お知らせ

東京大学 認知発達ロボティクス研究室の学術指導のもと、障がい者理解浸透の新施策を開始

株式会社エスプール(本社:東京都千代田区、代表取締役会長:浦上壮平)および株式会社エスプールプラス(本社:東京都千代田区、社長執行役員:大橋王二)は、 東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)の長井志江特任教授が率いる「認知発達ロボティクス研究室」(以下「長井研究室」)より学術指導を受け、発達障がい分野における新たな取り組みを開始することになりました。

1. 連携の背景と目的

現在、日本の福祉や就労支援の現場では、支援者の経験や暗黙知に基づく対応が中心となり、 当事者の特性理解や支援のあり方が、客観的根拠に基づいて共有・体系化されにくい状況があります。
特に発達障がいのある方は、困りごとや感じ方(知覚・感覚の差異)が周囲に伝わりづらく、 職場環境づくりが個別対応にとどまりやすいことが、雇用の定着や職域拡大の課題となっています。

こうした課題に対し、長井研究室はロボティクスや計算論的アプローチを用いて人間の認知発達の理解と支援に取り組み、予測符号化に基づく認知の個人差や発達障がい理解の研究を進めています。 また、自閉スペクトラム症(ASD)における非定型な知覚を再現するヘッドマウントディスプレイ型シミュレータの開発などを通じて、当事者の「感じ方」を体験・可視化する手法の社会実装を目指しています。

エスプールグループは、障がい者の就労に適した企業向け貸し農園「わーくはぴねす農園」を通じ、これまで 700 社を超える企業で約 5,000 名の雇用を創出してきました。
一方で、障がいのある方が農園にとどまらず、オフィスを含む多様な職域で能力を発揮し、キャリアを広げていくためには、企業側の理解を深め、受け入れ体制や職場環境づくりを一層高度化していくことが重要であると考えています。

本取り組みでは、長井研究室の技術協力・指導のもと、同研究室が有する当事者理解の可視化技術(ヘッドマウントディスプレイ型シミュレータ等)を活用し、 まずは株式会社エスプールプラスの障がい者雇用支援の現場において、 農園管理者をはじめとする支援担当者の発達障がい理解を深め、支援の質向上を図ります。 さらに、得られた知見を企業向けの理解促進施策へと展開し、企業内での適正配置や業務設計につなげることで、発達障がいのある方を含む障がい者の職域拡大とキャリア形成を後押ししてまいります。

2. 主な取り組み内容

本連携では、当事者理解を企業内に広げ職場環境づくりの質を高めるため、以下のステップでプロジェクトを推進します。

1. 現場(わーくはぴねす農園)での理解促進と支援力強化

長井研究室が開発するヘッドマウントディスプレイ型シミュレータ等を活用し、農園管理者をはじめ、日々の支援に携わる担当者向けに、発達障がい特性に関する理解を深める体験型プログラムを実施します。
当事者の「感じ方」を共有可能な形にすることで、コミュニケーション、指示の出し方、環境調整など、現場支援の質向上につなげます。

2.体験型プログラムの体系化(研修パッケージ・教材整備)

現場での実施結果を踏まえ、当事者理解と職場環境づくりに必要な観点を整理し、研修パッケージ(資料・動画・ワークシート等)として体系化します。 あわせて、研修後に職場で実践へ移せるよう、「業務設計・配慮の考え方」「困りごとの捉え方」「関わり方の共通言語」など、運用に落とし込むための教材・ガイドを整備します。

3. 企業への展開(理解の定着と個別対応から仕組み化への移行)

当社の支援先企業に対し、研修・教材を展開し、当事者理解を個人の経験や属人的対応に依存させず、企業として運用・定着できる状態を目指します。 具体的には、受け入れ部署・上長・同僚など関係者層別のプログラム設計や、導入後の振り返り・改善の仕組み(フォローアップ等)を組み込みます。

4. 適正配置・業務設計につなげる実装検証(職域拡大・キャリア形成)

研修によって得られた理解を、企業内の適正配置や業務設計へつなげるため、業務の切り出し・設計、役割定義、コミュニケーション設計、環境調整等の観点から検証を行います。 農園での雇用にとどまらず、オフィスを含む多様な職域で能力を発揮できる機会を広げ、キャリア形成につながるモデル構築を目指します。

5. 効果検証とモデル化(横展開可能な仕組みへ)

取り組みの成果を整理し、職場環境づくり・雇用定着・職域拡大に資する要点をモデル化します。 得られた知見を当社サービスに反映し、支援の高度化と企業への横展開を進めます。

3.今後の展望

本連携を通じて、当事者の「感じ方」を可視化する技術を活用した体験型プログラムの構築にあたり専門的助言を受け、支援現場および企業における当事者理解と職場環境づくりの高度化を図ります。 さらに、研修で得られた理解を適正配置や業務設計に生かし、障がい者の雇用定着、職域拡大、キャリア形成につながるモデルの構築を同研究室の学術的指導のもとで目指してまいります。 株式会社エスプールおよび株式会社エスプールプラスは、こうした取り組みを通じて、障がいのある方が能力を最大限に発揮できる社会の実現に貢献してまいります。

■ 連携先

【東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)認知発達ロボティクス研究室】

長井志江 特任教授を中心に、ロボティクスや AIを含む計算論的アプローチを用いて、人間の認知発達のメカニズムの解明と支援に関する研究を行っています。 特に、自閉スペクトラム症(ASD)等における非定型な知覚や感じ方を再現・可視化するシミュレータの開発に取り組んでおり、当事者理解の深化に資する知見を国内外に発信しています。

研究室 URL:https://developmental-robotics.jp/

東京大学 認知発達ロボティクス研究室の学術指導のもと、障がい者理解浸透の新施策を開始当事者理解の深化を通じ、障がい者の職域拡大とキャリア形成の実現へ