写真:栗原工業株式会社

会社に貢献する仕組み作りから生まれた野菜栽培と設備工事会社の素敵な関係。ファームは今やSDGs推進のトップランナー!

栗原工業株式会社

人事総務部 法務課 主任 岩見昌和 様

イメージ:栗原工業株式会社インタビュー
利用目的
  • 将来の定年退職者の増加や法定雇用率のアップを見すえた先取り対応
  • 他の職場と同じように、障がいのある方が会社に貢献できる部署として期待した
  • SDGsやノーマライゼーション推進の一環として機能させたい
抱えていた課題
  • 安全面から障がいのある方の生産部門での採用は現実的に厳しかった
  • 新本社ビルが竣工したものの、ビルメンテナンスなどの分野で障がい者雇用につなげることが困難であった
利用効果
  • 全社的にファームがSDGsやノーマライゼーション意識をリードする貴重な存在だという認識が浸透してきた
  • 障がいのある方でも一般社員と同じように社業に貢献できる就労スタイルが確立しつつある

2019年に創業100周年を迎えた栗原工業株式会社。一世紀以上にわたって「建築電気設備」「電気計装・空調・衛生設備」から「公共インフラ」「電力インフラ」業務などに携わる、電気設備を中心とした設備工事のエキスパート企業です。同社は2021年6月、エスプールプラス社が運営する「わーくはぴねす農園Plus摂津」に「摂津ファーム」を開園、6名の障がいのある方を迎え入れ、社業の発展に貢献する職場作りを目標に日々野菜栽培に励んでいます。「摂津ファーム」を設立以来手がけられている人事総務部の岩見昌和様に、障がい者雇用にまつわるご苦労話や、ファームが生み出した成果についてお聞きしました。

「綿密なコミュニケーションから生まれるおいしい野菜とファームの存在価値」岩見様

「現在のファーム運営概要と、導入前に抱えていた課題をお聞かせ下さい」

「摂津ファーム」は2021年6月にオープンし、現在約8ヶ月が経過しました。開設当初から農場長2名と農園スタッフ6名の計8名を採用、2チーム体制で運営しています。法定雇用率をクリアするだけなら1チーム(3名)で足りましたし、農園運営は弊社にとって初めての経験でしたのでミニマムスタートも検討されました。しかし、体調不良などで農園スタッフが休んだ際などに現場へかかる負荷を補完し合えると考え、最初から組織を意識した挑戦となりました。おかげさまで期待以上にバランスの良いチームが実現し、ファームは順調に推移しています。

「摂津ファーム」は本社から車で約20分の距離にありますので、比較的頻繁に顔を出すことが可能です。働く場所は本社とは異なりますが、同じ従業員として農園スタッフに物理的な距離感を感じさせない努力を心がけています。その意味でも本社の近隣でファームを開園できたのは幸いでした。事業は始めてからが大変なのはどの仕事も一緒だけに、綿密な報・連・相の励行など、運営には積極的にコミットしています。有益な成果は、農園スタッフとエスプールプラス社に一任しているだけでは生まれないと考えています。

ファームでは現在ラディッシュ、チヂミナ、サラダレタス、カツオナ、紫コマツナ、山東菜などを、水耕栽培で生産しています。品質には大いに自信があり、水耕栽培ならではのオーガニックで虫食いのない野菜は風味が抜群だと、実家が農業を営む社員の皆さんからも合格点をいただいています。衛生面への気くばりも怠りません。ファームでは収穫や梱包の際に、農協仕様の安心安全なプロ用資材を使用し、包装の一つひとつに「栗原工業摂津ファーム 新鮮! 無農薬!」とデザインされたシールを貼って配送しています。ブランド野菜のように手間をかけ気づかって育てた農園スタッフのプライドの証しです。野菜を受け取る社員にファームの意義や価値をより理解していただき、農園スタッフのモチベーションとスキルを上げるための仕掛けでもあります。

