- 利用目的
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- 法定雇用率遵守に向け、新たな職域の開拓を目指した
- 抱えていた課題
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- 順調な会社の成長、社員数の増加に伴い、全社的に障がい者雇用問題に取り組む必要性を感じていた
- 既存業務と障がい者のスキルのマッチングに懸念があり、新しい価値観の導入を模索していた
- 利用効果
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- 従業員全員にノーマライゼーション意識が浸透してきた。また、ファームの活動を通じて、地域社会への貢献が実現しつつある
携帯大手キャリア「KDDI」のグループ会社であり、徹底したお客さま第一主義と金融技術の進化の追及を通じて、世の中に豊かな生活を提案し続ける「auフィナンシャルサービス株式会社」
同社では2020年6月から、千葉県千葉市の「わーくはぴねす農園 わかば第2ファーム」内で、障がい者雇用の取り組みの一環として、有機野菜の栽培事業に挑戦しています。現在70歳の農場長をリーダーに、50~60歳台 のスタッフがチームを形成し、着実な成果をあげています。
開設2年目を迎え、ますます存在の重要性を増している同ファーム。管理を担当されている同社総務部の鶴岡直人様に、ファームが生みだした障がい者雇用の成果と、これからの夢などをお聞きしました。
新しい発想による障がい者雇用の実践とノーマライゼーション意識向上への効果
「現在のファーム運営概要と、導入前に抱えていた課題をお聞かせ下さい」
2020年6月に開所した当社ファームは、1チーム計4名で管理・運営されています。主に枝豆、オクラ、チンゲンサイ、サニーレタス、ミニトマトなどを栽培しています。オープン以来、コロナ禍での運営となりますが、広く開放的な空間でのびのびと楽しくみなさん働いており、離職者もなく今に至っています。
2014年の会社設立以来、おかげさまで成長基調にあった弊社ですが、社員数が100名を超えるころから、法定雇用率遵守の課題と向き合うことになりました。
既存の職域内でどこまで障がい者に適した業務を用意できるかに、当時は正直不安を感じていました。また、会社のビルはテナント契約であり、必要に応じた増改築が難しい状況でもありました。社内努力だけでの解決は難しいのではないか。新しい発想による障がい者雇用の実践こそ、時代の要請ではないのかと悩みました。
ファームを障がい者雇用の場とする試みは、同じグループ会社内の成功例を参考にしましたが、エスプールプラス社との出会いは良縁だったと感じています。また、ファーム導入の取り組みは、経営陣を筆頭に、従業員のノーマライゼーション意識の向上に取り組むための、大変貴重な機会ともなりました。
社会経験豊かな大人たちが形成する素晴らしいパフォーマンス集団
「ファームが生み出した具体的な成果をお聞かせ下さい」
現在ファームは、農場長1名、障がい者スタッフ3名からなる1チームによって管理・運営されています。70歳になる農場長をはじめ、65歳、50歳台後半、50歳台前半と年齢構成はかなり高めです。
それぞれ重度先天性聴覚障害、軽度視覚障害、精神障害などの障がいのある方で、エスプール社からこのチームの紹介受けたときは、体調面や精神面に不安はないのか、また各自が培ってきたキャリアがファームでの仕事とマッチするのか不安もありましたが、それは杞憂に終わりました。
例えれば大人の集団でしょうか。それぞれが身につけた人生経験は、穏やかなファーム環境の形成に大いに貢献したようです。彼らの年齢をデメリットと感じたことは、これまで一回もありません。
もちろん、時に課題も生まれますが、皆さんファーム内でのルール遵守や、互いの人間性を尊重する大切さをしっかりと理解されています。聴覚障がい者スタッフとのコミュニケーションに関しても、大人の気遣いをしっかり感じます。前職は警察官であったり土木施行管理技士であったりと、さまざまな人生を歩んできたスタッフですが、適材適所を絵に描いたようなメンバー構成になりました。特に土木施行管理経験のあるスタッフのスキルは高く、エスプールプラス社のスタッフもタジタジになるくらいの知識や技術で、ファームの充実に大いに貢献してくれています。
農場長とは毎日のように電話で連絡を取り、その日の報告を受けています。また私も2週間に1回は直接ファームに顔を出し、スタッフとの交流を欠かしません。「今度何の種をまこうか」、「じゃあ一緒に買いに行こうよ」など、ファームのバーションアップのための楽しい会話が常に交わされています。 また、このような前向きな信頼関係の先にファームの明るい未来があると、大人同士で理解し合えていると考えています。
ファームを通じた社会貢献を実現したい
「ファームが生んだ予想以上の成果、そして目指す未来像は?」
収穫した野菜を通じて、地域の皆さんとの交流が少しずつ芽生え出しました。オープンしてやっと2年目に入ったところですが、県内の「こがねはら子ども食堂」には、既に3回収穫野菜の寄附を行っています。
おかげさまで喜びの声が寄せられ、フェイスブックでも紹介していただきました。
ファームへのこの上ない声援をいただき、スタッフのモチベーションが上がったのはいうまでもありません。今後はより計画的な生産を心がけようと、農場長と話し合っています。またポストコロナのあかつきには、千葉市を中心に地域の老人ホームやフードバンクなどとも連携を図りたいと思っております。配布ルートの拡大を通じて、弊社の「つぎの信用を、創造しよう。」というコーポレートスローガンに貢献しようと、ファーム社員一同の意気は盛んです。
そして、社内での野菜配布も予想以上の好評を博しています。普段は女性従業員から多く喜びの声をいただくのですが、先日枝豆、オクラを配布した際には男性従業員からの声も増え、新しい栽培種への挑戦意欲をそそられました。今後は収穫量のバランスを見ながら、生鮮野菜だけではなく、例えば野菜ジュースやハーブティー、ドライトマトなどへの挑戦、またサシェなどの加工品の製作などファーム事業の新しい企画を模索していきます。
同じ会社の一員として、当社の事業に貢献できる幸福感を皆で共有したい
ただでさえ手探り状態でのオープンでしたし、ましてやコロナ禍の中、エスプールプラス社のフォロー体制は心強く感じています。ポストコロナ時代の最初の目標は、ファームの存在をより社内外へアピールすることです。
会社として、SDGsの取り組みの一翼を担えるような、胸を張れる事業に成長して欲しいと願っています。
そしてファーム事業が、他部署と何ら変わらない誇りや使命感、愛社精神に支えられた業種であることを周知できればと考えています。農園のスタッフには同じ「auフィナンシャルサービス」の従業員としての誇りを持てるよう、おそろいで着用できるユニフォームや社名入りの大きな旗を用意して士気を高めています。 近い将来には経営陣を招待して、ファームで収穫祭を華やかに開催したいです。
会社名 | auフィナンシャルサービス株式会社 |
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事業内容 | クレジットカード事業、決済代行事業、ローン事業、後払い決済事業、銀行代理業、損害保険代理業 |
URL | https://www.kddi-fs.com/corporate/ |