を設けます。そこでファームで収穫した野菜を提供するのと同時に、サラダコンテストなどのイベントを開催する予定です。社内的なファーム周知はもちろんですが、サステナブル経営の取り組みの1つとして今後もファームの活動を推進していきたい。また本社社員の間で、ファームの見学を希望する声が高まっています。栽培や収穫のお手伝いを通じ農園スタッフの日常に触れるこの上ない機会だけに、見学会はポスト・コロナ禍に実施といった漠然とした目標ではなく、ワクチンの接種完了者から順次希望者を募るなど、実現に向けて具体的な行動に移りたいですね。そしてファームが、弊社が何に注力しどこへ向っているのかを具現化している、会社のアイコンのような存在へと成長してくれればと期待しています。

「ファームの拡充で内外のニーズに応えられる環境を整備」(安藤様)

今後、障がい者雇用の重要性はさらに増すことが予測されます。幸い「QUICKサステナブルファーム」事業は、社内でも成功事例として認識されており、収穫物を配布することで福利厚生面にも寄与していると考えています。こういった良い環境をさらに広げる取り組みとして、農園で働くスタッフを増員し拡充を実現させたいですね。

そのためにも、「QUICKサステナブルファーム」の創設以来、常に二人三脚で歩んできたエスプールプラス社への期待は増すばかりです。同社のスピーディな対応力、豊富なデータ量、そして何よりスタッフの皆さんの障がい者雇用に対する熱い思いは、弊社の障がい者雇用事業に不可欠の存在となりました。これからもよきパートナーとして、同じ道を歩んでいただけると期待しています。

2021年7月29日インタビュー
本文中の企業名、役職、数値情報等は、インタービュー当時のものです。

会社名 株式会社QUICK
事業内容 日本経済新聞社グループの金融情報サービス会社として、世界の証券・金融情報をはじめ、政治・経済情報をリアルタイムで配信。
資産運用支援、注文執行業務の支援、情報ネットワーク構築支援サービスなど、証券・金融市場に関連する総合的なソリューションの提供。
URL https://corporate.quick.co.jp/

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