「障がいのある方でも一般社員と同じように社業に貢献できる仕組みを模索」岩見様

ファームの導入以前は本社で障がいのある方を採用していました。内部障がいや人工透析などを必要とされるものの、通常業務には支障のない方々が中心で、法定雇用率もクリアできていました。しかし創業一世紀の弊社社員の平均年齢は高めで、この先障がいのある方の定年退職者が増加することは明白でした。また法定雇用率のアップも予測されており、身体だけでなく精神障がい者手帳、知的障がい者手帳をお持ちの方の採用を含めた先取り対策を講じる必要性を感じていました。

しかし障がいのある方に工事現場に立っていただくのは安全上の問題があり、採用は困難です。竣工したばかりの新本社ビルの清掃業務やオフィス庶務も検討されましたが、インテリジェントビルでの作業は管理対応が難しいと判断されました。障がいのある方とはいえ社員として働く以上、業務を通じて会社に貢献していただく必要があります。そこで生産部門以外で一般社員と同様に活躍いただける職場の研究も行いましたが、弊社の経営方針とリンクするイメージがわきませんでした。一体どのような業務なら障がいのある方に活躍していただけるだろうか・・・。

そんな折、エスプールプラス社から連絡が入り、ファームを活用した障がい者雇用の提案を受け大いに魅力を感じました。これまでも花卉栽培などの方法を検討はしましたが、成果物の活用に懸念がありました。しかし、野菜であれば弊社の健康経営推進の手助けになりますし、社員のSDGs精神の醸成を大いに推進してくれるのではと期待したのです。早速野菜の栽培を通じて社業に貢献し、会社にとって大切な価値をファームから生み出す仕掛け作りを急ぎました。そしていくつかのアイデアを経営陣に提出し、当初は戸惑われたものの理解を得られ導入へと至りました。

「ファームと社益を結びつける3つの仕掛けを用意」岩見様

経営陣の導入決裁を得るために、ファームを「十分社益に貢献できる、投資に値する機関」と位置づけた3つの仕掛けを用意しました。このアイデアは開設後のファームの大切なアイデンティティとなり、よりパワーアップして現在も実践されています。

  1. ファームでノーマライゼーション研修を行い、社員の意識啓発に活用する。
    本社の有志社員によるノーマライゼーション研修をファームで行いました。生き生きと働く農園スタッフとの交流から、障がいのある方は決して特別な存在ではなく、健常者と同じように働き自分らしい生き方が送れることを学びました。今後は定期的に開催し、新入社員研修にも活用する予定です。収穫と梱包が特に大変な作業なのですが、研修では農園スタッフの指導の元、全員にみっちり働いてもらうつもりです(笑)。

  2. 収穫した野菜は毎週本社で社員に配布、TFT活動との連動でSDGs実践の場とする。
    収穫した野菜は毎週一回本社で社員に配布されます。開始当初は社員も勝手が分からず戸惑いも見られましたが、ファームの存在が浸透した今では大切な福利厚生イベントとして好評を博しています。中には配布会の時間に合わせて外回りから帰社する社員も現われました。社員からのレスポンスは、随時農園スタッフに還元されモチベーションの向上に役立っています。野菜が本社とファームの間をしっかりとつないでくれているのです。
    また配布会はTABLE FOR TWO活動と連動しています。野菜一袋につき20円(開発途上国の給食1食分の金額)を負担していただき、寄付活動を続けています。おかげさまでこの活動は、SDGsの7つのゴール達成に役立っています。活動報告は社内報や掲示物などを活用し、全社に広く知られるように努めています。

  3. 社員寮の食堂で収穫した野菜を活用し、会社の健康経営に貢献する。
    弊社の若手社員が起居する独身寮にファームの野菜を提供しています。社の健康経営の一翼をファームが担っているのです。若手の食生活の乱れには以前から課題を感じていました。健康診断の数値が中高年より悪い社員が多く、聞くと朝食を取らない、油分の過剰摂取など、明らかな野菜不足が見られたのです。会社が健康経営を推進しているのに、若手社員の健康保持がままならないのでは冗談にもなりません。ファームの野菜をたくさん摂取してしっかり働いていただこう。まさにファームの仕事が本業に直結したケースだと考えています。寮の食事管理はアウトソーシングに頼っていますが、ファーム野菜の導入を機に弊社の考えに賛同しともに歩んでくれる業者に委託先を変更しました。

「ファームが会社にとって欠かせない存在になりつつあると実感しています」岩見様

「ファームが生み出した具体的な成果をお聞かせ下さい」

ファームの成長は、社員のSDGsやノーマライゼーションに対する意識に明らかに進化をもたらしました。ファームでの取り組みは配布会や社内報、掲示物などで常に社員に報告されていますが、最近では目にされたお客様からの質問や相談も増え、改めてファーム活動の社会的な意義を認識するに至りました。まさにファームはSDGsの達成に向け走り続ける、弊社のトップランナーなのです。

農園スタッフの成長も頼もしい限りです。アクティブに仕事に向き合い、自らの努力工夫で品質の向上、収量の増加に日々取り組んでいます。特にラディッシュは味も見た目もプロ級と評判です。水加減に非常に気を使う種類で、適量を超えるとすぐに実が破裂してしまうのですが、今ではすっかり調整のコツをつかんだようです。

またチームワークが素晴らしい。視覚障がいのあるスタッフのために、種をまく位置をマーキングして分かりやすくしてあげるなど、気づかう心がファームにあふれています。こうして手塩にかけて育てられた野菜はファームの作品そのものです。作品が一般社員を感動させ社会的意識の向上に結びつき、それがファームにフィードバックされ農園スタッフのやりがいを育む。野菜を通じた交流がプラスの連鎖を形成し、会社の事業を支える大きな礎を形成しつつあると実感しています。

ご家族様からお喜びの声も寄せられています。「朝の5時から出社の準備を始めている」「野菜を手土産にその日の様子を明るく報告してくれる」など、農園スタッフの仕事にかける情熱が伝わります。「一生、夢中でいたい」。これは弊社のリクルーティングコピーですが、栗原工業100年の歴史は、まさに一人ひとりが夢中であり続けた歴史なのです。その想いを全社で共有しながらファームを運営し、農園スタッフが定年まで働ける仕組みを作って行きたいですね。

本社野菜配布会に農園スタッフが初参加!

インタビュー後に毎週恒例の野菜配布会が開催されました。通常は人事部スタッフが配布作業を行いますが、今回はファームからチームBの皆さんが初参加、会場だけでなく各フロアにも積極的に挨拶に伺い、用意した13箱200把の野菜を瞬く間に配り終えてしまいしました。以外にも(!?)、マイエコバッグ持参の男性社員が多く列をなし、掲示されたレシピ案を撮影して「一緒に渡さないと奥さんに怒られちゃう」と嬉しそうに笑う姿も見られました。

「時にはファームから外に出て従業員とのコミュニケーションに励むことで、よりファームの会社的な存在意義が理解してもらえると考えました」(岩見様)
「自分たちが作った野菜を実際に口にされる方々との交流がかない嬉しく思います。実は山東菜が一番自信のある野菜なのですが、今回はお持ちできなくて残念です!」(農園スタッフの梅谷佳治様)

また、小林芽愛さんは優れたイラストレーターでもあります。社内SNSのキャラクター「まろんちゃん」は小林さんの作品で、「代休の申請方法を教えて」など、社員の総務関係の相談窓口役として活用されています。

「野菜と一緒に送ったイラストがきっかけとなり、このような名誉あるお仕事に関われました。おかげさまで、やりがいに満ちた毎日を送っています」(農園スタッフの小林芽愛様)

お昼時の社内では、いただいた野菜をそのままサラダにしてランチを楽しむ姿も見られ、ファームがすっかり会社に根づいている様子が伺えました。オープンから約8ヶ月、ファームは早くも野菜以上に大きな実を結ぼうとしているようです。

2022年2月25日インタビュー
本文中の企業名、役職、数値情報等は、インタービュー当時のものです。

会社名 栗原工業株式会社
事業内容 ビル・工場などの電気、情報通信、防災、プラント計装、空調、衛生など設備工事の企画・設計・施工
URL https://www.kurihara.co.jp/

障がい者雇用に関するご相談はこちら

お問合せ

フリーダイヤル 0120-982-655

(平日9:30~18:30 土日祝休業)